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おばあちゃんの体で目が覚めると、昔の記憶がまるで夢のようにぼやけていった。
それは多分、記憶する力は体が持っているからなんだろう。
そのせいで『三付比良人』の顔も曖昧にしか覚えてなくて、探すのには手こずってしまった。
しかもこの社会は動きづらく標的が強情なせいで、目標は叶えられず。
とはいえ、そんなアタシの努力は、もう必要なくなっていた。
「……っ」
夜の道。
もうすっかり慣れた体で目的もないまま走る。
やるせない感情が胸を支配していた。
どうにかしたいのにどうしようも出来ない。ゴールに向かっていた道が突然崩れ、アタシはすっかり行く当てを失ってしまっていた。
そもそも、ゴールすら見失っている。
なら一体、どうすればいいの?
世界の真実を少し知った。知ればどうにか出来ると思っていたのに、むしろ知ったことで、アタシの覚悟は意義がなくなった。
だから感情を爆発させ、唯一の味方であるおばあちゃんの手も振り払って、こうして逃げ出している。
そうしてアタシは、途方に暮れるまま暗闇をさまよって、
「——っ!?」
突然、口と鼻を覆われた。
手足の動きも封じられ、アタシの体は暗闇に同化していた車の中へと押し込まれる。
すぐに目も塞がれて。
アタシにはもう、何も見えなくなった。




