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132、屍王の迷宮(9)
『よく来た、というべきかな?』
『吾は待ち焦がれた。汝らが来ることを』
『吾が配置した支配者たちは強かったか? 勝つのに苦労してきたか?』
『なんにせよ、ご足労いただき感謝する』
『何度も何度も、この光景を夢見たよ。まあ、吾に睡眠は必要ないし、夢も実際は見ないのだが』
『良かったよ、君たちが居てくれて』
『そこに居るという事実が大切なのだよ』
『数多の危機を乗り越えて、吾の目の前に立っている。その事実が何よりも素晴らしい』
『さあ、吾を殺してみせよ』
『吾の全てをへし折ってみせよ』
『では、まずは、』
『話をしようか』
屍王は、勇者一行を前に、一番はじめに椅子とテーブルを用意した。
そこに殺意や敵意は、一切なかった。




