王国の「マクナルモデル」完成と最後の監査
マクナル様が辺境で数日を過ごした後、再び王都へ戻る日が来ました。彼は、王都へ向かう馬車の中で、わたくしと共に、王国の全ての改革を総括し、次の段階、すなわち王国の恒久的なシステム化へと移行する計画を最終確認しました。
「王都の貴族たちは、もはや組織的な抵抗は不可能だ。経済も軍事も、そして行政も、君の設計した通りに機能し始めた。今や王国全体が、辺境の合理性に基づいた一つの巨大な機械のように動いている」と、マクナル様は満足そうに言いました。
「はい、愛しい夫よ。ですが、このシステムを、貴方様がいなくなった後も、次の世代が引き継いでいけるように、制度として固定化する必要があります。王国の全てを、私たちの辺境伯領のモデルに合わせるのです」
わたくしが提唱したのは、「マクナルモデル」と名付けた、王国の完全なシステム化でした。このモデルは、私たちの改革の全てを法典化し、未来の統治者が血筋や感情ではなく、データと合理性に基づいて意思決定することを義務付けるものです。
この最終段階において、わたくしは、一つの象徴的な行動を提案しました。
「最後の仕上げとして、摂政殿下。王都で最大の『中央行政監査』を実施してください。そして、この監査の責任者として、貴方様が最初に王都に送り込んだ、最も忠実な女性官僚を任命するのです」
この監査の目的は、改革がどれだけ深く、古い行政の隅々にまで浸透したかを国民に示すことでした。そして、その責任者に女性を置くことは、王国の統治が、もはや男性貴族の独占ではないという、決定的なメッセージになります。
マクナル様は、わたくしの提案に深く頷きました。「わかった。君が最初に王都に送り込み、王立銀行を解体した、ミレイユを指名しよう。彼女は、王都の貴族たちから最も恐れられているが、同時に最も尊敬されている女性だ」
「それが最善です、マクナル様。彼女の実績と、貴方様への忠誠心は、疑いようがありません。この監査が成功すれば、王国の全てが、『マクナルモデル』の名の下に統一されます」
わたくしは、彼が馬車に乗る直前、彼の軍服の襟を整えながら、甘く囁きました。
「貴方様が王都を去られるのは寂しいですが、ご安心ください。わたくしは、この辺境から、常に貴方様の目を、耳となり、そして最高の知性として、貴方様の道を照らし続けます」
「君の言葉は、私にとって何よりも強力な護衛だ、アナスタシア」
彼はわたくしを抱きしめ、熱い口づけを交わしました。別れの甘くも切ない瞬間が、彼の王都での戦いのエネルギーになることを願いました。
王都に戻ったマクナル様は、直ちに中央行政監査の実施を布告しました。ミレイユ率いる辺境の女性監査チームは、かつてない規模で王都の全ての行政機関に踏み込み、一つ残らずその効率性と財政の透明性をチェックしました。
この監査は、王都の行政官僚たちにとって、最後の試練となりました。彼らは、もはや不正を隠す手段もなく、私の設計した合理的システムの前で、その能力不足と非効率性を白日の下に晒しました。
監査の結果、王国の行政の90パーセント以上が、完全に「マクナルモデル」の基準を満たしていることが公表されました。残りのわずかな非効率な部門は、すぐに解体され、新たな合理的な部署へと再編されました。
王国の統治システムは、完全にわたくしの知性によって設計されたものとなり、マクナル様は、その統治者として、国民からの揺るぎない支持を得ました。私たちの改革は、ここにきて、完全に実を結んだのです。




