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公爵子息のお見合い

前にブックマーク1000件のお礼で活動報告に載せたお話です。

 私の名はロベルト・デ・ハインツ。ハインツ公爵家の長男で今年23歳となった。

 そしてその私には目に入れても痛くない程に可愛いく可憐な6歳下のセシリアと言う名の妹がいる。

 そのセシリアは産まれた瞬間から天使のような愛らしさで私の心を捕らえたのだ。

 しかしそんなセシリアには、このベイゼルム王国の王太子であるカイゼル王子と言う婚約者がいる。

 正直私は全くその二人の婚約を認めていないのだが、国王直々の話であった為どうする事も出来なかった。

 さらに困った事に、セシリアの回りには明らかにセシリアを狙っている男達(一部女性)まで現れてしまったのだ。

 確かに私の可愛いセシリアに恋する気持ちは分かるが、それでも私はセシリアとの仲を誰も認める気は無かったのである。


(・・・絶対いつかカイゼル王子との婚約も破棄させてみせる!)


 そんな意気込みを持ちつつ、将来ハインツ家の家督を継ぐ事を考えるとそろそろ私も結婚相手を見付けなければいけない歳になっていた。

 そうして私は父上達の紹介でお見合いを何度かしたのだが・・・結論から言うといまだに相手は決まっていない。

 何故なら私の結婚相手に求める条件にピッタリと合う相手がいなかったからだ。

 その条件と言うのは勿論結婚してからもセシリアを可愛がり一生セシリアと共に一緒に住んでくれる女性である。

 私はその条件を必ず見合いの場で相手の令嬢に提示するのだが、どの女性もさすがにそれは・・・と引かれ見合いの話が破談するのだ。

 父上にはその条件を止めなさいと何度も諭されたがそれでも私は全く聞く気は無かった。

 そうして半分諦め気味の父上からまた見合いの話がきたのである。


(確か今回のお相手は・・・ダンディア伯爵のご令嬢だったはず。名前は・・・マリー嬢だったかな?)


 私は父上から聞かされた情報を思い出しながら応接間でマリー嬢を待っていたのだ。

 するとノックの後扉が開き、そこから一人の令嬢が淑やかに入ってきたのである。

 その令嬢は淡い水色の髪を頭の後で纏め、桃色の瞳をした可憐な女性であった。


(へ~あまり期待はしていなかったけど・・・容姿は悪くない。しかし・・・歳は19歳だったと聞いていたが、年齢よりも大人びた雰囲気の方だ)


 そう心の中で思いながらも椅子から立ち上り笑顔を浮かべながらマリー嬢を迎え入れたのだ。


「ようこそいらっしゃいましたマリー嬢。私はロベルト・デ・ハインツと申します。本日はよろしくお願いしますね」

「初めましてロベルト様。わたくしはマリー・ダンディアと申します。こちらこそよろしくお願い致します」


 そう言ってマリー嬢はふわりと微笑みスカートの裾を摘まんで美しくお辞儀をしたのである。


(・・・礼儀作法も完璧だ。正直とても好ましい)


 私はそんなマリー嬢を見てセシリア以外の異性で初めて興味を持ったのだ。

 そうして私達は向い合わせで椅子に座りお互いの事を話したのである。


「ふふ、本当にロベルト様はセシリア様の事が可愛くて仕方がないのですね」


 マリー嬢はそう楽しそうに笑い私が語るセシリアの話を嫌な顔せず聞いてくれたのだ。


(・・・セシリアの話をして引かなかった令嬢はマリー嬢が初めてだ)


 私はそんなマリー嬢にますます好感を持ち、もしかしたらマリー嬢なら私の条件を了承してくれるかもとそんな期待が膨らんだのである。

 そして私は意を決してマリー嬢に話し掛けた。


「マリー嬢・・・もし私との結婚を考えて下さるなら、一つ条件を飲んで頂きたいのですが?」

「条件、ですか?それは一体どう言ったものでしょう?」

「・・・結婚した後も私の妹と共に一生一緒に住んで頂けるかです。勿論妹を大事にしてくださる事が前提ですが」

「・・・・」

「・・・やはり無理でしたか。それでは残念ですがこのお話は・・・」

「構いません」

「え?今何と?」

「わたくし、セシリア様と一緒に住むことは全く嫌ではありません。ですのでその条件お受け出来ます」


 そう言ってマリー嬢はにっこりと微笑んだのだ。


「っ!本当ですか!?」

「ええ。それにわたくしも是非ともセシリア様と仲良くしたいと思っています。実は・・・お城で開かれた舞踏会で何度かセシリア様をお見掛けしていまして、その時からずっとあの方がわたくしの妹だったら良いのにと思っていましたの」

「そうなのですか!それでしたら貴女の願いを叶えて差し上げれますね!」

「はい。それに・・・ずっとお慕いしていたロベルト様の妻にもなれますし・・・」


 マリー嬢はそう言って恥ずかしそうに頬を染めて視線を私から反らした。

 私はそんなマリー嬢を見て私の心臓が大きな鼓動を打ったのである。


「っ!マリー嬢!!」


 そう大きな声を上げた私は、椅子から立ち上がると驚いているマリー嬢の前まで移動しその前に跪いた。

 そしてその美しい手を取ると真剣な眼差しでマリー嬢を見つめたのだ。


「マリー嬢・・・いや、マリー。どうか私の妻になって頂きたい」

「っ!!・・・こ、こんなわたくしでよろしければどうぞお願い致します」

「ありがとう!貴女を一生大切にすると誓うよ」


 そうして私達は晴れて婚約したのであった。

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