捜査 【狩谷】
ペースは、すごくゆっくりと投稿するかもしれませんが、全作品、必ず完結させる予定です。
「これは酷い…」
あまりにも無残な光景に少し目を背ける。
部屋のドアロックを解除してもらい、入ると
部屋には肉片が飛び散っていて、換気扇の近くに死体が横たわっていた。
自慢じゃないが俺は刑事を長年やってて、殺人現場っていうのに慣れたつもりだった。
俺の目の前にある男の死体は切り取られたように両腕がなかった。
いや、切り取られた、と言うより何かに巻き込まれた、という方が正しいだろう、切断面がグチャグチャで切り込みが入った骨も少し見える。
「警部!死因が判明しました!」
若い刑事が部屋に入ってくる。また彼も、死体を見ないようにしながら、俺に近づいてくる。
「そうか、外傷は腕しか見当たらないから…毒殺だと思うが、どうだ?」
「さすがですね、毒殺だそうです」
苦笑混じりに刑事が返す。
「やはりな…で、コイツについて何かわかったか?」
「はい、ここから近くにあるマンションに住んでいるそうです。名前は中神信彼のpcを調べたところ、最近起きている殺人事件の犯人だと分かりました」
「…!?それは本当か!」
「は、はい。間違いありません」
驚いた……まさか中学時代の友人が殺人者になって、しかもこんな形で殺されているとは…
「警部は中神と知り合いだったんですか?」
「ああ、中学時代の友人だ。よく遊んだものだ…顔がかなり変わってて判らなかったが……」
「皮肉なものですね」
「ああ、しかし、なんでこんな死にかただったんだろうな、こいつは毒ガスで死ぬと分かってたんだろうか?あんなところに腕を突っ込んでも痛いだけだろうに…」
「あの奥になにかあったのでしょうか?そうでもないと入れる意味がありません」
「そうだな、調べてみるか」
力任せに周りの壁ごと壊すと、スイッチらしきものと注射器が置いてあった。
「このスイッチは…部屋のロック解除のスイッチか?おい、この中身、調べとけ」
「了解しました」
注射器を若い刑事に渡し、俺も部屋を出た。
「どうだった?」
車に乗り込むと、運転席にいる若い男がチョコレートを口に頬張りながら尋ねた。
こいつは俺の相棒の松本拓也、かなりの甘党で、死体愛好家だ。
「ひどいもんだった…ほらよ、資料だ」
「さんきゅ……これはまた美しい光景だね」
松本は目を輝かせながらパラパラとページをめくっていく。
「で、狩谷さんはこの光景を見てどう思う?」
不意に松本が話しかけてきた。
「上は怨恨だと考えてるらしいがきっと違う。なぜならばこの状況はまるでゲームだ、怨恨ならば必ず殺すはずだがどういうわけか、この部屋には解毒剤とこの部屋のドアを開けるスイッチがあった。だから怨恨じゃない。それに殺すだけならこんな大掛かりな装置を作ったりもしない」
俺は写真の換気扇を指さしながら話を続ける。
「それにこの換気扇の羽、コイツはどうやら特注品だ。刑事が言うのもなんだが、人を殺すのに普通ここまで費用をかけねぇ……だからこいつは人が苦しむのを面白がる奴らのために作ったんじゃないかな…っていうのが俺の考えだ」
「流石だねぇ狩谷さん。でも俺はこうじゃないかとも思うよ」
「…?」
「見せしめだよ」
「見せしめ……?」
「うん、テレビや新聞などを通して日本中に伝えるんだ。【コイツはこんなことをしたから殺されたんだ!お前らもこの男のようになりたくなければ、おとなしくしてろ!】って感じでさ」
「なるほどな…」
その考えはなかった。
「確かにその可能性もあるな」
「ふふん、ありがとー」
褒めて気分がよくなったのか、松本は上機嫌で車を発進させた。
沈黙の中、走り続けている途中に俺はふとした疑問を松本に投げかけた。
「しかし、お前よくあんなこと思いついたな、びっくりしたぞ」
「あー、アレって警察の資料保管庫にあった資料に書いてあったんだ。ああ、その資料庫の38番目、死体がたくさんあってて良かった。って覚えてる」
思わずため息がでた。
「お前たまにいなくなると思ってたらそんなとこにいたのか…」
「やり過ぎは体に良くないし、同じ仕事ばっかやってても退屈なだけだし」
上司に向かってここまで言うところもコイツの凄いところだ。
「そういえば…資料…?資料ってどんなだ?」
松本が見た資料が気になり、尋ねた。
「残念ながら、今ここには無いよ」
「そうか、じゃあ本部に戻ったら見せてくれないか」
と俺が頼むと、
「いいよ、じゃあ本部でね」と奴は返した。
その言葉を境目に、車の中には再び沈黙が訪れた。
暗い道路を目的地に向かって車は順調に進んでいった。
一応ここにきていない間にもネタは考えていて、結構出てきたので詰まることはないと思います。
観想があったらよろしくお願いします。




