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先輩は、魔法使い

「他に好きな人が出来たから。」


えっ、あっ、ちょっと


弁解する暇を与えず一方的に通話は切られた。


通話の相手はバイト先の喫茶店の先輩兼店長兼彼女からたった今元カノにクラスチェンジした1つ上の高校の先輩の

(さかえ) 万智(まち)先輩だ。


他に好きな人が出来ただけ(いや恋愛している男女としては由々しき事態なのだが)なので振られた訳でもない気がするが。何が彼女の機嫌をそこねたのだろうか?


昨日までは熱々だったはずだが、ほぼ毎日埋まっていたシフト表に昨日、「明日は休んでいいから、というか休め。」と言われたのも記憶に新しい。


家にいても暇だったので遊びに行こうと思い。喫茶店の前まで来ていたのでそのまま入店しようとすると『close』と、閉店中の札が扉にかかっていた。


僕の記憶が正しければ今日は火曜日。土日を挟んで月曜日に終業式が行われ生徒達の反感を買っていたのもこれまた記憶に新しい。


そしてこの喫茶店の休業日は月曜日。


昨日万智先輩と熱烈なデートをしたのも記憶に(ry


仕方が無いので裏の従業員用の扉から入ることにしたが鍵がかかっていた。


先輩に鍵を渡されたことを思い出し財布から取り出す。


先輩は2階に住んでいるのでこれは実質合鍵なのでは?


と浮かれて口笛を吹きながら中に入り


「せんぱ〜い入りますよ〜」


と聞いたが返事は帰ってこない。


「先輩?」


これは不法侵入なんじゃないのかと鍵がかかっていたことからも納得し早急に退散しようとする。 引き返そうと後ろを振り向いた時上から物音が聞こえた。


あんなのは何かの冗談か嘘だと確信はしていたが、実際先輩の声で聞くと不安になり、会って確認しないと気が済まなく。思考停止で階段を登っていた。


今思えばこの瞬間が新道東という男の運命の分岐点になった訳だが。何回でも僕はこの階段を上るだろうという事だけは確信できた。 何度もドラクエ5でビアンカを選ぶように。


リビングに人影が見えた。


「いるなら返事してくださいよ。」と言いながら扉を開け入るとそこに屈強な男が、いた訳ではなく普通に先輩がいた。


いや普通とういのには、語弊があった。


先輩は、肩のとこだけ若干透けていて至る所に美しい装飾がなされている白いドレスというかワンピースというか、男子には判別不能な服を着ていた。


一言で言うと、とてもファンシーだった。


バッチリと目が合う、何か感想を求めるようにじーと見てくる。


「えっと…… コスプレ? ですか?」


「よし、殴ろう。」


「今更暴力系ヒロインは流行りませんよ。」


「えっと…… 試してみる?」


僕の彼女はこんなに可愛いのだ(まだ君たちに伝わっていないと思うが)流行らないわけが無い。


「嘘です似合ってます。」


実際似合っている、こんな衣装が似合うのはうちの高校でも先輩だけだろう。


「なんか退屈な反応ね、 とても良くお似合いです、て行った後に手を差し伸べて踊りませんか? ぐらい言えないの?」


そういう男を僕も先輩も知っている。


「先輩はそう言う男が好きなの?」


「いや、そう言えば嫌いね。」


そう言えばって何だと思いながら


「で、なんでそんな格好してるんですか?」


「そうだった、私 他に好きな人出来だったんだった。 帰って、私の覚悟が砕けちゃうから。」


「本音漏れてますけど。 そうだったって思い出したように言われても。」


先輩は深いため息を着いた後、


「見られちゃったしなぁ、この姿」


先輩はおほんと一呼吸置いたあと


「私、魔法使いなの。」


先輩の激白に対し僕は驚くほど冷静に


「今から病院行くので保険証出してください。」


先輩のムッとした表情が兎に角可愛かった。


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