朝の秘密の会議と知性を愛するキス
マクナル様が帰還して初めて迎えた朝、私たちは太陽が完全に昇る前に、隣り合ったベッドの中で目覚めました。彼はまだ眠そうな目で、私を強く抱きしめていました。
「おはよう、アナスタシア。昨夜は、本当に安らかに眠ることができた。君の温もりは、最高の鎮静剤だ。私の人生で、これほど深く眠れたことはない」
「おはようございます、マクナル様。貴方様の寝顔を見ていると、わたくしの心も穏やかになります。ですが、そろそろ起きる時間ですよ。王都の仕事と、辺境伯領の新たな課題が待っています」
「ああ、分かっている。だが、あと五分だけ……五分だけ、このまま私を抱きしめさせてくれ。君とのこの朝の時間が、私の仕事へのエネルギー源なのだから」
彼はそう言って、私をさらに強く抱きしめ、私の首筋に優しくキスを落としました。
私たちは、その後すぐに身支度を整え、誰もいない静かな書斎へと向かいました。私たちは、誰も邪魔することのない、この朝の時間を、二人の最も重要な「秘密の会議」の時間としていました。
書斎で、マクナル様は、王都からの機密文書や、辺境伯領の新たな鉱山開発計画に関する書類を、私の隣の席に広げました。
「さあ、私の最高の参謀よ。この王都からの報告書を見てくれ。新財務大臣は、君が設計した税制改革の実施において、意図的に『徴税基準の曖昧さ』を主張している。彼は、地方の慣習を盾に、改革の適用を遅らせようとしている」
私は、彼が指し示す部分に目を向け、すぐにその意図を理解しました。
「なるほど。彼は、数字という客観的事実ではなく、曖昧な『慣習』という主観的な要素を持ち出すことで、改革を骨抜きにしようとしているのですね。王都の貴族が常に使う、最も古い手でございます」
「君なら、どう打ち破る」
「簡単でございます。曖昧な『慣習』には、科学的な『標準』*対抗するしかありません。辺境伯領では、鉱山からの収益や、羊毛の品質基準など、全ての経済活動に、わたくしが考案した明確な測定基準を設けています。この基準を、王国の全領地に『標準』として適用するよう、勅命を出させるべきです」
「つまり、王国の経済活動の全てを、君の合理的なメジャーで統一するというのか。それは、王都の貴族が最も恐れることだ。彼らの不正が、全て数値で可視化されてしまう」
マクナル様は、私の知性の深さに、目を輝かせました。
「その通りです。王都の貴族は、彼らの慣習と、複雑な会計によって不正を隠しています。ですが、客観的な標準化された数字の前では、いかなる不正も隠蔽できません。王都の貴族を、彼らが最も軽蔑する、辺境の合理的基準で統治するのです」
マクナル様は、議論の途中で、突然ペンを置き、私の顎を優しく持ち上げました。
「アナスタシア。君とこうして議論している時間が、私にとって最高の至福だ。君の冷静な分析と、大胆な発想は、私に常に新しい視点を与えてくれる。君のその知性こそが、私にとって最も魅力的な部分だ」
彼はそう言って、私の額に深くキスをしました。そのキスは、私たちが共有する知性を深く愛し、尊敬しているという、彼からの最高の愛情表現でした。
「わたくしも、マクナル様が、わたくしの知性を、これほどまでに愛し、信頼してくださることに、心から感謝しております。貴方様という最高の実行者がいてくださるからこそ、わたくしの知恵は、現実の力となるのです」
「私こそ、君の知恵の執行者でありたい。永遠に、君の隣で、君の描く理想の王国を実現したい」
朝の秘密の会議は、私たちの仕事の成功を約束するだけでなく、互いの愛と尊敬を深める、私たちの特別な儀式となったのです。




