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第13話 「慣れと成長」

新宿G級ダンジョン。

初めてのゴブリン討伐から数日――俺は繰り返し依頼を受け、同じダンジョンの下層に通い続けていた。


【依頼内容】

新宿G級ダンジョン 下層ゴブリン討伐

目標:ゴブリン10体以上の討伐証明(耳の回収)

報酬:10000円



「よし……フォル、行くぞ!」


肩に乗ったフォルが「キュッ」と短く鳴き、俺の気合に応える。

光を帯びた鱗が揺れ、すぐそばに現れたゴブリンがその存在だけで怯む。


(やっぱり【龍威】が効いてるな)


俺はナイフを構え、怯んだゴブリンに一気に踏み込んだ。

初めてここに来たときよりも、体が動く。

ゴブリンの棍棒を紙一重で避け、脇腹に斬撃を叩き込む。


「っしゃあ!」


ドサリと倒れるゴブリン。

俺はすぐに耳を切り取って袋に放り込む。


横でフォルが小さな顎を開き、光の粒を放った。

【龍威】に押されて怯んだもう一体のゴブリンに命中し、そいつもたまらず倒れ込む。


「ありがとな、フォル」

「キュルル」



そんな日々を三度、四度と繰り返した。

ゴブリン討伐の依頼をこなし、耳を提出し、報酬を受け取る。


「篠崎さん、今日もお疲れさまです。今回も目標数達成ですね」

受付嬢のリナが微笑んでくれる。

「ありがとうございます」


受け取った封筒には、いつもと同じ1万円札。

安定した報酬。

少しずつだけど、財布に現金が増えていく。


(生活の足しになるし、なにより……身体が慣れてきたな)



再びダンジョンの暗い通路を進む。

最初のころは一体現れるだけで焦っていたのに、今では二体、三体に囲まれても落ち着いて対処できる。

フォルの威圧で数を減らし、俺が仕留める。

それだけの連携が、もう自然にできるようになっていた。


「……いいペースだな」


袋の中は討伐証明でいっぱいだ。

初日と比べて、自分でも成長を実感する。



その夜。

自宅に戻り、ベッドの上で報酬を数えながら、眠るフォルを眺める。


(……そろそろかもしれないな)


繰り返しのゴブリン討伐。

日々の戦いの中で、俺は確かに強くなった。

恐怖を制御し、戦い方を覚え、フォルと呼吸を合わせられるようになった。


「次は……ボスだ」


ダンジョンの最深部。

新宿G級ダンジョンをクリアするための、本当の試練。

そこに待つのは、ただのゴブリンじゃない。


俺は拳を握りしめ、眠るフォルの頭を優しく撫でた。

小さな寝息が規則正しく響く。


「一緒に行こうな、フォル」


静かな決意が胸に灯る。

そして、次なる挑戦の朝を待った。

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