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84.船旅④

潮風に混じって強い血の臭いが充満している廊下を進み、自分たちの部屋に戻って来るとすぐに浴室へと連れて行かれた。

ふかふかのマットの上に降ろされるとアルファさんに指示を出して血で汚れた服をはぎとろうとする。


「じ、自分で脱げるよ!」

「あいつがさっき言ってた同じつがいとはどういう意味だ」


部屋を勝手に開けたこと、タイミング悪く?いや良く鮫族とキスしようとしていたところを見られたこと、さらにつがいを増やさないって言ったのにあんなことを言われたのでレグは怒り心頭だった。

そんな彼に抵抗しても無駄なのでこれ以上怒らせないようされるがまま裸にされる。

手で胸を隠して背中を向けると浴槽に入れられ、シャワーで身体についた血を洗い流してくれる。


「トワコ。言い訳なら早めに言ったほうがいいぞ」

「ゆ、油断させてぶん殴ってやろうと思ってました!」

「……は?」

「ちなみに扉を開けたのは私じゃないですっ。あのままじゃ誘拐されると思ってとりあえず時間稼いで適当に誘惑して油断させて海に投げ捨てようとしてただけで浮気じゃありません!」


嘘とは言え知らない人とキスするところだった。そんなのつがいが許すわけがない。

言い訳はあんまりしたくないけど浮気したと勘違いされたくないので、ありのまま起こったこととやろうと思ったことを伝えるとレグの笑い声が聞こえた。

首だけ振り返ると声を押し殺して笑っていた。


「くくっ…お前にしては頑張ったな」

「…信じてくれる…?」

「嘘だったのか?」

「嘘じゃないっ。四人以外に触られるのはもう嫌なの」

「悪い、ちょっと揶揄からかっただけだ。最初から信じてる」

「なっ…! 私は怒られるかと思って怖かったんですからね!」

「ならお前に触れさせるな」

「誘惑なんかしたことないから…あれぐらいしか思いつかなかったんです…」

「そういうのも勉強しないとな」

「トワコさんっ、服持ってきました! あと一応薬を持って………」

「ア、アルファさん鼻血が…! な、なんで…!? ケガしたんですか!?」


嫌われなくてよかった…。

あんなことがあった直後なのにホッと肩の力を抜いて少しだけ笑うと、新しい服を持ってきたアルファさんが入ってくるなり顔を真っ赤にしてボタボタと鼻血を流す。

駆けつけようとするとレグに腕を掴まれ、唇、喉、鎖骨、胸を人差し指で撫でていく。


「いやぁぁああ! も、もう自分で洗うから出てって!」

「いいもの見させてもらったし今日は一人で洗わせてやる。駄犬、いつまで見てるんだ」

「す、すみっ、すみません! 見てないです! 服ここに置いておきますねッ! ほんと見てませんから!」


自分が裸だってこと忘れてた! 今度こそバッチリ見られたぁ!

見てないってアルファさんは言うけど、どう見ても見た反応だった!

