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ハウトの過去(過去作)

作者: 偽の妹

0話


「こんにちは、私の名前はハウト。ハウト‐ジェリーよ」

「誰に向かって話しているんだ?」

「そりゃ、これからの話を聞いてくれる人にむけてだよ、フェイ☆」

「☆をやめろ」

「別にいいじゃん。ほら、私の過去話は、ね……」

「む、うむ……」


向かいの席で緊張した面持ちで座っているのは鬼姫様と半分機械の少年だ。

まだ馴染んでいるとは言い難い少年と鬼姫様に、

少しでも打ち解けてもらいたいと考えたハウトは自分の過去話を聞かせようとしている。

普段はあまり過去話をする方ではないが、

生い立ちで不遇な思いをした彼らのことを思ってだろう、

話すことを決意したようだ。

ただ、一人ではやはり辛いのか、親友のフェイとリースを伴ってだが。


「あなたたちも辛い思いをしてきたんですよね?

 私たちも半魔で辛い思いをしてきたの。

 だから、少しでも共感していただけたらと――」

「もう、そんな固いこと言わなくていいの!私が話したいから話す!

 それでいいじゃないの、ね、リース?」

「……ハウトがそう言うなら、それでいいわ」

「うん。さてと、それじゃ、そろそろ始めましょうか」

そう言うとハウトは少しずつ語り始めた。

1話


私は、とある町の、魔族の父と人間の母との間に生まれた。

母は、人間より魔族のが良いと言って結婚したらしい。

生まれた当初は可愛がってくれたんだけど、妹が生まれてから、

私の両親は変わってしまった。

いや、ホントは変わってなかったのかもしれない。

彼らは、妹を愛し、私はいないも同然の扱いを受けたの。

妹は、私のことを心配してたみたいだけど、両親はそれが気に入らなかったみたい。

次第に二人は私に暴力を振るうようになったわ。

泣こうが喚こうがお構いなし。

むしろ、泣いたり喚いたりすればするほど、私への暴力は激しくなっていたと思う。

そして、私が八歳になった時、両親は私をスラムに捨てた。

後から再会した妹に聞いたんだけど、

あいつは才能がない、あいつがいると俺たちの面汚しになる、

と、口癖のように言っていたらしい。


スラムは、人間が住んでいる場所だった。

貴族が多く住む町だったが、そいつらに虐げられてたり嫌気がさした人たちが

集まってできたのが、私が捨てられた場所だった。

私は、スラムで子どもの盗賊団――と言っても、単に貴族たちから

食べ物とかを盗むだけだけど――と一緒にいた。

はじめは喧嘩もしたし、あまり仲が良いとは言えなかったけど。

大物を盗ってくるとみんな喜んでくれるし、

冷たい雨の日とかは一緒に温まりながら耐え忍んだこともあったわ。

大人はあまり良い顔をしなかったけど、私は楽しかった。

物心がついたころにはずっと暴力を振るわれてた私にとって、

ここでの生活はとても充実していたわ。

そう、あの日が来るまでは……。


ある日、いつものようにみんなの所に行ったら、

私を除者にして出かけてったの。

誰に聞いても無言で私を置いて出かけて行ってしまう。

何か様子が変だ。

そう思って振り返ると、大きな槍をもった一人の男が、

私めがけて槍を勢いよく振り下ろしてきた。

とっさに私がよけると、男がチッ、と舌打ちして、

「おーい、まだ生きてやがるぞ!」

と叫んだ。

すると、ぞろぞろと武器を持った人たちがやってくるの。

え、どういうこと?

なんでみんな私のことをそんな風に見るの?

今まで良い顔はしなくても、こんな凶行に及ぶ人たちではなかったのに!

でも。

このまま大人しくしてたら殺される!

とにかく必死で逃げた。

でも、逃げ切れなくて、袋小路に追い詰められた私は、

「何で、何でこんなことするの!?」

と叫んだ。

すると、大人たちの一人が、こう言った。


「お前に悪魔の血が流れてるからだ!」

と。


それを皮切りに次々と罵声が飛んできた。


「悪魔のくせに私たちをだましてたのね!」

「お前のせいでウチの子が怪我したんだ!!」

「悪魔なんか消えてなくなればいいんだ!!!」


私は耳を塞いだ。

何も考えられない。

わけがわからない!

