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Part2

 

 そこは暗闇そのものであった。

 光など一切入れないとばかりに黒く分厚いカーテン。

 照明も置いていないらしく、時計がなければ今が日中なのか夜中なのかも全く分からない。

 まるで人の住んでる場所とは思えないその暗闇こそ、男にとっての安息の場所であった。


「…………………」


 男がマッチを擦って火を灯して、口にくわえた葉巻に火を付ける。

 か細い火によって照らし出された男のシルエット。男の服装全てが黒でコーディネートされていた。それはまるでこの暗闇に溶け込むように。いや、暗闇そのものであるかのような印象をすら与える。


「ふぅ」


 口から紫煙を吐き出し、漆黒の空間を何となく漠然と見つめる。

 ここは男にとって唯一心が落ち着く場所。

 最低限のモノしかここにはない。自身が腰を落ち着けるソファーに、灰皿と固定電話。そしてそれを置く為のアンティークテーブル。

 広さにして四畳くらいの小さな部屋、だが男にはこれで充分。無駄に広い空間や豪奢な調度品になど何の興味も引かれない。


「………………」


 目を閉じ、静寂を味わう。

 日頃、光溢れる街で裏社会の大物として様々な事案に対処する日々。当然ながら真っ当ではない稼ぎが男の活動の大半を占めている。

 男にとって外の世界はあまりにも多くの色に満ち溢れている。それは多分大多数の人々にとってはカラフルで、楽しそうで、また美しく見えるのだろう。だが男にとってその多くの色こそが心を、道を惑わす元凶に思えてならない。世界はもっと控えめな色で染まればいいのかも知れないとまでこの頃は思ってしまい、即座に馬鹿馬鹿しい、と思い浮かべた考えを打ち消す。そんな考えはもっとガキの頃にでも思えばいいというのに。

 くく、とした含み笑いが漏れ出る。自分のような男でも笑えるのだな、と実感したからだ。

 この部屋にいる時だけは男は″素の自身″に戻れる。

 この黒一色の光差さない部屋こそが、男にとっての安らぎを感じる結界であった。


 ♪♪♪♪♪♪♪



 そんな数少ない休息は、一本の電話によって終わりを迎える。

 この部屋にはある固定電話から発せられる音である。

 普段この電話はこうしてベルを鳴らす事はまずない。

 何故ならこの電話を知っているのは数少ない権力者達だけ。男と対等の立場、もしくはそれ以上の権力を持った者だけがかけられる電話。それがこうして鳴り響く以上、出ない訳にはいかない。

 無言で葉巻を灰皿に押し付け、火を消すと受話器を手にする。

 すると即座に相手が話しかけてくる。


「──あんたか。一体何の用だ? 

 アレ・・なら既にそちらへ向かってる。……心配はいらない。

 アレもそこらはわきまえてる。キチンと意図を読んだ上で動いてくれるさ。ああ、それでそちらからも荷物・・が来るんだな。

 分かった、──それはこちらで何とかしよう」


 電話先の人物とは何度かこうして話をしている。

 商売相手、ではない。かといって商売敵でもない。

 互いのテリトリーさえ侵さねば邪魔はしない。本来ならばその程度の間柄でしかない。


 だがこの件は互いのテリトリーを大きく乱しかねない案件。だからこそこうして幾度か情報を交換している訳なのだが、男は電話相手の事をあまり好きではない。何せ何度となく話してみたものの、常に電話相手が一方的に色々と話をまくし立てるような形になり、どうにも困るからだ。

 電話相手との話とはまさしく男が派遣・・した掃除人イタチに関わるだった。その上で、どうやら向こうからも荷物・・がこちらへ向かっている、という話。そして互いの街で密やかに推移しつつある、その事態への最終的な対処についてである。


