渋谷スクランブル交差点
19時40分……いつもの時間。
渋谷スクランブル交差点。
すれ違う人混みの中に、僕は彼女を見つけた。
ひとめぼれ。
でも、声はかけない。
いつも同じ会社の制服、帰宅時間なんだろう。
毎日すれ違う。
でも、目は合わせない。
怖がらせたくないから。
ある日、僕は、どうしても耐えられなくて、
すれ違いざまに彼女の方を見てしまった。
彼女と目がバッチリと合い、その唇が僕にむけられ、
ゆっくりと動いた。
「み・え・て・る・で・しょ」
と。
なんだ……彼女は、僕とおんなじだった……。