・4・
去っていく行ちゃんの背中すら追いかけられず、あたしは家へと引き返す。
道中、自分を慰めようと何度も取り出した手紙も、もうまるで効果はなかった。
「なにも、大丈夫じゃないよ……」
無力感ばかりがあたしの胸の内を埋め尽くしている。
そうして家に着いたあたしは、まっすぐに布団の上へ寝転がった。
寝ようとする時間は、少しだけ心が和らぐ。自分の体ではあるけれど、染みついた匂いがしてなんだか一人じゃないと思えるから。
「……会いたいな」
なぜかそんなことを口にしてしまって。
考えないといけないことはいっぱいあるはずなのに、まぶたはすぐに重くなった。
夢を見ていた。
目の前には古びた便せんがあり、細い指で折れかけた筆を握っている。
便せんに記されていた文字列は、よく知っているものだった。
『きみなら大丈夫』
本当に、何を根拠にそう言ってくれるのだろう。
全然大丈夫じゃなかった。何も出来てないよ。
でも何でか心はまた満たされていて。
『やっぱりあたし、もう少し頑張ってみるね』
返事を書いた。
そうすれば、彼はあたしを見ていてくれる気がする。あたしだって、彼を目指して行ける。
想うだけでも、不思議とやる気は溢れていた。




