第16話 「光に映る成長」
ストックを切らさないように、ゆっくり更新していきます。
ギルド東京支部。
俺は受付で報告を済ませ、依頼分の報酬を受け取った。
財布に入った一万円札は、命を懸けて得た重みそのものだ。
(……けど、今日の収穫は金じゃない)
ダンジョンから戻ってきてからずっと気になっていた。
あの瞬間、ライセンスカードが確かに光を放った。
俺は席に腰を下ろし、カードを取り出す。
意識を集中すると、淡い光が走り、文字が浮かび上がった。
【ステータス情報】
名 前:篠崎 蓮
年 齢:18
職 業:冒険者(G級)
称 号:運命を掴む者・幼龍を従えし者 New
能力値:
生命力 :D→C(↑)
魔力量 :C
攻撃力 :D→C(↑)
防御力 :D
敏捷性 :C
知力 :D→C(↑)
幸運 :EX(測定不能)
保有スキル:
【運操作】
→ 確率・事象を操作し、望む未来を引き寄せる
【ドラゴンテイム】
→ 契約個体への干渉・共鳴・能力共有が可能
契約個体:フォルトゥナ(幼生ドラゴン)
「……やっぱりか」
ライセンスカードを握る手が震える。
確かに成長している。
生命力、攻撃力、知力――3つが一段階、上のランクに。
(死線を越えたから……か)
思い返せば、あの瞬間。
本気で「死ぬ」と思った。
けれど、それを越えて勝利したからこそ――“力”として刻まれたのだろう。
「きゅるっ!」
フォルがテーブルに飛び乗り、胸を張って鳴いた。
小さな体なのに、その仕草はまるで「自分も成長したぞ」と言っているようで笑みがこぼれる。
「お前のおかげでもあるな、フォル」
俺はその頭を軽く撫でる。
フォルは気持ちよさそうに目を細めた。
(称号も増えてる……“幼龍を従えし者”、か)
これはフォルとの関係性が形になった証だ。
たった一人じゃ、絶対にここまで来られなかった。
カードを閉じ、ポケットに仕舞う。
胸の奥に灯る熱は、恐怖でも不安でもない。
次の未来を掴むための――確かな自信だった。
「……よし。次は、もっと強くなってやる」
俺は立ち上がり、フォルを肩に乗せてギルドを後にした。
新宿の街の夜風が、やけに心地よかった。