この必殺技はフィクションではありません
登場人物
長山勇気……レッドナイトに憧れていた少年。レッドナイトに変身してモノクロームという集団と戦う。
香ヶ崎朔弥……勇気の幼馴染みで許嫁。口調は名家の娘とは思えないほど砕けているが、母親がいるときはきちんとした口調になる。
スッポーン……モノクロームという組織に所属し宝石店を襲う。ルークズという兵士を引き連れている。スッポンなのに亀の甲羅のように頑丈な皮膚を持ちモノクローム最強の防御を誇る。
懐かしく、新鮮な、透き通ったその電子音声が聞こえると俺の身体は0.008秒で超軽量硬化合金を用いた赤く、鎧のような模様が描かれたアーマースーツに包まれた。
「な、何者だ⁉︎」
変身した俺の姿を見たスッポーンは十年前と一字一句変わらないセリフを告げた。
「歩みを続ける赤き騎士、レッドナイト」
俺は咄嗟に思いついた言葉とレッドナイトの決めゼリフを合わせ、レッドナイトの決めポーズを格好良く決めた。
「さぁ、対局開始だ」
「やれ‼︎ ルークズ」
いつの間にか復活していた無数のルークズが俺に襲いかかってきた。
「初手から本気で行くぜ」
俺はそう言ってナイトチェンジャーを軽く叩いた。この動作で何かが強化される訳ではないのだが、俺の対局に対する気持ちは最高潮に達していた。
変身前の状態と比べるまでもなく強化された拳と脚で俺は襲いかかってくるルークズを息を吸うように蹴散らした。
蹴散らしたルークズは光の粒となり空の彼方へと消えた。
「何⁉︎ ルークズが人間ごときに倒されるだと?」
「言っただろ、本気で行くって。俺に襲いかかってくる最後のルークズを光の粒に変え俺は囚われた人たちを解放した。
「逃げてください」
「勇気」
「朔弥、逃げろ。このスッポンを倒したらすぐに戻るから」
俺は朔弥の背中を軽く押して戦場と化した桜将学園のグラウンドから逃がし、スッポーンと向き合った。
「私はモノクローム最強の防御を誇る」
そう言ってスッポーンは昨日宝石店を襲って手に入れた宝石を体内に取り込んだ。
「つまり最強の攻撃を誇る戦士でもあるのだ」
「防御は最強の攻撃って事か」
宝石を体内に取り込んだスッポーンの身体は宝石のようにキラキラ輝いていた。
「いかにも。そして、私はこの学校に運ばれてきたキングジュエルを取り込みさらなる力を手に入れる」
「させるかよ」
俺はそう言いスッポーンの身体をルークズを蹴散らした時以上の力で殴った。
「スッポンの癖に亀の甲羅みたいに硬ってぇ」
「言っただろう、私はモノクローム最強の防御を誇ると」
その言葉に嘘は無く、スッポーンを殴った俺の拳はビリビリと痺れていた。レッドナイトに変身していない状態で攻撃していたら拳の骨は粉々になっていただろう。
「人間に私は倒せない」
スッポーンはそう言って最強の防御を誇る身体を使い赤子の手を捻るかのように俺を攻撃した。
アーマースーツ越しに伝わる攻撃で俺の身体はボロボロだった。
「人間にしては中々の強さだった。だが、その程度では我らモノクロームには勝てない」
「待った」
「レッドナイトと言ったか?まだ立ち上がるか」
「あぁ、まだ詰んで無いからな」
それにここで負けたら朔弥を守れなくなる。
「王手、決めるぜ」
『トキン』
俺の言葉がコードとなりナイトチェンジャーから弾けるような電子音声と三味線と尺八のド派手な音が鳴り響いた。
「な、何だ?」
アーマースーツに張り巡らされた鎧のような模様『ナイトフォトン』が燃えるように輝いた。
「『レッドブレイク』」
ナイトチェンジャーの電子音声と俺の声がシンクロし、ナイトフォトンが右拳に集中した。
「セイヤァ」
ナイトフォトンにより燃えるように輝く拳でスッポーンにレッドブレイクを喰らわせた。
「人間の力がここまでとは」
スッポーンは体内に取り込んでいた宝石を残しルークズと同じように光の粒へと変わった。
「対局、終了」
その言葉を合図にレッドナイトの変身は解除された。
ナイトチェンジャーから排出された『歩』のナイトチップはダメージが蓄積していたようで排出されるとすぐに割れてしまった。
「何だこれ?」
スッポーンに取り込まれていた宝石を回収していると宝石に隠れて一枚のメモリチップを見つけた。
「ナイトチップに似てるけどスッポーンが持っていたのか?」
俺の記憶が正しければ、十年前のスッポーンはこんなメモリチップは持っていなかったはずだ。
「それは、モノクロチップですね」
いつの間にか隣に座り宝石を拾い集めていた黒服の男がそう言った。
「それは、レッドナイトである勇気様が持っておくべきかと思います」
口調から執事と思われるその男はモノクロチップと呼ばれたそれを俺に握らせた。
「貴方は?」
「ただの執事でございます」
それ以上の説明は無く男は地面に散らばった宝石を回収する作業に戻った。
「ここは私にお任せください。この宝石は然るべき場所にお返し致しますので」
「それではお願いします」
誰の執事なのかわからなかったが学園内にいるということは信頼できる人物であることは間違い無いので盗まれた宝石についてはその執事に任せて俺は校舎に戻った。
モノクローム地底基地
「スッポーンが人間に倒されたですって⁉︎」
スッポーンの直属の上司でモノクロームの幹部であるポーンと呼ばれる女性は人間の様な顔に驚きの表情を見せた。
「スッポーンはモノクローム最強の防御を誇るはず。人間にそんな力があるなんて聞いていないわよ」
「ル、ルー、ルルー、ルーク」
「レッドナイトと名乗る戦士が倒したですって?」
「ルー」
戦場から唯一戻って来たルークズは頷いた。
「わかったわ、貴方は少し休みなさい。その身体では次の作戦に支障がでます」
「ルー」
ルークにそう命令されたルークズはモノクロームで使われている左肩に右拳を当てる敬礼をしてルークの部屋から出た。
「レッドナイト、脅威になりそうね」
ルークはチェスの駒に似たメモリチップを握りしめてそう言った。
このヒーローはフィクションではありません「王手、『レッドブレイク』」をお送りしました。今回の話は前回の話をAパートとするならばBパートの様な話です。
戦闘描写が苦手なので迫力のある戦いをお送り出来ていないかと思いますがこれから精進して行きますのでこれからも読んで頂ければ幸いです。
次回はナイトチェンジャーの開発者が登場する予定です。