 数分後。


 ガチャン。

 受話器を下ろした男は、これで休息が終わりを告げた事を実感しつつソファーから立ち上がる。そして電話機そばに置いてあるリモコンのボタンを押す。

 サアアア、と静かに黒いカーテンが開いていき、光が部屋を包み込んでいく。

 男は部屋の入り口にかけたトレンチコートと帽子をつける。そうして黒一色の暗闇となった男は私室を後にする。

 即座に控えていた男が、音もなく近寄り訊ねる。


「ボス、お出かけでしょうか? まだ休息の時間は」

「生憎だが休息は終わりだ。ここは少しばかり騒がしくなる。電話を寄越せ──」


 カツカツカツ、

 独特のブーツ音を鳴らしつつ男は街へと戻る。

 この男の名は″クロイヌ″。元巨大経済特区″九頭龍″通称”塔の街″で様々な意思決定を担う実行組織に於いて、九頭龍と呼ばれる大幹部の一人。今頃は向こうにつく頃であろう掃除人ことイタチの雇い主である。



 ◆◆◆



「どんよりした空だなぁ」


 エヴァンが窓の外を眺めると、分厚い雲が空を覆い尽くさんばかりに広がっている。さっきまでの抜けるような青空とはまるで真逆の、灰色の空模様。


「本当ね。でも九頭龍ってこういった天気が結構多いんだって」


 アルが手にした本を片手にこの空模様について教えてくれた。

 何でもこの地域は元々晴れよりも雲の日が多いのだそう。で、夏は湿度が高くてジメジメとし、冬は本格的とはいかないまでも結構雪が降る雪国であるのだと。


「うへぇ、何ともキツそうな場所なんだなー」

「でも食べ物は美味しくて、恐竜とかの化石発掘量は世界でも指折りだそうよ」

「マジで、恐竜かぁ。見てみたいなぁ」

「そう言うと思って、場所調べたよ」

「やった、アリガトなアル」

「いえいえ~、どういたしまして」


 二人はクスクスと笑い合う。


 飛行機から降りたエヴァンとアルは入国審査の為の列にいた。

 列、とは言っても長蛇の列とかではなく、数人程度が前に並び入国審査官から何やら質問を受けたりしている位のモノではあったが。


「にしても初めての海外旅行。俺さ、アルと一緒で本当に嬉しいよ」

「やだもう、……私もよ」


 頬を赤く染めながら、お互いを見合う二人。

 退屈しのぎに話しているだけなのに、空はどんよりと曇っているのに、その世界は何処までも輝いていた。


「はい、次の人どうぞ」


 入国審査官からの声にエヴァンが一歩前へ進み出る。

 そうしていくつかの質問の後に、取り立てて問題もなく、作りたてのパスポートには認可のスタンプが押されるのであった。



 数分後。

 不意に今し方エヴァンとアルを入国させた審査官が持ち場を離れる。そして、一本の電話を誰かに入れる。


「はい、彼らですが入国しました。あとはそちらで適切に対処を。

 はい私はこのままこの場から去りますので」


 そして制服を脱ぎ捨てると、何事もなかったかのように一般人の中に紛れ込む。

「──次の人」

 そして入国審査には別の人物が何事もなかったかのようにその業務を引き継ぐのであった。





「うっわ、スッゲェ」

 金髪ピアスの青年は思わず唖然とする。

 目の前に広がる光景に口をあんぐりとさせる。


 入国審査からは全く想像も付かない程に、空港内は多くの人でごった返していた。


 ターミナル内には様々な地域の土産物を扱う店が無数にあり、同じく様々な国々の料理を扱う飲食店が良く言えば立ち並び、悪く言えば無節操に乱雑に置かれている。


「凄いね。まるでモールみたい」

 いつの間にか土産物の店の一つにいたアルは感嘆の声をあげながら、宝飾品を眺めていた。


「ホントそうだなぁ。ヘタしたらアンダータウンよりもスッゲェかもなぁ」

 つい数日前に行った、あの無国籍で無節操で活気に満ちた陽気で騒々しい街を思い起こし、それに並ぶような活気をまさか空港で体験するとは思いも寄らなかった。

 エヴァンとアルは思いもよらず楽しい時間を過ごす。

 各地から取り寄せた土産物に興味津々となり、見た事もない国の食べ物に舌鼓を打つ。

 だからこそだろうか。

 好事魔多し、という言葉がある。

 ここはいつも二人が暮らすアトランヴィルシティではないのだと失念していた。或いは、初めての二人きりでの旅行、というシチュエーションに浮かれていた事で油断が生じていたのかも知れない。