そして、一人の男が私の前にやってきて、

「ようやく、悪魔を退治できる」

そう言って、手に持った剣で私を断とうとした。

「いやああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

私は絶叫した。


次に私が気がついたとき、目の前に広がっていた光景は……。

冷たい雨が降り注ぐ町は見渡す限り瓦礫ばかりであらゆる場所が凍りつき、

水面には、大量の返り血を浴びた私が座っていた。

近くには、今まで一緒に行動してた盗賊団のメンバーの死体も転がっていた。

私はぞっとした。

これが、私の力が初めて表に出たときで……。

私はその力をコントロールできずに、町を一つ壊滅させてしまったの。

今まで仲よくしてきた子たち、襲ってきた大人たち、そんなものの見境もなく、

私は全てを破壊してしまった……。

仕方なかったの!

でも。

でも!

私は、大切な人たちを、自分の手で、殺してしまったの……。

2話


「……少し、休もうか」

フェイがそう言うと、ハウトに寄り添う。

ハウトは目にうっすらと涙を浮かべている。

嗚咽を漏らさないようにしながら。

「私はお茶をとってきますね」

リースはそう言って席をはずす。

沈黙が場を支配する。

……。

…………。

「えーと……」

そんな沈黙に耐えかねたのか、少年、理央は言葉を発する。

「ハウトさんにも辛い過去があったんですね」

「ああ。ここにいる奴は、誰も彼も何かしらの過去を持っている」

「そうだったんですか」

「ああ。お前たちを助けたヒサメも例外ではない。

 だからこそ、彼女はお前たちを助けたんだがな」

理央は何か考えながらうんうんとうなずいていた。

「お茶、持ってきました」

「おう、助かる」

「いえいえ~」

「ハウト、これ飲んで、少し落ち着け」

「……うん」

ハウトは促されるままにお茶を飲み始める。

「えっとさ、ちょっと気になったことがあるんだけど……」

続けて良いか迷いながら、鬼姫様こと単衣ひとえが発言する。

「何だ?」

フェイが代わりに答える。

「その、何でハウトは悪魔の血を引いているってばれちゃったの?」

「ふむ、たしかにそうだな」

「フェイー、それじゃあ答えてあげたことになってないじゃん」

「じゃあリースは答えを知ってるのか?」

「うっ。わ、私も知らないけどさ……」

「旅人よ」

思わぬ方から、ある意味当然と言えば当然の人から答えが告げられる。

「もう大丈夫なのか?」

「うーん、まだ本調子じゃないかも。ありがとね。

 とと、さっきの単衣ちゃんの答えだけど、とある旅人なの」

「何でわかるの?」

「前の領主のスキアから聞いたの。とはいえ、憶測でしかないけどね。

 スキアが言うには、ヒサメの過去の話の一部に私がいた町があったらしいの。

 彼女の過去は私も聞いてるし、旅人というのも……」

少し考えるように、ハウトは話を切る。

「ううん、ここから先は、ヒサメに聞いた方がいいわね。

 もっとも、彼女が素直に答えるとは思えないけど」

「ふーん、じゃ、今度聞いてみよっと♪」

「いや、素直に答えるとは思えないって言ってたじゃんか」

「あたしにかかればそんなの余裕よ、余裕」

「じ、じゃあ僕も便乗しちゃおうかな……なんて……」

「はぁ、拷問にあっても知らないからな」

「「ご、拷問!?」」

「あははは、うん、そうね、ヒサメならやりかねないわね。

 よし、ちょっと調子戻ってきたかな」

「お、そろそろ続きといくか」

「うん。あ、フェイ、また落ち込んだら、ね?」

「ん、わかった」

ハウトは可愛くウインクしながらお願いして、フェイは軽くそれを了承する。

そして、ハウトは再び過去の話を語り始めた。

3話


滅びた町を後にした私は、行く当てもなく彷徨っていた。

何も考えられなくて、ただ打ちひしがれていて……。

そんな時に、あの人と、出会ったの。

アレッシア。

その人は、私を見るなり、いきなり、

「あたしの弟子になってみない?」

