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初めての一歩

たぶん今年最後の更新になります。

皆様、お気に入り登録ありがとうございます。

楽しんでいただけたら嬉しいです。

 彼方への引き継ぎも完了し、ダンジョン喫茶店の扉に星のマークが刻まれるのを確認すると、春子はダンジョンに降り立った。ダンジョンメイカー専用のエレベーターを勧められたが、何百年ぶりに喫茶店以外に踏み出す気持ちが膨れ上がり、ゆっくり歩いて地上に向かう事にしたのだった。

 喫茶店はダンジョンに在るが、時間軸の異なる別空間にある。そのため降り立つダンジョンを選べても階層を選べない。彼女が喫茶店から一歩外にでると、褐色の床と壁、天井が見えた。


「はじめのいっっっぽっ!」


 まるでダルマさんが転んだを始める少女のような微笑ましい様で、喫茶店との境界線を飛び越えた春子。その様子を彼方は、温かい目で見送った。


 さて、春子は一体どの階層に降り立ったのだろうか。人の施しは素直に受けとれ大馬鹿者は、いたのかいなかったのか。その時は、誰も知らない。



コツコツコツ

コツコツコツ

コツコツコツ

コツコツコツ


「ある~日~黒髪の少女がぁ~落ちたのはぁ~♪…………」


コツコツコツ

コツコツコツ

コツコツコツ


「わたし~の手をとぉったぁ~愛し―いあのひとぉ~♪………」


コツコツコツ

コツコツコツ

バサッ

バタッ

コツコツコツ

コツコツコツ


「あ~なぁたぁ~に~、ときめくぅ~♪………」


コツコツコツ

コツコツコツ

ゴロ

コツコツコツ

ゴロゴロ

コツコツコツ

ゴロゴロゴロ

コツコツコツ


「ん~♪………ん?」


ゴッゴッゴロゴロ

ゴロゴロゴロ

ゴロゴロゴロ


 陽気に若かりし頃の思い出を歌にして口ずさみながらダンジョンを歩く春子。歩きながらも常時発動スキル《強者の波動Lv:max》で敵は倒れ道が開かれていた。そんな春子を嘲笑うかのようなダンジョンのトラップが近づく足音が迫っていた。


「キャッ!!キャァァァァァァァァァァァァァァァァ~」


スキル《疾走》が発動しました


ゴロゴロゴロゴロ

ゴロゴロゴロゴロ


「いっやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~」


スキル《瞬足》が発動しました


ゴロゴロゴロゴロ

ゴロゴロゴロゴロ


「なっ、なんで追いつくぅぅぅぅぅぅぅぅ~」


スキル《光速》が発動しました


ゴッゴッゴッゴッ

ゴッゴッゴッゴッ


「うっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~しかも下り坂ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~」


ゴゴゴゴ

ゴゴゴゴ


 迷路の様な部屋をひたすら走り回る春子。下り坂と上り坂を繰り返し、1人がギリギリ通れる程度の狭さもあれば、今にも崩れそうな道や落とし穴もありの迷路をループした。


「もぉぉぉぉぉ―切りがない!ハッ!」


スキル《武王の突きLv:max》が発動しました


 迫ってくる巨大な岩石を割ってしまえば良いことに気付いた春子は、意を決して空手のような構えをとり一気に突いた。すると、逃げ回った時間は一体なんだったのだろうと思う程、あっけなく巨大な塊は砂のように崩れた。


「あら?何かあるわね。」


レアアイテム《帰還の珠》を手に入れた


「あらら?これって、もしかして、地上までひとっ飛び?

もう疲れたから使いましょう。」


 春子が帰還の珠を使うと、彼女の体は眩しい光に包まれ、その場から脱出した。



 春子が再び目を開けると、目に飛び込んできたのは地上の景色………ではなかった。


「あれ?早いお帰りですね。忘れものですか?」


 目に飛び込んできたのは、数時間前まで一緒に過ごしていた弟子の彼方だった。春子を苦しめた巨大な岩石と迷路の階層の発案創造者である、田中彼方だ。


「か―なぁ―たぁ―ぁん?」


スキル《悪魔の微笑みLv:max》が発動しました


「ど、どど、どうしたんですか?」


スキル《悪魔の微笑み》はダンジョンメイカーの特殊条件により無効化されました

ダンジョン喫茶店はダンジョンメイカーの管轄内です

ダンジョン喫茶店はダンジョンメイカーの管轄内です

ダンジョ


「チッ………」


「舌打ち!?春姉恐いです!」

「……ねぇ、帰還の珠使ったらここに戻ってきたのだけど、どういうことかしら?30字以内で答えなさい。」

「え、あ―、春姉は地上に出た事がないからです!ですですです!」

「は?」

「だ、だから、帰還するのはダンジョンに入る前にいた場所です!ですですです!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」

「こわいこわいこわいこわい!」


スキル《師匠の拳骨Lv:max》が発動しました

喫茶店マスタースキル《師匠の拳骨Lv:max》は、ダンジョンメイカーの特殊条件で効果半減されました

喫茶店マスタースキル《師匠の拳骨Lv:max》は、ダンジョンメイカーの特殊条件で効果半減され


「痛っ!」

「この馬鹿っ!」

 結局、春子はエレベーターで地上へ向かっていったのであった。

 のちに春子は語る。あのダンジョンはなめちゃいけない。覚悟してかかりなさい、と春子が各地で量産した舎弟たちの心にその言葉に刻まれた。

 黙っていれば美しい令嬢な春子だが、幸か不幸か彼女を【姐御】と慕う男女が増える一方であった。


「あ~の~ひっとのぉ~唇はぁ~悪魔のぉ果実ぅ~♪………」


 今日も明日も明後日も、春子は陽気に歌いながら歩んでいく。

春子さんは最強すぎるので、今後登場しない予定(たぶん)。要望あれば考えます。

スキルはてきとーです。場面状況とスキル名からどんなスキルか想像して下さい。

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