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第6話 「宝珠の異変」

ギルドを後にして数時間後。

俺は家で一息ついていた。

初めての依頼、初めての戦い。

そしてブラックスライムから得た、正体不明の宝珠。


(ギルドに預けたけど……気になるな)


紫に脈打つ光が、今もまぶたの裏に焼き付いている。

ただの魔物ドロップじゃない――直感がそう告げていた。


その時。


――ドンドン!

「篠崎さん! 冒険者ギルドです! 緊急です、開けてください!」


慌てて扉を開けると、昼に対応してくれた受付嬢リナが立っていた。

顔色が蒼白で、息を切らしている。


「た、大変なんです……あの宝珠が……!」


◇ 再びギルドに足を踏み入れると、中は騒然としていた。

普段は依頼票の前に群がっている冒険者たちが遠巻きに視線を向け、囁き合っている。


ギルドの奥。

堅牢な鉄格子の向こう――保管庫の中心で、例の宝珠が浮かんでいた。


「……浮いてる?」


昼間はただの石ころのように机の上に転がっていただけのそれが、

今は宙に浮かび、脈動する紫の光を辺りに撒き散らしている。

鉄格子にはヒビが走り、魔力の圧に押されてギシギシと悲鳴を上げていた。


「まるで……呼吸をしているみたいだ」


誰かが呟く。


リナが俺の袖を掴み、声を震わせる。


「……昼間からずっと保管していたんですが、急に光を放ち始めて……! そしてあなたの名前を……」


「……名前?」


「ええ。宝珠の中から、あなたの名前を呼ぶ声がしたんです」


背筋に冷たいものが走った。

俺の名前を知っている?

あの正体不明の宝珠が?


その時。


――ゴウンッ!


空気が震えた。

宝珠がさらに強く光り、紫の衝撃波が保管庫を吹き飛ばす。

鉄格子がねじ曲がり、ギルドの床がきしんだ。


冒険者たちが一斉に武器を抜き、叫ぶ。


「やばいぞ! 魔物化するんじゃねえか!?」

「ギルドが吹っ飛ぶぞ!」


混乱の渦の中、宝珠はまっすぐ――俺の方へと浮かんでくる。


(まさか……俺を“持ち主”として認識してるのか?)


光はさらに強くなり、手を伸ばせとばかりに俺を誘っていた。


俺は無意識に拳を握りしめる。

【運操作】で未来を“つかむ”感覚が、背中を押していた。


「……来いよ。お前の正体、俺が引きずり出してやる」


紫光が爆ぜ、ギルド全体が飲み込まれた。

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