なんて言い出すのよ。

意味がわからなかったわ。

でも、それでも、嬉しかった。

何もかも失った私を拾ってくれる人がいたんだ、て。


アレッシアは、いろんなことを私に教えてくれた。

ある日、私に指定したものをとってこい、と言ってきた。

ほとんどは野草とか獣の肉とかだったんだけど、

ヘアブラシだけはどう頑張っても手に入れられなかった。

何に使うか聞いても教えてくれないし、持ってこれなかった罰として食事抜きにされたし……。

またある日は、ひたすら走りこみだった。

休憩なんて存在しないかのように、日が昇ってから沈むまで、ひたすら走るだけ。

彼女は、

「体力をつけるためには走り込みが一番だ」

て言ってたけど、私は本当かちょっと疑問に思ってた。

またある日は、アレッシアがとってきた野草と肉を使って料理の仕方を教えてもらった。

「女は料理ができてこそ輝くのよ」

といって、やり方だけで実践できないアレッシアはどうかと思ったわ。

ここまで聞くと、何で私がアレッシアの言うことを聞いてるのか、ちょっと気になった?

アレッシアに、師匠の言うことは絶対だ、だから逆らっちゃだめだ、て言われててね。

どんなに変なことでも必ず従うようにしてた。

それに、また独りになるのが怖かった。

私のわがままで愛想を尽かされて、独りになるのが何より怖かった。

アレッシアはもしかしたら私の気持ちなんてお見通しだったのかもしれない。

だって、教えてくれることのほとんどが、一人でも生きていけるようにするための

戦闘技術、サバイバル技術ばかりだったもの。

ちょっと変わってるけど、楽しかった日々が続いていたわ。

あの日が来るまでは……。


いつものように、私たちは森の中で狩りをしていたら、

「いたぞ!こっちだ!」

そんな声とともに、人間どもが襲ってきたの。

手には剣や槍、斧を持った、鎧をまとった兵士たちがぞろぞろとやってきた。

私は、発見した奴を始末すると、まずアレッシアと合流することを考えた。

アレッシアも何人かと交戦していた。

私はすぐに助太刀に入り、状況の確認をおこなった。

どうやら、私が町を滅ぼしたことが何者かによってばらされていた。

それで、しらみつぶしに捜索に当たっていたセントビアの人間がたまたま私を発見して、

今に至ったようだ。

アレッシアは知らぬ存ぜぬを通していたら襲われたらしい。

「まずいよ、このままだと囲まれちゃう」

「そうだな、仕方ない……」

そう言うと、アレッシアは一人森の中へ入ろうとする。

「私が囮になるから、お前だけでも逃げのびるんだ」

「えっ!?何言ってるの!?そんなの嫌だよ!?」

「師匠の言うことは絶対、だろ?」

「でも!?」

「いたぞ、取り囲め!」

兵士たちが私たちを包囲して、アレッシアはしかめっ面をする。

「おとなしくしていれば、殺すのだけは勘弁してやろう」

「はいそうですか、とでも言うと思ったか!」

アレッシアは自分の周囲にいた兵士を自慢の槍で薙ぎ払う。

「ぐはっ!」

「くそ、取り押さえろ!」

「いまだ、ハウト、早く逃げ……がふっ!」

「アレッシア!!」

「私は……ぐっ……いいから、早く……」

「アレッシアに――」

不意に、私の魔力があふれ出るのがわかる。

「ひどいことするなーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

私が叫ぶと、あたり一面に光が満ちた。


どれくらい経っただろう。

私が意識を取り戻した時、愕然とした。

目の前に広がっていた光景は、血まみれの兵士たちの死骸と、凍りついた地面。

そして、アレッシアの、血まみれの、体。

「え……ウソでしょ……。ウソって言ってよ……。ねぇ、アレッシア。いつもみたいに

 何でもない、て言って起き上がってよ!アレッシア!アレッシアーーーーー!!!!」

まただ。

また私が。

大切なものを。

壊してしまった。

もう嫌だ!

こんな自分は、もう嫌だ!!

私さえ、いなければ……。

私さえ、いなければ!!!


