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第1話 「スキル発現」

初投稿ですので、温かい目でお読みください。

五十年前。

突如として地球の各地に「ダンジョン」が現れた。

黒い瘴気をまとった巨大な亀裂、地下深くへと続く迷宮。

その内部では、異形の魔物が生まれ、蠢き、そして人類に牙を剥いた。


もしダンジョンを放置すれば、やがて内部から魔物が溢れ出し、街を蹂躙する

――人々はそれを「スタンピード」と呼んだ。

だが絶望だけではなかった。


ダンジョンの発生と同時に、十八歳以上の人類に「スキル」と呼ばれる異能が芽生えたのだ。

炎を操る者、剣術を極める者、回復の力を持つ者……

戦う術を持った彼らは冒険者と呼ばれ、魔物に対抗する唯一の希望となった。


そして現在――世界がファンタジーと現実の境界を失ってから、ちょうど五十年。



「今日で十八歳か……」

鏡に映る自分の顔を眺めながら、俺――篠崎しのざき れんは小さく息を吐いた。


十八歳。それはこの時代、誰にとっても特別な年齢だった。

なぜなら、この瞬間に初めて「スキル」が発現するからだ。


「正直、不安だよな……」

スキルは人によって千差万別。

戦闘に役立つ攻撃系もあれば、支援や生活向けのものもある。

まれに全く使えない「ハズレスキル」だって存在する。

冒険者として生きるか、ただの一般人として生きるか

――それを決めるのは、この一瞬だ。


胸が高鳴る。緊張と期待と恐怖が混じり合う中、頭の奥に鋭い光が差し込んだ。


――《スキルが発現しました》


脳裏に、確かに声が響く。

同時に、文字が視界の中に浮かび上がった。


《取得スキル:運操作》


「……は?」

一瞬、耳を疑った。


運操作。

なんだそれは。戦闘系でも補助系でもない、聞いたことのないスキル。

まるでゲームの裏パラメータをいじるような名前だ。


さらに詳細が表示される。


――《効果:あらゆる「運」を操作可能》

――《成功確率、遭遇率、ドロップ率……運に関する全ての事象に干渉できる》


「……ちょ、ちょっと待て。これ、やばくないか?」


思わず声が漏れた。

剣も魔法も使えない。だが「運」を操る? 


それはつまり――

どんな攻撃も当たり、どんな攻撃も避けられるということじゃないのか?


宝箱の中身を最高レアに。

致命的な事故を回避。

出会う敵を最小限に、もしくは最大限に。

あらゆる場面で「勝利」を引き寄せられる。


――これは、チートだ。


手が震える。心臓が早鐘を打つ。

スキルの力を理解した瞬間、俺の人生が大きく変わる未来がはっきりと見えた。


「よし……やってやる」


冒険者として名を刻むのか、それとも世界を揺るがす存在となるのか。

その答えはまだ分からない。だが一つだけ確かなことがあった。


――俺は最強の「運」を手に入れた。


こうして、篠崎 蓮の冒険は幕を開ける。

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