言われた通りシャワーで身体についた血を落としながら、熱くなった顔をひたすら冷水をかけて冷やし続けた。







海賊に襲われてしまったせいで、長時間海上で足止めをくらってしまった。

海上警備船が到着したのはレグたちが海賊を制圧して数時間後。

その間に身体を洗い、レグとアルファさんと一緒に部屋で大人しくして過ごす。

裸を見られたせいでぎこちない雰囲気が流れていたけど、レグだけはいたって普通に私を抱きしめたまま本を読んでいる。

これぐらいでいてくれるほうがありがたいね。反対にアルファさんは意識しまくってこっちまで恥ずかしくなってくる。

そんな中、ようやくシャルルさんとセトさんも戻って来た。

船長に頼まれて海賊の主犯格を捕縛し、拷問して情報を手にしてきたと言う。

人のつがいに何させるんだと少しばかり呆れたけど、そのおかげでルルヴァとはまったく関係ないことが解った。

今回はたまたまメスがたくさん乗ってしまったので目をつけられたらしい。運が悪すぎただけ。

そう言われたけどあまり納得いってない。

どうやってメスがたくさん乗ってるってわかったのさ…。

聞こうと思ったけどもうそんな元気はなく、話を切り上げようやく眠りについた。


「ふわぁ…」

「おはようトワコ。まだ眠たそうだね」

「うーん…寝るのが遅かったからかなぁ…」

「もう少し寝てていいよ。まだ修理に時間がかかるみたいだし」

「いや夜眠れなくなっちゃうので起きます。というかまだ船直ってなかったんですね」


頑丈に造られているって聞いたのに、昨日の戦闘でかなりボロボロになったらしく船員はその修理に追われている。

特に甲板の損傷が激しく、まるで空から隕石が落ちてきたみたいに大きな穴が開いて船のエンジンルームに影響が出ているらしい。

まぁ……レグの馬鹿力のせいだよね…。一番安全だって言ってたあの避難部屋もボコボコにしてたし…。

でもそのおかげで助かったんだし、しょうがない犠牲だと思うことにして用意された朝食をいただく。


「どれぐらい時間かかりますかね」

「多分そんなにかからないよ。ディティ本山に到着する時間は遅れるけど警備船のおかげで水と食料には困らないから安心して」

「うん。じゃあ直るまで部屋にいたほうがいいですよね。昨日の勉強の続きしよう」

「あ、トワコ嬢。午前中に部屋の点検に来るらしいです」

「そうなんですか? 特に問題ないと思うけど…。その間私たちはどこに行けばいいんでしょう?」

「余った部屋がないから適当に散歩してほしいと」

「一般客の部屋も壊されてそいつらが空き部屋を利用してるからね。誰かさんが派手に壊したから」

「困った海賊達だったな。早めに処理できてよかった」

「お前のせいだっつーの」

「ふふっ、じゃあ散歩の時間までゆっくり過ごしましょうか」


とは言ってもあまり出歩きたくないのが本音。

予備のヴェールがあるけど海風に吹かれて見られるかもしれないし、それに四人が周囲を警戒してゆっくり休めない。

昨日あんなことがあったんだからゆっくり身体を休めてほしいんだけど…。


「どうかした?」

「…いえ、あまり疲れた表情してないなって…」

「だって別に疲れてないもん」


相当な数の海賊を相手にしたのに何で疲れてないの?

疑問に思いながら朝食をすべてたいらげ、昨日の本を手に取って勉強開始。


「鮫族は血に狂う乱暴者なんですね」

「そうそう、好戦的で大体が海賊か海上警備船に乗ってる。今日も鮫族がウロついてるけどあいつらは大丈夫だよ」

「そうなんですか? でもまだ血の臭い残ってません?」

「比較的温厚な鮫族もいます。それでも戦闘になると激しいのであまり近づかないことをお勧めします」


確かに鮫の中にも色んな種類がいて人食い鮫がいれば、ジンベエザメみたいに人を襲わない鮫もいる。

ここでは一括りにされてるけど別種なんだろうな。


「えっと、鯨族はのんびり屋だけど一族の結束が固く、また芸術方面に優れている。へー…」

「特に歌が上手らしいよ」

「いいですね。歌好きだからどんなのか聞きたいなぁ…」

「機会があればね。ただちょっと気難しい種族だから気を付けて」

「身体も大きいですし、力も強いですからトワコ嬢を傷つけるかもしれません」

「わかりました。あとは…蛸族もいるんだ…」

「あ、タコ族はダメだよ! 絶対に近づかないで!」

「なんでですか?」

「タコ族ってメスを魅了するのに長けてるだよ。たくさん触手があるし、吸盤もあるし…」

「え? それがどうしたの?」

「………そっか! トワコはわかんないんだね! じゃあ気にしないでいいよ」


タコにたくさんの足があることは知ってる。吸盤も。

でもそれがメスをどう魅了してるんだろう?

何をそんなに警戒してるかわからず首を傾げると作り笑顔を浮かべて、勝手に次のページをめくるシャルルさん。

目の前のセトさんを見ると顔を赤くしてサッと背ける。


「シャルルさん」

「大丈夫、今度教えてあげるよー。あ、こっちは人魚族についてだね」

「ごほん。人魚族は力は弱いですが多種多様な能力を持ってるので気を付けて下さい。特に歌を歌う人魚族はかなり厄介です」

「そうそう。歌で相手を洗脳しちゃうからね。あ、でも何もできない人魚族もいるよ」

「なるほど。やっぱり海棲種族に近づくのは怖いですね。水中だと何もできないし…怖い能力も持ってるし」

「そうですね。私達も海棲種族相手ではどうにもなりませんし、できるだけ海と関わらないほうが安全です」

「ですね!」


海棲種族には他にもラッコ族、ペンギン族、アザラシ族などがいた。そしてそんな海棲種族の頂点にシャチ族がいる。

どの海棲種族よりも賢く、強い。でも敵対しなければ殺されることはない温厚な絶対王者。

じゃあ陸上ではどの種族が強いんだろう?