私は走った。

とにかく走った。

そして、気がつくと目の前には大海原が広がっていた。

……。

私は、海へ身を投じようとしていた。

私がいなくなれば、これ以上悲しいことは起きないだろう、と。

そう言って、一歩、また一歩、海へと近づいていった。

4話


「……ふぅ、ちょっと一息入れるね」

「またずいぶんなところで区切ったな」

「まぁね、それに、いくつか補足したいことがあるし」

「あ、じゃあ私は新しいお茶用意してきますね」

「うん、おねがい」

リースが席をはずす。

ハウトはうっすらと目に涙を浮かべているが、先ほどよりかは安定しているようだ。

「補足って?」

単衣は先ほど言ったハウトの言葉に疑問をぶつけてきた。

「あ、うん。多分ここから先はアレッシアの話は出てこないからね。

 ずいぶん後になってから聞いたんだけど、アレッシア、生きてたのよ」

「本当!?」

「うん。それも、私の友人の師匠をやってたんだって。

 もっとも、友人が免許皆伝になったあたりで亡くなっちゃったけどね」

「あ……そう……なんだ」

単衣がしょんぼりする。

「もう、そんな顔しないで。友人から聞いた話だと、私のことは心残りだったらしいけど、

 あなたにならまかせられる、て言って、幸せそうに亡くなったそうだから」

「……ハウトさんは、強いんですね」

「そんなことないわよ。今でも、このことを一人で話せる自信はないわ。

 支えてくれる人たちがいるから、私はこうやっていられるのよ」

「あら、嬉しいこと言ってくれるわね」

リースがタイミングよくお茶を持ってきた。

ついでにフェイとウインクなどしながらだ。

「今だって、ホントならフェイに甘えたいぐらいなんだから」

「俺は別に構わんぞ」

「も、もう!そんなこと言って!」

ハウトは顔を赤くしながらもじもじしている。

フェイも言ってから恥ずかしかったのか、ちょっと顔を赤くしてそっぽを向いている。

「けっ、いちゃつきやがって……」

リースが何か怖いことを言っている。

「そーれーでー、補足することがほかにあるんじゃないですかー」

リースが嫉妬心むき出しで話題を強引に戻す。

ちなみにリースはフェイのことが好きだが、とある事情により既に結婚している。

フェイもとある事情により既に結婚しているので、急にドロドロした雰囲気に

なったような気がするかもしれないし気がしないかもしれない。どっちなんだ。

「あ、うん。あるとしたら、やっぱりチェルノのことかな」

「ああ、あの人か」

「「??」」

単衣と理央は揃って首を傾げる。

「チェルノ‐ザード。私が壊滅させた町の生き残りよ」

「え、生き残り?」

「えぇ、当時は私も気がつかなかったけど。彼女は貴族の家の子で、私が町を滅ぼしてから

 とても不遇な思いをした人なの。それで……」

ハウトは何か思うところがあるのか、歯切れが良くない。

「……もう少し休むか?」

フェイが心配してそう聞いてくる。

「ううん、大丈夫。ここから先は辛いだけじゃないしね」

「そうか」

「さて、続きを話すとしますかね」

そう言って、ハウトは先ほどの続きを語り始めた。

5話


「おい、君はそこで何をしている?」

海に身を投げようと思っていた私を引き止める声が突然した。

さっきまで、私の周りには誰もいなかったはず。

いや、気が動転していて気がつかなかっただけかもしれない。

「……私に構わないで」

「突然近くで光が上がって、急に君が現れて、構うなという方が難しい」

「!!」

とっさに私は声の主の方を見た。

声の主は、ぼろぼろになった学院の制服を身にまとった青年だった。

「……私に、何か用?」

私は警戒心を隠さずにそう尋ねた。

「そうだな、用があるとしたら――」

そう言って一歩、近づいてくる。

「近づかないで!まだ私を狙ってるの?それなら、ほっといてくれれば用は済むはずよ」

「……やれやれ、じゃあ単刀直入に言おう。君の力を貸してほしい」

「…………は?」

「俺には成さねばならないことがある。そのために力を貸してほしい」

「いや、え?だって、あなた、光を見たなら、私のこと――」

「過去の素性にこだわるつもりはない。必要なのは、今を変える力を持っていることだ」

私は戸惑った。

せっかく私はこれ以上誰にも迷惑をかけないでいけると思ったのに、

この男はそれを妨げようとしている。

でも、私を必要といってくれている。

いや、私の力を利用したいってことだろう。

結局私は、

「……私をどうするつもり?」

そんなセリフを吐くことしかできなかった。

「なに、君は普通に暮らしていればいい。力が必要な時はこちらからお願いするだけだ」

「……」

私は考えた。

こいつは一体何を考えているんだ?

