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Find me ~俺に近づく三人が明らかに怪しい。~  作者: 落光ふたつ
第7話「Find me」
56/63

#1

『————』


 映画を見ていた。

 寝室の小さなテレビ。クッションを敷いてベッドを背もたれにしている。

 見たことのある作品だけれど、何でもう一度見ているかは分からない。


 面白かったのだろうか。あんまり覚えていない。

 何でこの作品を選んだのかも、覚えていない。

 理由も思い出せないのに、ただ見つめている。


 ……あれ、さっき見ていたのと違うような。


 目を離していないはずなのに、なんだか物語が変わっているように思えた。

 恋愛ものからヒーローもの。どこかで勘違いしたのだろうか。冒頭シーンももう忘れたけれど、それでなんとなく納得した。

 そしてまた、見つめ続ける。


 次第に映画は終わって、スタッフロールが流れ始めた。すると見つめている自分が反射していて、そこで違和感に気づく。

 左隣に、クッションが置かれている。自分が座るために敷いているのと同じ物。それになぜか自分の座る位置が変に右寄り。

 まるで、隣に誰か座っていたみたい。


 ……何か足りない。何が足りない?


 罅が入った。

 けれどそれは、上塗りされる。


———


 食卓に座っていた。

 目の前には料理が並んでいて、どれも美味しそうだ。

 箸を進めれば、その味はやはり想像していたもので舌づつみをうつ。

 更に箸を進める。

 味に慣れてくると少し暇が出来て、会話をしたくなる。


 そうだ、さっきの映画の話をしよう。

 どんな内容かは覚えていないけれど面白かったから。あのヒーローがカッコよかった。いや、恋愛ものだったんだっけ?


 とにかく言葉を交わしたいと顔を上げて、

 しかし、向かう席には誰もいない。

 自分を見てくれる瞳がない。

 自分が見ていたい姿はない。


 空白だ。


 いつからそこは、空いているのだっけ。

 いつから自分は、一人でいるのだっけ。


 罅が入った。

 また広がった。

 そして、砕け散る。


「……比良人、どこ?」


 思い出す。

 ここにいない彼。ずっとそばにいた彼。


 どこにいるの?

 どこに行ったの?


 気づけば走り出していた。リビングの中だったはずなのに、周りは何もない荒野に変わっている。

 そんな些細なことはどうでもいい。とにかく彼を見つけないと。

 視界は広く辺りを見渡せる。けれど彼はどこにもいない。


「どこ、比良人どこ……!?」


 荒野はどんどん広がっていく。全てを奪い去っていく。

 そしてようやくその背中を見つけた。


「比良人っ!」


 呼びかけると振り向いてくれる。彼だ。間違いない。大好きな瞳が見ていてくれる。

 よかった。ここにいたんだ。

 そう安堵していると、彼もこちらに気づき駆け寄ろうとして——


 ——直後、彼の頭がはじけ飛んだ。


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