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Find me ~俺に近づく三人が明らかに怪しい。~  作者: 落光ふたつ
第2話「夜風繋」
13/63

#5

 二年生になって、二か月ほど経った頃だろうか。

 授業と授業の合間の休憩時間。トイレから教室へと戻っている俺は、歩く廊下の先に久しぶりの顔を見つけた。


 夜風繋。

 俺自身はそんなに関わりを持っていなかったが、蒼が気になっているというので若干の興味を抱いていた女子だ。他クラスになってから初めてその姿を見たような気がする。


 彼女は、去年もよくつるんでいた友人と楽しそうに会話をしていた。見る限り、見た目にも変化はない。

 そう言えば、蒼は何からのアクションを起こしているのだろうか。最近は彼からも夜風の名前を聞いていない。

 などと関心はあるものの、さすがにここで声を掛けに行く間柄でもないしと、俺は何の反応もせずにすれ違う。

 直後だった。


「どしたっ? 大丈夫っ?」


 焦った声を発したのは夜風の友人。

 思わず気になって振り向けば、力が抜けたかのように傾く夜風の体が支えられている所で。

 体調でも悪いのかと思ったが、夜風はすぐに立ち直り「だいじょうぶ」と告げていた。


「それより今って、」

 夜風は友人に語りかけながら、近くにいた俺が気になってか一瞬だけ目が合う。


 その時俺は、なんだか妙な違和感を覚えた。


 けれどその感覚は、瞳が見えなくなるとすぐに消え、俺自身も深く考えることではないかと判断し、その場は教室へと向かうのだった。



 この時のことは、なぜか記憶に残っている。

 特別に不思議な出来事ではない。ちょっとした疑念で当時もすぐ忘れていたのに、あとで思い返してみれば、鮮明な光景で映し出せた。



 教室に戻った俺は、寄り道もなく自席へと座る。

 隙あらば求婚してきていた咲は、最近ずっと浮かない顔でぼーっとしている。

 その表情は、中学の時から何度か見たことはあったが、特にこの数か月は日に日に憂いが増しているようだった。

 一応は、俺が見ていると気付けば微笑みかけて寄ってくるのだが、無理をしているようにも思えて、俺はそれとなく視線を向けないようにしている。


 更には蒼も、俺に話しかけてくることが減っていた。

 この前の席替えで隣同士になり、物理的な距離は近くなったのだが、なぜだか最近になって彼は読書にのめり込むようになり、ほとんどの時間、顔を上げもしない。

 それに、文字を追う眼差しは楽しんでいるというよりも真剣で。

 読んでいるジャンルを大別するなら、サバイバル系や科学関連。本人曰く「なんか必要な気がして」とのことだが、意図はよく分からなかった。


 それぞれに、変化が訪れている。

 その兆しをハッキリと感じながら、俺だけは、何をすることもなく授業の開始を待っていた。


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