百獣の王ライオン。って言われるけど、実際は象だったりカバだったりって聞いたことがあるからやっぱりそうなのかな。


「ねぇシャルルさん。海だとシャチ族が王者って書かれてますけど、陸だとなんの種族が一番強いんですか?」

「んー、考えたことないなぁ。陸上は地形によって変わってくるし」

「総合的に考えてライオン族と言われておりますが、力だけで言えばカバ族やゾウ族も強いです」

「レグはカバ族と戦ったことある?」

「ああ、瞬殺した」

「そ、そう…」

「まぁカバ族は個人主義な奴らが多いからライオン族みたいにチームプレーがうまい種族に襲われると負けるんだよな。皮膚が固いらしいけど罠使えばじっくり殺せるし」

「ゾウ族も動きが鈍いですからね」


そっか。単純な動物の姿だったらカバ族やゾウ族が強いけど、獣人だからね。

知恵を使ったり、罠をしかけたり、武器を使えば誰が最強だなんて決められない。

いやー、面白いなぁ。

本を読みながらみんなと会話して、昨晩とは打って変わった穏やかな時間を過ごしていると部屋の扉が開いた。


「トワコさん、部屋の点検に来るそうです」


朝から部屋にいなかったアルファさんが帰ってきたかと思うと、その後ろに知らない人を連れていた。

思ったより早く点検に来たので名残惜しく本を閉じて大人しく部屋を後にする。

昨日よりマシになったものの、まだ血生臭さが残っていたので貴族専用のデッキに向かって日光と美味しい空気を味わう。

ディティ本山に近づくたび冷え込みが厳しくなる。

上着を着てても足元や手首、首から冷たい風が入ってブルリと震えあがる。

レグに抱えてもらおうかと思ったけどそれじゃあ散歩の意味がない。身体をきちんと動かしておかないと太っちゃう!


『トワコ!』

「あ、昨日の…。アーキルさん?」


不意に名前を呼ばれて振り返ると昨日出会ったチーター族のアーキルさんがいた。

彼の後ろには二人の男性がいて、右側の男性に耳打ちをするとその場に膝をついて両手を合わせる。


『先日はありがとうございました。トワコ様が通訳してくれたおかげでなんとか死の淵から脱することができました』

「なんか見たことあると思ったら昨日のチーター族じゃん。トワコ、なんて?」

「チーター族? シャルル、何も聞いてないぞ」

「クソガキだから報告もできないのか。番犬もただの駄犬に成り下がったか?」

「あ、昨日のお礼を言われてます」

「す、すまない…。大した事じゃなかったから報告しなかった…」

『昨晩は大変だったな。大丈夫だったか?』

「はい、アーキルさんたちも大丈夫でした?」

『そこのライオン族のおかげでな!』


爽やかに笑ったと思うと目を鋭くさせレグルスを見つめるアーキルさん。

彼はいい人だと思う。仲間のために涙を浮かべて必死に訴えていたし。

それに私がメスだって解っても一定の距離を保って近づいて来ない。

だからレグをそんな目で見ると焦りが生まれる。


『あの強大な力をどこかで見たことあると思ったらやっぱりトルティア王の息子じゃないか! まさかトワコが彼のつがいだったとは凄い偶然だな!』

「えっと…レグのこと知ってるんですか?」

『何度か東大陸には王族として訪問してたからな。そっちは俺を覚えてなさそうだけど!』

『……ヂーズィ共和国王の末息子か』

「うっわ、さすが元王族。南大陸用語も喋れんのかよ…」

「私も喋れる」

「なんか腹立つから俺も覚えよ」

『ああ、そこのは第一空軍部隊の隊長さんだったよな!』

『覚えて頂けていたとは。お久しぶりですアーキル様』

『隊長達だけだけどな』


私には違いが解らないけどレグとセトさんも南大陸用語で喋っているらしい。

というより、二人の言葉から察するにアーキルさんはもしかして偉い人、なのでは…?


