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前世日本の高校教師は、異世界で本物の教育者になる。  作者: 七四
第4章 ブランシュタイナー侯爵の動乱
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二人目

「そう…やっぱり、やらかしたわけね。ハァ~」


寝る前にミリムの様子を見に行ったルミナと洋介とシャドウは、体調が回復したようだったので事の顛末を話した。

一通り話すとミリムは頭を抱えため息をついた。


「元気出して!今はこうして回復できたわけだし」

ルミナはミリムの手を掴み、明るい顔で言った。


「そうですね。おかげで対処法も出来たことですし、災い転じて福となす、です」

シャドウも明るい口調で答えた。


「うう…なんか微妙な感じ~。酔っぱらいたい気分だわ」

ミリムが苦笑いを浮かべ言った。


「ミリムさんには申し訳ないけど、今は禁酒で。もしかしたら第二、第三の被害者が出るかもしれないからね。その時は混乱を最小限に抑える為に僕らで対処しないといけないから…」

洋介ははっきり言った。


「うう…残念。でも仕方ないか。わかった。善処する」

ミリムは納得した。


「じゃあ、明日も早いのでそろそろ寝ます。お休みなさい」

「お休みなさい」

「お休みなさいませ。いい夢を」

ルミナと洋介とシャドウはミリムの部屋を出た。


「ああ!…行っちゃった。どうしよう…」

ミリムは何か言いたそうな顔でドアを見つめていた。



ミリムの部屋を出た3人はそれぞれの自室に戻った。


しばらくして、洋介とシャドウが寝る準備をしていると、扉が小さな音でノックされた。


開けると、ミリムが立っていた。


「まさか!」

「操られては無いわよ!」

洋介の反応に、ミリムは即座に返答した。


洋介はとりあえず部屋に入れた。


「どうしましたか?夜分遅くに」

シャドウが不思議そうに尋ねる。


「いや~、ヨウスケさんに謝ろうと思って」

ミリムは頭を掻いて照れ笑いを浮かべる。


「別に気にしてないよ」

洋介はミリムの言葉に笑顔で答えた。


「いや…その…なんていうか」

ミリムの歯切れは悪い。


「どうしたの?」

洋介は不思議がる。


暗くて良く分からないが、ミリムは手を胸に持っていき、何かしらソワソワ動かしている。

目線も右へ左へ動かし、ゆっくりと何かを考えているような仕草をしていた。


「??」

洋介は困惑する。


「そのね!……あのぉ~、奥さんに…して欲しいって…言った言葉…別に…嘘じゃないから」

ミリムは徐々に音量を落としながら言ったため、最後の部分はかなり小さな声でぼそぼそと喋った。


ミリムは顔を真っ赤にしていた。


洋介もミリムの言った言葉を理解し、顔を赤くする。

言葉を発しようとしたが、言葉が出なかった。


「でも!私は!リヒト王の愛人になるっていう事は諦めてないからね!!……ダメだった時は、2番目、3番目でもいいから…貰って欲しいな」

ミリムは上目づかいで洋介を見ていた。


洋介はその姿にハートを矢で撃たれたような衝撃を受けた。


『俺にもやっとハーレムの嵐が来たか…神様!ありがとう!』

洋介は転生させてくれた神に感謝した。


「か!考えておくよ。でも、僕なんかでいいの?」

洋介はだらしない顔を何とか取り繕ってミリムに答える。


「ヨウスケだから良いの。この事はルミナちゃんには内緒ね。シャドウさんもよろしく」

ミリムはウインクをした。


「この世界においては、重婚は合法ですからね。ご主人様の子孫繁栄の為、協力いたしましょう」

シャドウはミリムに頭を下げた。


「あ!私は婚約とか結婚とか形式ばったものが嫌いなの。愛人でも妾でも全然かまわないわ。ただ、愛してくれればいいの。そういう感じだからよろしく」

ミリムはそう言うと、手をひらひらと振りながら足早に部屋を出て行った。


「なんというか…自由人だね」

洋介は口をぽかんとあけながら言った。


「ルミナさんとは正反対の考え方ですね。まあ、恋愛の主観は人ぞれぞれ。その人が良いのなら良しとしましょう」


「まあ、いいか。明日からルールントでアレの製造方法の伝授もあるし…早めに寝よう」

洋介は、ベットに入る。


「ご主人様の得意分野のアレですね。何とか間に合いそうですか?」


「間に合わないと困る。だから、ガミルさんには先行して各種工作機械の作成と、人員の厳選をお願いしたんだ。情報を制する者は戦を制す。アレの製造は必要不可欠だ。平和利用も出来るしね」

洋介は目を瞑りながらシャドウに話す。


言葉を全て言い終わるとスウスウと寝息を立てて眠りの世界に入った。


「一から作り上げることは本当にご苦労な事です。お体に差し障りが無ければ良いのですか…ご主人様、いい夢を」

シャドウが深々と礼をした。



翌日、一番列車に乗りこみ、ルミナとルフトと洋介とシャドウはルールントに出向く。

駅でガミルさんと落ち合い、一部開業した飼料工場に向かった。


「一応、一期工事は終了して、生産は開始しているわ。なかなかいい感じよ」

ガミルさんは工場内をルミナ達に案内した。


「なかなか、強烈な臭いがしますね」

ルミナが眉をしかめながら語る。


「アンモニアを合成しているからね、匂いはしょうがないよ。でも、これのおかげで来年は食糧が大幅に増産できるから我慢してね」

洋介はルミナに言った。


「臭いについても、今後整備するわ。今は生産を急ぐ方が先なの」

ガミルさんは工場を見ながら言った。


現在ルールント郊外の飼料工場は急ピッチで建造が進められている。

しかし、今後の事を考えて、とりあえず第一期工事で飼料の生産を始めていた。

生産できる量は限られていたが、全て整備してから製造を始めると年単位の時間がかかるため苦肉の策だった。



「さあ、ここから先最重要機密地区よ。24メモ体制で警備してるから安心して」

ガミルが出入り口である大きな門の前でに語る。


飼料工場のほど近くに広大な敷地をぐるりと囲む、木の板で作られた塀が設置されていた。

門の所には警備の門番が立っており、近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。


「ここが話で聞いてた兵器工場ですか」

ルフトが感嘆の声を上げる。


「研究施設も併設してあるよ。ルールントの知恵を全て結集した工場なんだ」

洋介が語る。


「そうよ。各集団を説得して、まとめるのに苦労したわ~」

ガミルが『はぁ~』とため息をつきながら語る。


「いつも無理ばかり言って申し訳ありません」

洋介がガミルに謝る。


「いいの。おとこの魂は伝わってるわ。それに新技術ってワクワクするじゃない?」

ガミルさんはウィンクをして答える。


「本当にありがとうございます。恩義には必ず報いますのでよろしくお願い致します」

ルミナは深々とお礼を言う。


「あなたが頑張っているおかげで、私たちが頑張れるの。お互い様って事よ。さあ、ついてらっしゃい!」

ガミルは頑丈に作られた大きな扉を開けた。


そこには、大小様々な工場と、射撃試験場があった。

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