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いのちの詩(仮題)

不自由

作者: 浮き雲
掲載日:2022/01/28

なにげない日常の中の、なにげない出来事の中に、生きることの不自由さを自覚することがあります。




少しだけ日が暮れるのが遅くなって


それでも、夜明けは相変わらず遅くて


時々、罪悪感にかられて


出勤前に連れ出す犬との散歩の


午前5時過ぎのあたりは


まだ、夜の中を抜け出せないでいる




喜びをからだで現す犬が


少しだけ煩わしい


歩調を合わせる気など露ほどもなく


元気いっぱいリードを引っ張ろうとする


眠気の覚めない頭が


冬の寒さと手に覚える抵抗だけを認識する


寝不足の僕の


犬への親和性は最悪だ




リードをつけていなければ


走り出す勇気なんてない癖に


繋がることで、自由奔放にふるまう犬が可笑しい


そう思いながら、人も同じかと思う


何かに繋がることで、自分を勇気づける


それは群れで生きる、社会的な「いきもの」の本能だ




持っていたリードを離す


勢いで数メートル進んだあと、犬が立ち止まる


ほら、こちらを振り返った


彼は、けして自由ではない


そして、僕も自由ではない


彼はリードがあることで、安心してはしゃぎまわる


僕は僕で、目に見えないリードに繋がれている


いつか、それを断ち切ってしまえるだろうか




手を差し伸べながら、名前を呼ぶ


尻尾を振りながら駆け寄ってきて、差し伸べた手の下に頭を入れる


その無邪気さが、少し哀しい


自由な犬は、本能のままに不自由だ


僕は、たぶん、生きるために不自由だ


不自由を選択している分だけ


僕のほうが


どうしようもない存在かもしれない




そんなことを思いながら


ようやく、冷たい朝の空気を深呼吸する


そして、思ったとおりに咳き込む


やはり、「自分」という存在は、何とも不自由だ







犬が不自由なリードに繋がれることで、自由であるように、僕たちも、社会の一員という意味で、目には見えないたくさんのリードに繋がれています。そのひとつを断ち切るためには、相応の勇気と孤独に耐える心が必要です。

いつか、孤独と友達になってみたい気がします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 私が通った中高は、校則もほとんどなく自由な学校という事になっていました。 けれども、やはり中にはいる少し社に構えた人々は、「そんな自由なんて鳥かごの中の自由だ」と反発していたりもしました。 …
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