『そうそう、出来損ないの末息子、アーキル・ドルパだ。まさかこんなところで出会うとはな! レグルス殿はつがいは作らないって聞いてたが……。うん、トワコは賢いし可愛いしつがいにしたくなるよな!』

『触るなよ』

『ははっ、レグルス殿とつがいを共有したくはない。それにこれだけ可愛いければ俺だけのものにして王宮の奥に閉じ込めたい欲が出てくる』

「……」

『ま、俺が連れて帰ったところで兄達に奪われるからできないけどな! レグルス殿のつがいとなればディティ本山に着いたら礼がしたい。どうだ?』

『断る。早急に終わらせたい用事があるんだ』

『でも借りを返してないし、できることなら東大陸の情勢を聞きたいんだが』

『それが目当てだろう。特段変わっていない』

『レグルス殿が王になったと聞いた』

『俺じゃない』

『―――北の王も戦争に負けたあと行方をくらましたらしいじゃないか』

『………何を知ってる』

『じゃ、晩餐に来てくれるよな! あ、もちろんトワコもそっちのつがいも来てくれ』

『解った。お前が知ってること全部吐かせてもらおう』

『おー怖い怖い。それじゃあなトワコ! あ、辛いもの好き?』

「あ、えっと、はい、多少なら大丈夫です」

『じゃあ用意しとくよ!』


途中不穏な会話をしたかと思うと、パッと元の明るいアーキルさんに戻って颯爽と離れて行った。

何をしたわけでもないのに緊張感ある会話のせいで少し疲れた…。

レグを見上げるとまだアーキルさんの背中を睨んでいたので頬に手を伸ばすと、ふっと力を緩めて優しい声で「なんだ」と少し屈んでくれる。

詳しく聞きたいけど聞いたところで解らないし、喋ってくれるかどうか…。


「寒いから抱っこしてほしい」

「解った」


軽々と私を担いで羽織っていたマントで身体全部を包み込むとレグの匂いと体温に条件反射で眠くなる。

首に手を回すと少しだけ力が強くなるのも安心する。

まぁ…晩餐のときにどうせ話すし今はいいか…。睡眠時間が短かったせいか頭がうまく回らない。


「俺が抱っこしてあげるのにー」

「シャルルさんは…また今度抱っこしてもらう、よ…」

「眠いなら寝とけ」

「ううん、おきとく…」


そう言ったのにそのすぐに意識を手放してしまった。


「で、あのチーター族ってなに?」

「南大陸のヂーズィ共和国国王の息子だ。王族だが一番下だから大して権力もないがな」

「あーどおりでいい服着てると思った。セトとも知り合いなのか?」

「ああ。何回か王国に訪問されていたからな」

「それでなんて?」

「ディティ本山についたら招待するから来いと言われた」

「えー…トワコとの時間減るじゃねぇか。お前らだけで行って来いよ」

「東大陸の情勢に詳しいみたいだ」

「それはそれは…。でも権力もない奴が知ったとしても関係ないだろ」

「確かにアーキル様に権力はないし、チーター族らしく強さへの固執もない。だが商人としての才能はずば抜けて高い」

「だから上から下まで俺らを見てたのか。ところで南大陸ってどんな場所なんだ?」

「ほとんどが砂漠に囲まれてる国だ。北の大国とは違うがかなり過酷な環境だと聞くな。実際に私が見たわけじゃないから半信半疑だが」

「いやセトの言う通りだ。常に水不足に陥ってるからからこの大陸より争いが激しい。おまけにトルティア王国や北の大国のような大きな国がないから各国バラバラ状態で仲も悪い」

