幼なじみは女たらしです
★下ネタが炸裂しますのでご注意下さい。
「ルアティナが好きだよ」
「そう」
ーどの口が言ってるんだか。
笑っているシドにルアティナはうっすらと笑う。その笑みは聖母のような微笑みにも見える。だが、美しい笑みを浮かべているルアティナの双眸は冷えきっていた。
「貴方、愛人何人いるのかしら?」
「十人ぐらい?あれ、十人もいたっけ」
「・・・シド、ちょっとかがんで下さらない?」
「え、いいよ」
聖母の微笑みを浮かべるルアティナはシドが屈んだ瞬間に拳を握りしめる。
「ちょっと失礼?」
「え?ルアッ!」
ーーバキッ
そのままルアティナはシドの右ほほに右ストレートをお見舞いした。見事にヒットしたルアティナのパンチにシドはひっくり返る。
ルアティナの裁きの鉄拳を受けたシドは床に呆然と寝そべっていた。
そんなシドを上から見下げるルアティナの表情は真顔だ。口元だけは笑っているが。
「出直してらっしゃい。」
「待ってよ!愛人って言ってもそんなんじゃな・・・」
「返事は?」
「・・・はい」
有無を言わせない表情をするルアティナにシドは折れた。その笑みがいつか見た魔王の笑みに似ていることに気づいてしまったシドは一人静かに震えていた。
シドを成敗したルアティナはその光景を見ていた妖精女王セラフィと神聖国女王テルベラになぜか称賛を送られた。
ーーシドは女たらしのお馬鹿さんだものね。大きくなっても変わらないし。
ルアティナの鉄拳をまともに食らったシドはふくれていたが、ルアティナの知ったことではない。
★ ★ ★
大陸会議を無事終えたルアティナを迎えに来たのはジャスパーだ。
ジャスパーはルアティナの姿を捉えると女性が見とれるような微笑みを浮かべ走りよってきた。
「お疲れ様、ルアティナ」
「なんてことないわ」
「そっか、良かったって・・・なんでこいつがいるの?」
「いて悪いか?」
「あぁ、悪い」
笑っていたジャスパーはルアティナの後ろに立っていたシドに気がつくと真顔になった。ルアティナをすばやく背にかばうとシドを睨み付けながらジャスパーは嘲るような笑みを浮かべた。シドもジャスパーに負けじとにらみ返す。
二人は昔から仲が悪い。悪いどころか
下手をしたらお互いを殺しかねない。
「なんでここにいんだいよ?女たらしのクソヤロウ」
「お前に言われたくないよ、童貞の分際で」
「童貞じゃねぇよ、女を常に侍らせてる色欲魔とは違げぇし」
「おい、もう一回言ってみろ。龍人の性欲は半端じゃないんだぞ!てか、お前も童貞じゃないなら同じじゃないか?!」
ジャスパーは普段は穏やかな青年だが
キレたら口調が変わり口からは容赦ない毒をはく。雰囲気はもはや荒々しい海賊だ。
ジャスパーとは違い、生粋の龍人であるシドは元々気性が荒い。龍の血を濃く受け継いだシドのほほには鱗が怒りのせいか浮かび上がっている。
「どうせてめぇは満足に女を喜ばせれねぇだろ?」
「一週間に一回は娼館に行ってヤってるお前はどうなんだよ、俺より経験ないくせに。」
「男は回数じゃねぇし、ただヤってる
お前とは違うけど?」
「よく言うぜ。ルアティナ似の女をあんあん喘がせて楽しんでるくせに、変態」
「そっくりそのまま返すわ。てめぇの愛人は全員黒に近い髪で目は赤に近いだろ?女にティナって名前つけてんの知ってんだよ」
ルアティナはいつも会ったらケンカしかしない二人に呆れていた。
しかも一応淑女であるルアティナの前で下ネタの言い合いをしている。それを黙って聞いていたルアティナは口元をひくつかせた。
そんなルアティナに気づかない二人はさらに下ネタを炸裂させる。
「お前がよくヤってる娼婦、ルアティナより胸小さいよな」
「当たり前だろ、ルアティナと娼婦一緒にすんなよ」
「俺はルアティナのスリーサイズを把握して女選んでるぜ?」
「はっ、俺もそんなの把握済みだ。体重や身長も全部な」
「お前、やるな」
男二人の下ネタの言い合いは止まることを知らない。
話を黙って聞いていたルアティナの顔が真顔になっていることに二人はまったく気づかなかった。
「ねぇ、私のスリーサイズなんで知ってるの?」
「「え?」」
恐ろしいほど低い声をルアティナは発した。
言い合いをやめて、ちらりとルアティナを見た二人はそのまま固まる。
ルアティナの瞳孔が完全に開いていたからだ。
「とりあえず、一回殺らせて?」
関節を鳴らすルアティナに二人は真っ青になる。
足を上げたルアティナが宙に浮かんだ瞬間、二人の男の急所に蹴りが入った。