私の力を貸してほしい?

どういうことだろう。

ただ一つ言えることがあるなら、私を必要としていることだ。

考えて、考えて、それで、一つの結論を出した。

「一度は捨てようとしたんだもの。あなたに任せるわ」

「そうか!それは助かる。私の名前はブリング‐アペンドだ。これからよろしくな」

「私はハウト。ハウト‐ジェリー。言っとくけど、まだ完全に信じたわけじゃないからね」

「別に構わんよ。さて、みんなにも新しい仲間ができたことを教えてやらなきゃな。

 ハウト、ついてきてくれるか?」

「ええ、わかったわ」

正直、甘えたい自分がいたのかもしれない。

二度も全てを破壊した私なのに、また優しさを求めてるのかもしれない。

正直、胡散臭さがぬぐい切れなかったけど、もしかしたら、私を救ってくれるかもしれない。

そんな淡い希望を抱きながら、私はブリングと名乗った青年についていった。


私とブリングはゲートとよばれる、時空の歪みを利用して、

あたり一面木々で覆われている地帯に来た。

ブリングは、こっちだ、といって、森をどんどん進んでいく。

しばらく歩いていると、なにか城のようなものが見えてきた。

目的地はここなのかな、と思いながら彼の後をついていく。

もう城が目の前にあるくらい近づいた時、急に視界が開けた。

広いわけではないが、私がみた辺りは手入れされた草原になっていた。

そこには何やら訓練している人や、私を見てにやにやしている人たちがいる。

「お、ブリング、また新入りを連れてきたのか?」

「あぁ、今回もなかなかの素質の持ち主だと思うぞ」

「ほう、それならすでに俺よりは強いわけだ」

何やらイケメン同士の会話が繰り広げられている。

そこへ、訓練していた人がこっちにやってきた。

「貴様より弱い奴なんかいねぇよ」

「んだとコラー!!」

「おう、やんのかてめぇ!?」

……なんか一触即発な空気になってるんですけど。

「あ、あの、これは、どうしたらいいんですか?」

「あぁ、放っておけ。いつものことだ」

「ん?おぉ、すまねぇすまねぇ、つい熱くなっちまった。あんた、名前は?」

「えっと、ハウトです」

後ろで何やら騒いでる人もいるみたいだけど、とりあえず名前を聞かれたので答える。

「ハウトか。おれぁディアーだ。よろしくっ」

「あ、はい、よろしくお願いします」

「あぁなんだ、そんな固い言葉遣いしなくていいんだよ。もっと気楽に、な?」

「えっと、わかった」

「はっはっ、それでいい!んで、さっきおれに弱ぇ、て言われたのがライティスだ」

「誰が弱いだテメェコラ、やんのか、ああっ!?」

「てめぇ以外にいねぇだろうが、つーか挨拶しろ挨拶」

「ちっ……おれがライティスだ、みっともないとこ見せて悪かった」

「ははは……」

なんかイケメンって言うよりガラ悪いにぃちゃんみたいな人たちだな。

「ディ、ディアーさーん、素振り千回終わりましたー」

「お、思ったより早ぇな。じゃあ今日はあがりでいいぞ」

「は、はいー。ああー、疲れたーーー」

少女はうなだれながら城の中へ入っていく。

年は私より年下かな?

「あの、今の子は?」

「うん?あいつぁリース。ブリングが連れてきたんだが

 戦闘の腕がからっきしなんで鍛えてやってんのよ」

「へぇ」

「ほら、挨拶が済んだのなら早く歓迎会の準備しないか!

 昨日と合わせて二人も来るなんてそうないんだからな」

「ヘイヘイ、わかりましたよ」

そう言うと、ディアーとライティスは城の中へと入っていった。

「ハウトも城の中で待っててくれ」

「え?……わかった」

私はブリングに促されるままに城の中へと入っていった。


城の中は、まず目に入ってきたのは大広間にある大きなテーブルだった。

入口からすぐのところに何十人も座れそうな大きくて長いテーブルがあった。

そこには何やら料理が置かれている。

と、

「ハウトは、こっちに来てくれ」

ブリングが私の手を掴んでどこかへと連れて行く。

向かった先は廊下だった。

そこにはすでに先客がいた。

少年は私の方を一瞥すると、すぐに視線を落とす。

年は私と同じくらいだろうか?

