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前世日本の高校教師は、異世界で本物の教育者になる。  作者: 七四
第4章 ブランシュタイナー侯爵の動乱
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開戦前夜の最前線

「僕の世界では、こういう戦い方を電撃戦と言ってたんだ」

洋介は地図を指さしながら言う。


ここは、ブランシュタイナーの要塞前にある、最前線のブルト領の砦。

そこで、首脳陣が集まり、開戦後の作戦会議をしていた。

その席には、洋介、シャドウ、ルミナ、ミルト、ミリム、ノイア、獣人のルック族パロロとギギとララが地図を見ていた。


ちなみに、グルンと、ルフトはオクト草原側の最前線の砦にレオパルトを付けて待機させている。

北の森では獣人たちのミミ族とモモ族に警備をお願いした。

一応これで、神聖アレキサンドリア皇国に面する、すべての戦線に部隊を配置した。


ブルト領の総兵力は10万人。

要塞側に3万人。オクト草原側に4万人。北の森側に1万人。エルン守備隊に2万人だ。

エルンではオルファンに連絡係をさせ、ポチにも絶対エルンを死守するようホットケーキ渡して言った。

教師として来てもらったオルファンには申し訳なかったが、大局的に部隊を運用できる人材がほかにいなかったし、電話などの新兵器の使い方をマスターできた人材がほかにいなかったため仕方がない措置だった。

その分、給金を上乗せするという事で了承してもらった。


「しかし、それでは、無謀すぎませんか?グルン達の部隊と合流して、攻め込んだ方がいいのでは?」

ミルトが渋い顔で言う。


「たぶん敵もそう思うでしょう。敵の総兵力は分かりませんが、かなりの数をオクト草原側に集結させていると思います」

洋介がはっきり言う。


「だからこそ、二人に突破してもらって…」


「それでは犠牲が大きすぎます。正直言って数ではアレキサンドに絶対勝てません」

ミルトの言葉を遮り、洋介が強い口調で語り、続ける。


「対王都に兵力を向けているとはいえ、向こうも総力戦で来るでしょう。こちら側の担当の兵力は、前回の3倍の人数、18万人ぐらいは兵隊を揃えていると考えられます。その内、オクト草原側の総兵力は10万人はいるんじゃないでしょうか?」


「じゅっ、10万人!?」

洋介とシャドウ以外が驚く。


「旦那様。いくらなんでも過剰に見積もりすぎでは…」

ルミナが恐る恐る洋介に聞く。


「ルミナさん。それは早計ですねぇ。あの逃げてきた人の話を聞けば、それぐらいの予想はつくと思いますよ」

シャドウが語る。


「まさに、根こそぎ動員だからね。まあ、だからチャンスがあるんだけど」

洋介が語る。


「チャンスなんてある?」

ミリムが洋介に聞く。


「敵は数を揃えて攻め込めば勝てると思ってる。そして、この要塞は落とされないと思ってる。そこにチャンスがある。ココは元街道だから攻め落とせれば、アレキサンドリアまで早い進軍ができるし、裏をかかれたアレキサンド軍は大慌てで前線を縮小しないといけないから慌てると思うよ。」

洋介が地図を指さしながら言う。


「しかし、本当にうまくいきますか?敵が徹底抗戦して来たら…」

ノイアが心配そうに言う。


「逃げてきた人の話を聞いたら、兵力の大部分は強制的に軍に参加してる人たちだ。そんな人たちが負けると分かって戦うとは思えないね。こっちから、この拡声器で投降を呼びかけたら来るんじゃないかな?」

洋介が砦の上につけられた大きなスピーカーを見て言った。


これも、真空管を使って作った新兵器の一つだ。

作動させるために、発電機も砦に備え付けさせた。


「馬を使った機動戦はブルト軍の得意分野だし、ルック族も馬と同じように移動できるから問題ない。後の歩兵はミルトが砲車と一緒に進軍してゆっくり占領していけば1週間もあればアレキサンドリアまで行けると思う。」

洋介がアレキサンドリアを指さして言った。


「しかし、もし、アレキサンド軍が大挙してこちら側に来たら…」

ミルトが考えながら言う。


「その時は僕の仲間を使う。この要塞を落とした時点で召喚するから心配しないで」

洋介はニヤリと笑いながら言った。


「ほほう。あいつを出しますか?」

シャドウが言った。


「レオパルトに匹敵するからね。いま召喚するとただの的だし。気性が荒いから扱いづらいと思う。」

洋介は苦笑いを浮かべる。


「それは頼もしいですわ!!」

ルミナは喜ぶ。


「ちょっと、まって。グルン達はどうするの?」

ミリムが立ち上がって言う。


「グルンさん達は、レオパルトや新兵器の機関銃を使って、基本籠城戦で戦ってもらう。その為に、優先的に機関銃を配備したからね。そして、相手に動揺が見えたら一気に攻めてもらう。まあグルンさんだったら心配ないと思う」

