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28.王都⑮

何をされたか解らず呆然としていると、またキスをしてこようとしたので慌てて止めた。


「な、なにするんですか!」

「痛かったか? すまない、優しくしたつもりだったが…。次からは気を付けよう」

「そうじゃなくて! なんでいきなりキスなんか…」

つがいになったのだから俺の匂いをつけておかないといけないだろう」

「そ、そ、それでもいきなりキスは…」

「解った。つがいになれて浮かれていたようだ。次からは聞こう」


聞かないでほしい…。

初めてのキス。初めての感触。そして徐々に湧いてくる羞恥心に顔を隠して距離を取る。

つがいになったとしてもいきなりキスするなんて! ああダメだ! この世界のオスは肉食系男子なんだ! 油断した私が悪い!


「不快だったか?」

「そうじゃなくて…。ビックリしたし恥ずかしいんです…」

「何が恥ずかしいんだ?」

「え、うっ……んー…だって…! うー…ともかくビックリして死にたくなるぐらい恥ずかしくなるから止めてください!」

「それは困るな。気を付けよう」

「そうしてもらえると助かります…」


これで解ってくれるといいんだけど…。

深呼吸をして感情を整えようとするもなかなか落ち着かない。だって初めてのキスだもん…!

隣に座るレグルス様から突き刺さるような鋭い視線を感じるけど、恥ずかしくてそちらに視線を向けれない。無理、落ち着かない!


「えーっと…。つがいになるには祈りを捧げないといけないんですよね」

「そうだ。城内にも祈りの場はある。今すぐ行こう」

「あ、いや! ちょっと待ってください。その前にシャルルさんとつがいにならないといけないんです」


シャルルという名前にピリッとした空気が流れる。

彼の存在は知ってるから警戒する必要ないと思うんだけど…。私の仲間だって言ってあるし。


「何故?」

つがいを作るとしたら一番はシャルルさんにって約束したんです。だからレグルス様より前にシャルルさんとつがいを結びたいんです」

「俺一人でも守れる」

「心強いんですけど、約束しましたし…」

「…」

「あのレグルス様?」

「レグでいい」

「え?」

つがいには愛称で呼ばれたい」

「…で、ではレグ…さん?」

「レグだ」

「わ、わかりました」

「トワコ、そいつを連れて来い」

「シャルルさんですか?」

「そいつも一緒に祈らせよう」

「いや、だから少しだけ待ってください! ちゃんとシャルルさんやセティさんたちに説明したいし、私も色々あって混乱してるんです…」

「だが…」

「お願いします。一晩だけでいいので!」

「…解った。なら明日屋敷へ迎えに行こう」


納得していない顔だったが、最後には溜息とともに許してくれた。

私の手を取り、まるで誓うかのように手の甲にキスをする。

な、流れるようにキスをしないでもらいたい…。今まで女性と関わってきてなかったのに何でこんなことできるの!? 本能なの!?


「セトを呼んでくる。ここで待っていてくれ」

「わかりました」


キスをされた場所が熱く、レグルス様の顔を見れないまま返事をすると部屋から出て行った。


「あああああ…つがいになっただけでも頭混乱してるのに、キスもされるなんて…! ああああ…キスしてしまった…恥ずかしいっ…!」


一人になって少し冷静さを取り戻したものの、先ほどの一連を思い出してベッドの上で悶える。

当分の間まともにレグルス様…じゃなくて、レグの顔見れないよ! 何でこんな少女漫画みたいな展開になるんだ! 恥ずかしい!

つがいになったらこんなこと頻繁にされるの? いやレグルス様のことは好きだよ? 格好いいし、強いし、頼りがいがあるから好きになってくれるのは正直嬉しい。

でも異性への好きかと聞かれたら微妙…。私の感情が追いついてない。


「トワコ嬢」

「はいっ!」


悶々と頭を抱え、感情を整理しているとレグと一緒にセトさんが入って来たので姿勢を正して迎い入れる。


「粗方の説明はした。セト、不本意だが俺のつがいを頼む」

「…解りました。トワコ嬢、屋敷に戻りましょう」

「は、はい。よろしくお願いします」


乱れた髪を戻してセトさんに駆け寄ると、レグに腕を掴まれて大きな身体に包まれる。


「気を付けて帰れ」

「は、はい…」

「何かあればそいつを盾に使うといい」

「気をつけます。じゃあ…また明日…」

「ああ」


抱き締められたと理解した瞬間、すぐに離され部屋から追い出された。

何がしたかったのか解らないまま手を振り、セトさんと一緒に部屋から離れる。

長い廊下を沈黙のまま歩く。

何だろう、この空気の重さ…。いつもだったら日常会話でそれなりに盛り上がるのに…。


「トワコ嬢」

「なんでしょう」

「彼とつがいになるのですか?」

「はい。ちょっと色々あって…。あ、詳しい話は屋敷に戻ってからでいいですか?」

「解りました」


ああ、そうか。私、この人にも告白っぽい告白をされたんだった…。

どうしよう。セトさんもつがいにすべき? いや、つがいを作らないって思ってたのに今日だけで二人のつがいができたんだよ!? 好きかどうかも解らないのに!

これからどう彼らと接していいか解らないままつがいを増やしたくはない。そうじゃなくても一夫多妻…じゃなくて、一妻多夫なんて私からしたら考えられないことだ。

つがいになれば交尾の話題もあがるだろうし…。うう…交尾なんてもっと無理だ…! 頭と感情が追いつかないよ!


「(これからシャルルさんにも説明しないと…。はぁ…疲れた…)」

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