「ホモ・サピエンス・サピエンス」に関する幾つかの愚かな考察。
その手は異様な臭気を放っている。
それはシンナーのような臭い。
それは咽返るような臭い。
それは吐しゃ物のような臭い。
それはアンモニアのような臭い。
それは腐った果物のような臭い。
それは「ヒト」の臭い。
その言葉は酷く荒んでいる。
「嘘はいけない事」と教えられたときに似た
「学歴が最も大切」と知ったときに酷似した
「これをしなさい」と強いられた時に感じた
そんな吐き気、嘔吐感。
その感情は激しく狂っている。
人を騙したときの
人を貶めたときの
人を殺したときの
快感、優越、歓喜。
その生き方はとても美しい。
あるいは人の命を救い
あるいは神への信仰を怠らず
あるいは動物を心から愛し
あるいは未だ見ぬ世界へ思いを馳せ
あるいは泣き
あるいは怒り
あるいは憂い
あるいは喜び
あるいは笑う
ヒトというすばらしい生物を、
人生というすばらしい物語を、
人間というすばらしい賢人を、
悪く言うのはいつだって、
我々ホモ・サピエンスである。