洋介がミリムを見て言う。


「犠牲を抑えるために?」


「そう。さっきも言ったけど、数じゃ絶対勝てないからね。アレキサンド軍の人たちには申し訳ないけど、あの機関銃の布陣だったら一方的な戦いになると思うよ」

洋介が無表情で言う。


ルールントの工業力は素晴らしく。グルンの部隊に機関銃を100門配備していた。それを土塁で簡易のトーチカを作り一定の距離で十字砲火ができる様に配備していた。

その周りには堀の代わりに、馬止めと鉄条網を配置して敵を足止めできるように工作もしていた。

効率よく籠城戦ができるよう強化したのだ。


「そんなに…」

ルミナ達は絶句する。


「可哀想だけど、これが戦争なんだ。僕の世界ではまだ、対抗兵器があったけど、ここには無いと思う。味方の犠牲を最小限にするためには仕方のない事なんだよ」

洋介は一旦、間をおいて続ける。


「可哀想な犠牲者を少なくするために、僕たちが早くアレキサンドリアを占領しないといけない。皆よろしく頼む」

洋介は深々と礼をしてお願いする。


会議が終わり、各々が作戦場所に行く。


約束の期日は明日までで、すでに各部隊は臨戦態勢で準備している。

この世界では日の出とともに進軍を開始することが多く、日の出1メモ前に総員起こしを行う予定だ。


洋介は自室として割り当てられた家臣用のテントでソワソワしていた。


そこに、ルミナとミリムが来た。


「どうせ、寝れないと思ったから来たわよ」

ミリムが得意そうに言う。


「ほ…本当は私一人で来る予定だったんですが」

ルミナが顔を赤らめ、モジモジしながら、洋介に言った。


「で?二人は何しに来たの?ゲームでもする?」

洋介はわざと関係ない事を言った。


「知ってるくせに~。この前はず・い・ぶ・ん頑張ったらしいじゃない?」

ミリムはジト目で笑いながら言う。


ルミナは耳まで赤くしてうつむいた。


洋介も顔を赤くする。


「ふふふ~。今日は趣向を変えて頑張ろうかと思って~」

ミリムはあっけらかんと言う。


「お前、そんな性格だったの?」

洋介は呆れる。


「いいじゃない?私は可愛いルミナちゃん好きだし、ヨウスケも好きだから。問題ないでしょ?」

ルミナは当然の様に言う。


「問題ありありだ!」

洋介は思わず言った。


「そう?頭が固いのね。ほらほら、英雄は色を好むって言うじゃない?そんな度胸じゃ英雄にはなれないよ?」

ミリムは挑発する様にはっきりと言った。


そこまで言われると洋介もイラつく。

売られたケンカを買うことにした。


「シャドウ、すまんが…」


「私はいませんし、何も見ていませんし、記憶にもございません。予定時刻になりましたら起こしますので、ごゆっくりお楽しみください」

シャドウは洋介が言葉を言い切る前にそう言って、消えた。


「さすがシャドウさんは話がわかるわ~。ヨウスケには勿体無い!」

ルミナはシャドウの華麗な消えっぷりに感嘆の声を上げる。


「ほら、ルミナ。こっちにおいで」

洋介はルミナの手を取りベッドに招く。


「あー!私を無視するなんて酷い!」

ミリムはルミナの反対側に飛び込んだ。


「おわっ!びっくりした!」

洋介は驚く。


そして、ミリムに唇を奪われた。


ルミナは驚き、口をパクパクさせていた。


長い口づけのあと、ミリムは静かに離れた。


「私だって二人目なんだから平等に愛してよ!」

ミリムは頬を赤く染めながら怒る。


その顔に洋介は心臓に矢を打たれたような衝撃を受けた。

そして、これから起こることに期待し、興奮した。


「ミリムさん!私のヨウスk…むー!」

ルミナの言葉を遮るようにミリムが唇を塞ぐ。

そして、外からでもわかる様に舌をねじ込んだ。


2人は貪る様に音を立て、奪い合った。


洋介は2人の様子をただ見守る事しかできなかった。

そして、すでにリビドーは最高潮に達していた。


やがて、長い長い絡み合いが終わるころには、二人の目は欲情に濡れていた。

2人の息は絶え絶えで、いつの間にか服を半分ぐらい脱いでいた。


「いつまで見てるの?早くいらっしゃい」

ミリムが妖艶に洋介を誘う。


その言葉と共に洋介は服を脱ぎ棄て、狼となった。

次回は11/13に更新します。

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