記念日の二人だけの舞踏会と永遠の契約
この日は、私たちが出会い、初めてお互いの存在を認識し合った、辺境伯邸での舞踏会から、ちょうど一年となる記念日でした。
マクナル様は、辺境伯邸の広間を、私が入手した辺境の花々で飾り付けさせました。彼は、王都の豪華な舞踏会ではなく、二人きりで、私たちが出会ったこの場所で祝うことを望みました。
夕食後、マクナル様は私を広間へと案内してくれました。そこには、私たち二人のためだけに、小さな楽団が招かれており、穏やかな音楽が流れていました。
私は、彼が王都へ行く前に贈ってくれた、濃紺のシンプルなドレスに身を包みました。彼は、辺境伯の正装である、深緑の軍服姿でした。
「アナスタシア。ようこそ、私たちの舞踏会へ」
マクナル様は、私に深く頭を下げ、ダンスの手を差し伸べました。
「マクナル様。ありがとうございます。わたくし、貴方様と二人きりの舞踏会が、何よりも楽しみでございました」
私は、彼の手にそっと手を重ね、私たちは広間の真ん中で、ゆっくりと踊り始めました。彼の力強いリードと、彼の腕の温もりが、私を優しく包みました。
「一年前、君を初めて見た時、私は、君の瞳に宿る知性の光に、心を奪われた。そして、君が、王都の貴族の価値観に全く染まっていない、合理的で独立した精神を持っていることを知った時、私は君を生涯の伴侶にすると決めた」
彼は、私の耳元でそう囁きました。
「わたくしは、一年前、貴方様が、わたくしの過去や地位を一切気にせず、わたくしの提案に耳を傾けてくださった、その公正な心に惹かれました。貴方様こそ、わたくしの知性を、この世界で最も必要としてくださる方だと確信いたしました」
私たちは、二人だけの舞踏会のリズムに合わせて、静かに、そして親密に踊り続けました。このダンスは、私たち二人が、互いの知性と愛を理解し合う、一種の対話でした。
音楽が途切れた時、マクナル様は私を抱きしめたまま、広間の窓から見える、辺境の澄んだ星空を指差しました。
「アナスタシア。この星空の下で、君に誓いたいことがある」
「なんでしょう、マクナル様」
「私は誓う。私たちの夫婦関係は、単なる愛だけでなく、互いの能力に対する絶対的な尊敬という、最も強固な基盤の上に成り立っている。この辺境伯領が、王都の腐敗から完全に自由になったのは、君の知性のおかげだ」
彼は、私をまっすぐに見つめました。
「私は永遠に、君の知性を尊重し、君の合理性を愛し続ける。君が考案する全ての改革を、この命に変えても守り抜き、君と共に、この王国を新しい時代へと導くことを誓う」
私の心は、彼の真剣で揺るぎない誓いに、深く感動しました。涙が溢れそうになるのを堪え、私も彼に誓いを返しました。
「マクナル様。わたくしも誓います。わたくしは永遠に、貴方様の公正な心と、貴方様の力強い守りを愛し、貴方様がこの世界で成し遂げようとすることの、最高の参謀であり続けます。わたくしの知性は、全て貴方様と、この辺境伯領、そしてこの王国の未来のために使われます」
私たちは、再び深く抱きしめ合い、二人の特別な記念日を祝いました。