「すみませんが、エヴァン=ファブレルさんですね?」

 そう声をかけてきたのは、警察官の身分証を見せながら話しかける私服警官らしき男。

「ああ、そーだけど」

 エヴァンとしては何で警察官に話しかけられているのかサッパリ分からず、ただただ困惑する。

「申し訳ないが話があるので少し来てもらえないか」

「いや、何でだよ」

 戸惑うエヴァンを見つめる警官のその目はこう訴えている。いいから同行しろ、と。そして警官の手がエヴァンの手首を掴もうとしてそれを払いのける。

「エヴァン、ダメ」

「……」

 その有無をいわさぬ雰囲気を受けて、心配からかアルはエヴァンの手を掴む。

 エヴァンも、それを受けて平静さを取り戻し、今の状況を理解する。いつの間にか厳しい目つきをした如何にもな男達がにじり寄って来る。今、ここで暴れでもしたら間違いなく逮捕されるに違いないと。

「分かったよ、ついていけばいいんだろ。アル、ちょっとだけ待っててな」

「うん」

 金髪ピアスの青年は、心配そうな面持ちの恋人の肩にポンと手を乗せる。大丈夫だよ、とでも言いたげに。

「じゃあ、何処へ行けばいいんだよ」

 エヴァンはそう私服警官に向き直り、そうして連行されていく。


「エヴァン…………」

 そうして一人取り残されるアルは恋人の姿が見えなくなり、不安に駆られる。

「一体何が──」

 もしこれがエヴァンであれば気付けた事だろう。

 恋人の事を憂う淑女の背後に迫る影の存在に。だがそれも仕方のない事だろう。二人を引き離す事こそが″彼ら″の目的だったのだから。




「だーかーらー、何回言えばいいんだっての。俺は何にも悪いことなんざやってねぇっての!」


 連行された先の部屋で、エヴァンは苛立ちを隠す事なく机をドン、と叩く。

 警察官からの問いかけはただ一つ。


「お前が何かを密輸している、という情報が入ってる」

「だったら俺の荷物でも調べればいいじゃねーか。ほら早くしろよ」

「荷物の中には何もない」

「そりゃそーだ。だって濡れ衣だからさ」

「嘘を言うな。何処に隠してる? 今ならムショ行きは勘弁して強制送還で済ませてやれるぞ」

「おい、いい加減にしろよな。俺は無実だっつーの」

「確かな筋からの情報提供があった。お前で間違いない」


 エヴァンははぁ、と嘆息。顔に手を当てかぶりを振る。

 こんなやり取りをずっと繰り返していたので辟易だった。


(くそ、だけど怒るな。怒る前に考えろ、ってレジーニの奴なら言うんだろうな)


 今にも怒りが爆発しそうなのをグッとこらえ、相棒ならどう対処するだろうか、とそこに思考を巡らせる。


 何回濡れ衣だと否定しても警官は一向に納得しない。

 とにかく警官はこちらを犯人だと決めつけているらしい。


(だけどこうやってジハクさせようって所を見ると証拠は何もないんだな)


