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第3話 「初陣」

「スライム討伐、G級定番依頼ですね。頑張ってください」

ギルドの受付嬢に見送られ、俺は街外れの小規模ダンジョンへと向かった。


入口に立つ職員にライセンスを見せると、軽く頷かれる。


「はい、G級初ダンジョンですね。浅層は安全ですからご安心を」


石造りの階段を降りると、ひんやりとした空気が肌を撫でた。

ダンジョン独特の重苦しさと、胸の奥で鳴り響く鼓動。

それでも――恐怖よりも期待の方が勝っていた。



「……いたな」


通路の先、ぴちゃりとした水音と共に、半透明のゼリー状の魔物――スライムが現れる。

最下級とはいえ、モンスターはモンスター。

もし油断すれば飲み込まれ、骨すら残さず溶かされると聞いたことがある。


俺は深呼吸し、腰に下げた安物の短剣を握った。


「よし……【運操作】!」


発動と同時に、体の奥で熱が灯る。

狙うは――急所。


スライムのコア、中心部に浮かぶ赤黒い核。そこを突けば、一撃で倒せる。


短剣を振り下ろす。


――ズブリ。


「……っ!」


刃は迷いなくコアを貫いた。

スライムは断末魔を上げる間もなく、どろりと崩れ落ちる。


「……一撃、か」


思わず笑みが漏れる。

普通ならスライム相手でも数合はかかると聞いていた。

だが俺の刃は、寸分の狂いもなく急所に届いたのだ。



足元にキラリと光るものがある。

恐る恐る拾い上げると――銀貨。そして、革袋に入った薬草。


「マジか……初討伐でドロップ?」


聞いていた話では、スライムのドロップ率は数%程度。

それが初戦で出るなんて、どれだけ幸運なんだ。


さらにその横に、小さな赤い宝石が転がっていた。


「……魔石? しかもスライムから!?」


通常、魔石は上位モンスターからしか得られない希少素材だ。

ギルドに持ち込めば高値で買い取ってもらえるはず。


胸が高鳴る。

これが俺のスキル――【運操作】の力。



「よし、次も……」

そう呟いた瞬間だった。


奥の通路から、ぬるりと影が現れた。

通常より二回り大きなスライム――黒い粘液を纏った異形。


「……ブラックスライム!?」


最下層にしか出ないはずのレアモンスターが、浅層に現れることなどあり得ない。

だが、俺のスキルが“遭遇率”にまで作用しているのだろう。


「ははっ……最高じゃねぇか!」


恐怖よりも、興奮が勝った。

試す機会は思ったより早く訪れたらしい。

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