「うへー、そんな場所に生まれなくてよかった」

「水不足が問題なだけでどの国も豊かだ。古代文明の残骸もほとんどが南大陸で見つかり、それを現代で使えるようにして権利を東大陸や西大陸に売って水を購入している」

「それは知らなかったな。でも暑いとこは行きたくねぇ」

「俺も暑いとこは嫌だな…。ハイオットニーだけで何度死にそうになったか」

「で、話戻すけどその商才が優れてる奴になに警戒してんだよ」

「北の王について知っていた」

「……南大陸の商人風情が? それはちょっと怪しいねぇ…」

「その他のことも知ってるような目つきだったからな。招待された晩餐で全部吐かせてやるつもりだ」

「その前に俺が調べて来てやろうか?」

「ヘビ族の毒を食らって死にたいなら好きにしろ」

「げっ、あいつヘビ族囲ってんのか」

「知らないのか、シャルル。南大陸にはヘビ族は多いぞ。王族には必ず一人ヘビ族が従者としてつく」

「マジかよ! 俺ヘビ族は唯一苦手なんだよ」

「うるさい、トワコが起きる」

「あいつらの執念すっげぇやべぇし、トワコに一目惚れなんかしたら…。絶対ぇ無理! ヘビ族は絶対ない! しかもあいつらあそこが二本あるんだぜ!? メスには情熱的だっていうし…! うっわ、鳥肌立ってきた…」

「に、二本もあるのか…凄いな…!」

「こんなところで下品な話は止めろ。レグルス、そろそろトワコ嬢の身体も冷えますし部屋に戻りましょう」

「とか言ってムッツリ軍人は自分に二本あったらー…って考えてんだろ」

「セト、二本あっても持て余すと思うぞ…?」

「誰も欲しいとは言ってないだろッ!」

「しかも二十四時間とかザラらしいぜ。そんな長時間独り占めされてたまるか! マジでトワコのつがいにヘビ族がいなくてよかったー!」

「に、二十四時間も!? それはトワ…じゃなくてメスにとって負担じゃないか?」

「そういうオオカミ族も長いだろ。いいか、先に言っとくけどそんな長時間独り占めは禁止だからな! 特にアルファ!」

「そんな長時間も一緒にトワコさんといられるわけないだろ!?」

「うんうん、それでこそアルファだ。セトと王様、聞いてんだろ」

「私は……!」

「トワコが求めたらそれに従うだけだ」

「あーほんっとこういうときの王様って素直に返事しねぇよな! そういう風に仕向けるなって言ってんの! あと普通にトワコの体力じゃ長時間も交尾すると死ぬかもしんねぇだろ。普通のメスより弱いんだからさぁ!」

「なら問題が解決したら体力をつけさせるだけだな」

「そ…っれは…まぁつけてほしいけど…。でも長時間の独占は禁止だ禁止! この間のデートみたいに時間決めておこうぜ」

「あ…あれはよかったよな…。その、一日独占できるし…ずっと俺だけ見ててくれるし…。できたらまたデートしたいんだけど……」

「当分の間は無理だろうな。ともかくさっさとサルを消すぞ」

「そのことでレグルス、さっきデーバから報告が入った。あいつらはハイオットニ―に到着したらしい」

「……追いかけてきてるな」

「ディティ本山に来るでしょうか」

「チッ! 厄介だな…。信心深い神官を金で揺さぶることはできないが…」

「始祖を暴露されると厄介ですね」

「いやそこはあのメスがうまく丸め込んだ。だが……いい予感はしない」

「とりあえずトワコの顔隠して喋らないようお願いしておこう。アルファ、トワコに近づいてきた奴は容赦なく斬り殺せよ」

「任せてくれ!」

「ディティ本山は神聖な場所なのを忘れたのか…。血を流せば問答無用に追い出される。アルファ、脅すだけにしろ」

「そうか…。あまり役に立てなくて申し訳ない…」

「ついでにつがい解消しとく?」

「止めてくれシャルル!」

「ならお前もだな」

「はー? 俺より王様と解消したほうがいいと思うけどぉ?」

「だから騒ぐなと…」

「あとセトもだな! ムッツリは暴走したら怖ぇし!」

「レグルス、私からもトワコ嬢にシャルルとつがい解消することを勧めておきます」

「そうだな。俺からも言っておこう」

「二対一はずっりぃぞ! アルファは俺の味方だよな!?」

「え? あ、まぁ…。できることならこの四人一緒だと俺は嬉しいけど…。安心してトワコさんを任せられるし、戦いやすいし…」

「ほんといい子だなぁアルファは」

「嬉しいけどお前より年上だからな。子供扱いしないでくれ」

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