 そう確信したエヴァンは、努めて冷静に、相手の挑発的な口調に対応する。そうして時間が経過していく。

 部屋に取り付けられた時計を見るともう夕方近くにもなっている。


「…………」

「くそ何て強情な奴なんだ。まさか本当に──」


 あくまで警察官は否認し続けるエヴァンの様子に疑問符を抱え出した。そうして更に時間が経過。遂に根負けした警察官はエヴァンを開放する。


「ったくもう夜じゃないかよ。アル、待たせちまってゴメンよ」


 時刻は午後七時。間もなく日が沈み、夕方から夜になりつつある。

 アルならば、待っていてくれる。そう思いエヴァンは急ぎ足で向かうのだが──そこに愛する彼女の姿はなかった。


「アル? あれ、何処行った。トイレでも行ってんのかな?」


 エヴァンは苦笑いしつつ恋人の帰りを待つ。

 だが一向に彼女は戻らない。


「はは、一体どうしたんだろな。怒ってホテルにでも行ったかな?」




 時刻は午後八時。かれこれ一時間が経過した。

 エヴァンの表情には明確な焦りが浮かび始める。

 エヴァンは携帯端末エレフォンの通話ボタンを押す。相手は当然ながらアル。これで一体何回目だろうか?


「くっそ、アル。どうしちまったんだよ」


 その表情は不安から曇り、焦燥感からか無性に何かを殴り飛ばしたい衝動に駆られる。

 ほんの一カ月程前。ある事件に於いてエヴァンはアルをさらわれた。相手は彼にとっては灰色のままの過去にまつわる少年。その時彼は言い知れぬ不安を覚えた。二度と彼女を危険に巻き込んだりしてはならない、とそう思った。

「くそっ」

 ガツンと壁に頭突きを入れる。

「あの……」

 だと言うのに、この状況は何だろうか。一番大切な人が何か大変な事に巻き込まれてるかも知れないと言うのに何も分からずここで焦っているだけ。無力感を感じ、身を震わせる。

「ちょ……」

 壁に拳を叩き付けてやりたくなる。もしもここが無人ならばそうしていた事だろう。

「すみません──」

「何だようっせぇな──!!!!」


 思わずさっきから話しかけてくる誰かに苛立ちを覚えて怒鳴る。

 普通であればその剣幕を前に腰を抜かしたり、もしくは怯えるだろう。だが、その誰かは全く怯む様子もなくその場に立っている。

 背の低い赤毛の少年だった。年の頃は多分十代の半ばだろうか。

 正直言って街で見かければ十中八九あまり印象に残らないであろう、そんな一見すると弱々しい印象の青年だった。

 おずおずとした口調でその誰かは訊ねる。


「あの、エヴァン・ファブレルさんですよね?」

「……そうだけど。何だよアンタ?」

「ああ、良かった。ええ、っとあなたに用事があって一緒に来てもらえませんか」

「何でだよ!」


 無性に腹立たしくてつい八つ当たりとも取れる口調で再度怒鳴る。

 今度はさっきとは違い、真っ直ぐに相手を睨んだ上での怒声。にも関わらずその誰かは一切動じる様子もないままに話を続ける。不思議な事にさっきまでの気弱そうな印象がそこからは全く感じられない。


「安心してください。アルさんなら無事ですよ」

「え、?」

「それに【アイツ】の狙いはエヴァンさんです。一刻も早くここから離れないと──ち」

「ん?」


 気が付けばエヴァンは自分が複数人の相手に包囲されつつある事を気配から察した。そして少年も同様に気付いていた。目を鋭く細めながらも警戒を怠らない様は彼が見た目とは不相応な程にこうした状況に場馴れした、素人ではない事を如実に示していた。

「おい、これは一体──」

「すみません、今はここから逃げるのが先決ですので質問は後で」

 少年はそう言うや否や、袖口から何かを飛び出させる。それは小型の自動拳銃。そしてそのまま何の躊躇なくパン、という音を響かせて発砲。弾丸は窓を破り、破片をまき散らせる。

「キャアアアアアア」「逃げろっっっっ」

 その銃声をキッカケとしてターミナル内は一気にパニックに。

「さ、今の内にこっちへ」

「あ、ああ。分かったよ」

 呆気に取られつつも、エヴァンは青年の後を追いかける。

 彼には何が起きているかは分からない。ただ、この塔の街がアトランヴィルシティにも劣らず物騒な街である事と自分が何か厄介ごとに巻き込まれてしまったのだ、という事実だけは理解していた。



