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この復活は始まりです

このヒーローはフィクションではありません特別編絶賛執筆中。

後書きで新情報が‼︎

『目覚めろ』

『目覚めろ、目覚めろ』

『目覚めろ、目覚めろ、目覚めろ』

空白になった私の頭の中で外部からやってきたその言葉はスーパーボールのように四方八方に跳ねていた。


「私は……。私は誰?」

四方を壁に囲まれた窓のない白い部屋。

その部屋の中心に私は横になっていた。

自分が誰で、どうしてここにいるのか全く分からなかった。

長い間横になっていたのか私の体に力が上手く入らず、そこそこ高さのあるベットから落ちてしまった。


「安心したぜ」


天井に部屋を見渡すように設置されていた監視カメラのスピーカーからそんな声が聞こえた。とても懐かしく、胸をえぐるような痛みを感じる声だった。







学園祭がつい先ほど終了し、まだ少しばかり騒がしい学内に儚さを感じつつ、俺たちは自分たちのクラスが阿呆としか言いようのない金銭感覚で買い漁ったものの、業務用冷蔵庫二つ分残った食材の一部を両手に持って寮に向かっていた。

「博学さん、これからラボに寄るんだろ?」

「そのつもりでおります」

「なら、俺も行くよ」

「いえ、勇気様はお疲れでしょうから」

「こんなのポーンと戦ったときに比べたらどうってことないって」

これから様子を見に行くのがそのポーンであるのだが……。

「分かりました。それでは朔弥様と麗奈さんも一緒にいかがですか? 持っていらっしゃる食材でお料理でもお作りしましょう」

「そんな、わたしたちがいったら……」

「二次会って事? 高校生っぽい! 明日は学校お休みだし、麗奈ちゃんも行こうよ」

「はい……」

麗奈ちゃんは断ろうとしていたのに朔弥にそう言われてはメイドとして退くに退けず、二人も俺たちに同行してラボに向かうことになった。


「嘘だろ」

ラボに入るとポーンがラボの地下にある部屋から出てきた所だった。

「博学さん、麗奈ちゃん下がって」

二次会を楽しもうとしていた女子高生の顔からモノクロームを目にした時の険しい表情に変わった朔弥は即座に反応してフラフラとした足取りでとても戦闘が出来るとは思えないポーンにナイトブラスターを向けていた。

「ひゃっ‼︎」

「「えっ⁉︎」」

俺も朔弥もナイトブラスターの銃口に驚き、可愛らしい声を出して尻餅をつくポーンの姿に思わず拍子抜けした声を出した。

「う、撃たないで、ください」

とてもモノクローム幹部の言葉とは思えないほど弱々しく女々しい声だった。

「朔弥」

「うん」

流石に無抵抗の人(モノクローム?)を撃つことは出来ないので朔弥に目で訴えるとナイトブラスターの銃口を下ろした。

「自分の名前、わかりますか?」

無抵抗のポーンをどうするべきか悩んでいると、俺と朔弥の間を通り抜けてきた博学さんが尻餅をついたポーンと同じ視線までしゃがみこみ、そう聞いた。その姿は精神科医のようだった。

「分からない、私が誰だか分からない」

「そうですか、少し待っていてください」

博学さんはポーンを椅子に座らせると俺たちの持つ食材を取ってキッチンに向かった。


「どうぞ」

博学さんはポーンの前に作ったばかりの料理を並べた。

ほんの数十分で作り上げたというのに目の前に並ぶ料理はどれも良さそうな出来映えで、見ただけでヨダレが垂れてきそうだった。

「食べて、良いの?」

「はい、お召し上がりください」

博学さんにそう言われるとポーンは料理と一緒に置いてあったナイフとフォークを丁寧かつ華麗に使い、和風な食材を使った洋食を口にした。

「美味しい」

「お口に合ったようで良かったです」

博学さんはそう言い、笑顔を見せた。


「何か思い出せましたか?」

博学さんは俺たち用にも軽い料理を作ってくれて、俺たちはその料理を囲みながらポーンとの会話を試みた。

「何も思い出せない……。名前も、何もかも」

「そうか、それなら記憶を取り戻すまでは学園内にいた方が良い」

「勇気、そんなこと無理に決まってるでしょ」

「朔弥様、申し訳ありません。私は勇気様の意見に賛成です」

博学さんはポーンには聞こえないほど小さな声で「彼女はモノクロームに命を狙われている身ですから」と続けた。

「そ、それなら仕方ないけど」

朔弥はバツが悪そうにそう言うと俺を見た。

「大丈夫だ。俺はどんな事があっても朔弥を優先する」

朔弥は俺の言葉に安心の表情を見せていたが、少し複雑そうでもあった。

結局、この日はポーンの記憶が戻らぬまま、学園祭の二次会はお開きとなり朔弥とポーンを恐れていたのかそれとも人見知りなのか終始無口を貫いていた麗奈ちゃんは寮に戻って行った。






「ポーン、妾の妹という事だけあって中々しぶとい奴よ」

博学白騎のラボを外から覗いたその少女は闇の中に消えていった。






「なぁ」

ポーンを呼んだつもりなのだが、ポーンは何も無いテーブルの上を見つめたまま反応を見せなかった。

「なぁ」

今度はポーンの向かいに座り呼んでみた。

「私、ですか?」

「そう。名前、まだ思い出せないんだろ?」

「はい」

「思い出せるまでの間、仮の名前でも付けておかないか?」

我ながら良い提案だと思った。

「仮の名前……」

「例えば……」

例を出そうと思ったが、上手く名前の例が挙がらなかった。

「歩なんてどうでしょうか?」

キッチンで皿洗いをしていた博学さんがやって来て例を挙げた。

「歩?」

「はい、『歩』と書いて『あゆみ』」

博学さんは何故その名前を例に出したのか、という理由は告げなかったが、おそらくモノクロームだった時のこの少女の名前『ポーン』がチェスでは将棋の『歩』と同じような動きをする事から思いついたのだろう。

「じゃあ、それで」

「良いのですか?」

自分で言っておきながらそれが承認されると博学さんは驚きの表情を見せた。短いながらも長い付き合いだが、こんな表情初めて見た。

「どうしてだか分かりませんが、しっくり来ました」

「喜んで頂けたようで光栄です」

いつも通りの表情で博学さんはそう言ったが、心なしか嬉しそうに見えた。






「さて、ここなら多くの人が……。多くのモノクロームが……」

深夜、人々が寝静まった頃ルークは桜将学園付近にある『玉鋼動物園』の鉄の柵を越え、モノクロチップをばら撒いた。

「さて、実験開始」

動物園は一瞬、真っ黒に光る闇に覆われた。

檻の中の動物たちの目がキラリと光った。

おはようございます、こんにちは、こんばんは。

最近後書きに慣れてきました。


今回はサブタイトルからもわかるようにあの人(?)が復活しました(復活という表現が的確なのかどうか微妙なところではありますが……)。

そして、今回の話で本編としては(おそらく)20話目となりました。

20話を超えた次回からはバトル回が続くものと思います。


次回以降の予告も済ませたところで特別編の新情報を、

特別編には『クリムゾンナイト』と呼ばれるレッドナイトに似た存在が登場予定。

クリムゾンナイト、このヒーローは敵か、味方か。

『このヒーローになるフィクションではありません特別編』8月7日更新予定。


評価や感想をお待ちしております。

それではまた次回。


東堂燈

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