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Find me ~俺に近づく三人が明らかに怪しい。~  作者: 落光ふたつ
第4話「五分前」
27/63

#5

 バッティングセンターの後は併設されていた打ちっぱなしのゴルフも体験し、それからまたリムジンに乗りこんでゲームセンターでも遊んだ。

 なんだかんだと楽しんでいればすっかり正午を過ぎていて、俺と咲は少し遅い昼食をとるため、近場のカフェに入店する。

 そこにはテラス席があり、空いていたしせっかくと解放感と共にランチを味わって、そうして腹を満たし終えたところで、咲が席を立った。


「お手洗いに行ってきますわ」

「おう」


 店内のトイレへと向かう連れを見送る。咲が戻ってくるまで時間を持て余す俺は、氷が溶けて量の増えたお冷をなんとなく口に含む。

 その時、向かいの椅子が引かれた。


「えっと、こんにちは、比良人くん」


 咲の座席にそう挨拶して座ったのは、蒼だった。

 彼は少し息が上がっていて、チラリと確認すれば、店先に見覚えのあるママチャリが停まっている。


「俺をつけてたのか?」

「えっ!? あ、あーえぇっと……」


 カマをかけてみれば分かりやすい反応を見せる蒼。相変わらずの不審な行動にはもう突っ込むことはしなかった。


 それと、どうやらもう一人はいないらしい。


 念入りに周囲に視線を巡らせていると、蒼が気を取り直して声を掛けてくる。


「その、比良人くんに聞きたいことがあって」

「またか?」

「ゴメン。でもいいかな?」


 辟易と俺が返すと蒼は謝って、それでも譲れないとばかりにこちらを見つめてきた。

 その瞳は、とてもふざけているようには見えなくて、俺は返事をせずに質問を促した。

 そして蒼は、俺に問いかける。


「前に言ってた、黒髪ショートの人って、きみのことを探してたりしないかな?」


 何の脈絡もない、今までとも毛色の違う問いに、俺は思わず眉をしかめる。

「は? どういう意味だ?」

「えっとじゃあ、突然消えたり——」

 俺が疑問で返すと蒼は追加情報を並べようとして、だがその続きは遮られる。


「蒼さん、そこはわたくしの席ですわよ?」


 不意を突いた指摘に、蒼はビクリと体を跳ねさせ、ものすごい勢いでその場に立ちあがった。

 そして、睨んで来る咲に引きつった笑みを向ける。


「お、お邪魔しましたー……」


 そろーりとその場を離れ背中を向けた途端、蒼は猛ダッシュで逃げ出した。停めていたママチャリに飛び乗ると、車にも追いつきそうな速度で消えていく。

 咲は存外落ち着いた様子で自席に戻り、蒼の姿が消えていった方をしばらく眺めていた。


「やはり、蒼さんがライバル……」

「そう言うわけじゃないと思うけどな」


 話の内容を知らない咲の呟きに、一応否定をしておく。

 それから結局蒼については何も分からず、俺たちはカフェを後にするのだった。


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