 ◆◆◆



「はっ、はっ、はっっっ」


 息を弾ませながらアルは走る。

 今、彼女は窮地にある。何故ならば────。

「くそっ、何処へ逃げやがった」

「探せっっ。相手はここらの地理には疎いんだ」

「小娘一人捕まえられないなんてなったら、俺達が実験体扱いされちまうぞ」

 アルは男達に追われていたのだから。

 エヴァンが警察に連行されてすぐに彼らはアルへと近付いた。

 アルもまた、エヴァンと関わるようになってから少しは身体を動かすようにはしていた。手習い程度ではあったが少しばかりの護身術なども密かに習っていたりもする。もっともこの事はエヴァンには秘密なのだが。

「……」

 物陰から様子を窺う、目を凝らして慎重に相手の顔を確認するも、当然ながら見覚えはない。

(どうしたらいい? ここには友達もいなければ逃げる場所すら分からない)

 考えるだに不安しかない。本来なら警察に助けてもらうべきだとも思えたがさっきのエヴァンの事を考えると信用が出来ない。

(とにかく何とか逃げてから──)


「──見つけたぜお嬢さん」


 声がかけられたと同時に背後から手首を掴まれた。

 身長は二メートルはあろうかという巨体の持ち主だった。

「う、ううっ」

 ぐぐ、と掴まれた手首に痛みが走る。そうして引き倒される。


「はっは、もう諦めろや。大人しくするんならヒドい事はなるべくしないように心がけるからよ」

「やめてください。何をするんですか──」


 アルは精一杯の抵抗を試みようとする。

 だが彼女の身体は巨体を前に組み敷かれ、ろくに身体を動かせそうにもない。


「おいおいそいつ無傷で捕まえる手筈だろ?」

 糸目の男はそう言いつつも、止める気配はない。

「無傷で済ませばいいんだろ? このお嬢さんが抵抗しなきゃほぼ無傷で済ませてやるさ」

 巨体の男は下卑た笑みを浮かべながら組み敷いた相手を舐めるような視線で眺めながら「さて、何かいう事はあるか? どうせなら泣き叫べば楽しいんだけどよぉ」と舌なめずりをする。


「────」


 アルは無言で、だが射抜くような視線でその男達を睨む。

 彼女は己が非力さを痛感していた。だがだからこそ心を折ってはいけない、その一心で気丈に相手を睨んでいた。

 そしてその意思が相手にも伝わったらしく、巨体の男は思わず目を逸らす。


「こ、このアマ。い、いいぜ、なら手荒く扱っても文句はねぇな」


 巨体はグローブ程はあろうか、という拳を握り締めると組み敷いた相手の顔へ振り下ろさんとする。

 アルは目を閉じ、口を一文字にして耐えんとする。

 だが、拳は届かない。

 そして身体にのしかかっていた重みが嘘のように消える。


「くそアマッッッ」


 ガッシャアアンという何かが割れる音がして、それからグギャア、という男の悲鳴が聞こえる。


 ザ、ザ、とした足音が近付く。


(エヴァン。私は絶対に負けないよ)


 その一心で迫る何者かに屈しないと誓う。


 すると足音は急に止まる。まるでこちらの様子を窺うかの様に。


「もう大丈夫だよ」


 その声は女性のもの。そして明らかにさっきまでの男達とは違い、何処か気品のようなモノを感じさせる。


「アンタ強いね。感心したよ」


 さぁ、という声を受けてアルは目を開く。

 そこにいたのは意志の強そうな顔をした、ライダースーツを纏った快活そうな女性。年は自分と同じか少し下か判然とはしない。


「あの、あなたは?」

「ああゴメン。アタシはレイコ。ヨロシクね」


 そう言ってレイコは手を差し出した。


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