「彼はフェイ。君と同じで新しく仲間になってくれた人だ」

「……よろしく」

ぶっきらぼうに答えた彼は、警戒心をむき出しにしているようだった。

「私は、ハウト。ハウト‐ジェリーよ。よろしくね」

「……」

もう、なによこいつ!

せっかく人が挨拶したのに無視なんかしちゃって、感じ悪い。

「あぁ、まぁ、仲良く、な?」

私が睨んでいるのに気がついたのか、ブリングはそう言った。

「は~い」

「……わかったよ」

私とフェイは揃って返事する。

「じゃあ、しばらく二人でここで待っててくれ。準備ができたら呼ぶから」

「え、ちょっと!」

「またな」

私の声も聞かずにブリングは大広間へと戻っていった。

「……あんた、なんでここに来たんだ?」

「え?」

意外にもフェイが、私に質問してきた。

「……」

「えっと、その、自分が嫌になって、死のうかなー、て思ってたところを

 ブリングに拾われて、と、そんな感じかな」

「……そうか」

フェイはなにか考えているようだ。

「その、私が話したから、フェイも話してほしいかな、なんて」

「……傭兵としてだ」

「うん。それで?」

「……それだけだ」

「……え?」

なんか、すごく嘘っぽい。

絶対なにか隠してるよ、この人。

私が不満顔だったのを見て、フェイも黙ってしまう。

もう、ブリング、こんな人と二人にしないでよぅ……。

どれくらい沈黙が続いただろうか。

「二人とも、準備できたぞ……て、ずいぶん静かだな」

「あははは……」

「ほら、二人ともこっち来て」

「あ、ちょっと!何度も強引に引っ張らないでよ!」

「悪い悪い、でも、ほら、早く行きなって」

何をそんなに急かすのだろう。

そう思いながら、大広間へと出ると、

パーーーーーン!!!

「「「「ようこそ、フェイス領へ!」」」」

多くの人たちが大広間に座っていて、歓迎してくれた。

私とフェイはきょとん、としていると、

「ほら、二人とも主賓なんだからもっと盛り上がれ」

後ろからブリングさんがけしかけてくる。

「「は、はぁ」」

「お、仲ぴったりじゃねぇか!さてはもうしっぽりとがふっ」

ライティスの語尾が変なのはセリフの最後の辺りで殴られたからだ。

「ってぇな、なにしやがんだてめぇ!」

「おう、やろうってのか!?」

「「あははは……」」

「お前ら、今ぐらい我慢しろ、我慢を」

ブリングがライティスとディアーをたしなめる。

「二人とも、これから、この領を盛り上げてくれよな?」

この日から私は、フェイス領の一員として、過ごすことになった。

6話

「ざっとまぁこんなところね」

「良かったぁ、最後はなんか幸せそうで」

「この後もいろいろとあるけど、最初に話した時と違って、

 フェイもリースもいてくれたから乗り越えることができたの」

フェイとリースが揃って微笑む。

「ハウトさん、今日はありがとうございました。僕も少し勇気がもらえそうです」

「もう理央君、そんなかしこまらなくてもいいのよ。好きで話しただけなんだから」

ハウトは少し照れくさそうに言った。

「単衣ちゃんに理央君。あなた達も大変だったと思うけど、

 私の話を聞いて、少しでも思いが共有できればいいな、と私は思うわ」

そう言って、目を閉じて微笑むハウト。

その姿は、過去の彼女からは想像できないほど自信に満ちており、

また、安心した様子だった。




初めましての方、初めまして。

前回も見てくれた方、ありがとうございます。

偽の妹と申します。


前作がゲームシナリオの編集だったのに対し、

今回は初めて小説として書いてます。

初めての作品だけあって、拙いところがたくさんです。


ハウトについてですが、この後の話も一応物語はありますが、

それはまた別の機会に書きたいと思っています。

もしかしたら書かないかもしれませんが(汗


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回作、あるかわかりませんがお待ちください。

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