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22.王都⑨

「こんな服装だなんて聞いてないですよ」

「言ってないもの。時間がないから早く着替えて頂戴!」

「うう…」


昨日はシャルルさんと商店街だけでなく、協会を見に行って大いに楽しんだ。

水晶でできた協会は見事なもので、当分の間声が出なかったのをシャルルさんに笑われた。

そんな充実した休日を送ったが今日はその反対。

私の為に用意したという服は漫画に出て来るような踊り子が着るようなものだった。

セティさんみたいなナイスバディの美人が着ればそれはもうお似合いなんだろうけど、こんなちんちくりんが着てもみっともないだけだ! と言うか布の面積がとにかく少ない!

いくら嫌だと言っても彼女は頑として譲らず、無理やり脱がそうとしてきたので諦めて着ることにした。

しかもなんでサイズピッタリなんですか…。もしかして一緒に寝たとき!? たった一晩でわかるものなの!? いや、ほとんど布の面積がないからか!


「あら、やっぱり見立て通り可愛いわね。トワコは色白だから純白がよく似合うわ」

「はは…。セティさんも赤い服が似合いますね」

「あら、赤だけじゃなく全ての色が私に似合うのよ」

「あはは!」

「それからこれね。外からは見れないけど中からは見れる布よ」


そう言って一枚の布を取り出し、髪と一緒に結い上げてくれた。

すごい、こんな手早く綺麗にまとめてくれるなんて…。普段面倒を見てもらってる姿しか知らないから感動してしまった。

それが顔に出ていたのか、セティさんにフフッと笑われた。


「娘が喜ぶからね」

「いいお母さんですね」

「でしょう?」

「そう言えば娘さんも参加されるんですよね? 一緒に行かないんですか?」

「何故? もう彼女達も成人してるのだから私が一緒に行く必要はないわ」


わぁ、さすが。切り替えが凄い。


「だからトワコは特別よ」

「ありがとうございます。服はまだ恥ずかしいですけど、お揃いは友達みたいで嬉しいです」

「と、友達!?」

「あ、すみません。さすがに不快ですよね、会って間もないのに」

「嫌だとは言ってないじゃない! 仕方ないからそれでいいわよ!」

「ほんとですか? 嬉しいです、ありがとうございます」

「ふんっ。ほら早く行きましょう。トワコがグズグズしてたから遅れちゃうわ」

「すみません」


まぁ恥ずかしいけど、セティさんの可愛らしい顔が見れたからいっか。

照れ隠しで怒っているセティさんと一緒に玄関に向かうと、彼女のつがいが六人ほど並んでいた。

みんなイケメンだなぁ…。ここだけ見るとセティさんの逆ハーレム漫画みたいだ。

格好よくて背の高い彼らに囲まれてもそれに劣ることなく輝くセティさんは本当に綺麗…。

私ももうちょっと身長欲しかったかな。ここの人達の身長が高いのもあるけど、見上げるのしんどいときあるんだよね。

シャルルさんの隣に並んだ時も……釣り合ってないように思えて……。


「どうしたのトワコ。行くわよ」

「はい!」


チラチラと彼らからの視線を感じつつセティさんの元へと向かう。

外には豪華な馬車と、黒い豹が一匹。


「シャルルさん、お待たせしました」


獣姿なので喋ることなく喉を鳴らし、身体を摺り寄せる。

大きいから力が強くて倒れそうになったが器用に尻尾で支えてくれる。

満足した様子で見上げてきたので布をめくって見せるとすぐにペロリと舐められた。

「可愛い」と言ってくれた気がしたので微笑むと、再度舐められ何度も頭を太腿に摺りつける。


「馬車には私たちしか乗れないからその姿で走って来るんですか?」

「護衛も兼ねてよ。ほら早く乗りましょ」

「私だけすみません、シャルルさん。疲れたら後から来てもいいですからね」


今度は太腿を舐められ、馬車の先頭へと向かう。

ゆ、油断も好きもない人だ。


「ところで王都にいるメスが全員集まるんですか?」

「招待されているのは全員だけど欠席者も多いわよ。特に草食種族はレグルス様を怖がっているもの」

「えーっと…」

「第一陸軍部隊の隊長。ライオン族のレグルス様よ」

「あ、そうそう。そんなに怖い人なんですか?」

「実際話したことがないから詳しくは知らないわ。ただ二回ほど問題を起こしてね」

「問題?」


馬車の中は一つの部屋のようだった。

フワフワの椅子にキラキラした装飾が施され、お菓子も準備済み。

汚さないよう細心の注意を払って乗り込み、ソファに座るとすぐに馬車が動き始めた。

凱旋パレードの会場まではここから少し離れた場所にあるけど、集合時間までは余裕はあるしゆっくりお喋りを楽しもう。


「確かに勇猛果敢でオスとして優秀なお方だわ。実際次の王としても名高いし」

「すごい人なんですね」

「そうね。王都にいるほとんどのメスから求愛されてたけど、その内の一人に怪我を負わせたの」

「え…」

「確か…シカ族だったかしら。その一年後にはヘビ族のメスを殺しかけたわ」

「………」

「二人ともいきなりレグルス様が襲い掛かってきたと言っていたけど、当のレグルス様は何も言わなかったから真偽は不明」

「レグルス様が悪いとは言わないんですか?」

「一方だけの言い分だけだと不公平だわ。それにシカ族とヘビ族のあの二人、私嫌いだもの」

「なるほど…」

「それ以降、彼に近づくのはアリーシャだけね。ふふっ、それも無駄だけど」


悪い顔してるわぁ…。

にしても今回の主役であるレグルス様にはちょっと注意だね。

真偽は解らないにしろ、関わらないのが一番。


「王都にいるメスは草食種族が多いから今回の参加者は少ないはずよ」

「シャルルさんに教えてもらいました。特にウサギ族が多いとか」

「そうね。彼女達はいつでも子供作れるし、産む子供も多い。その分メスが産まれる確率も高いから人気なのよね」

「あとネズミ族もですよね」

「そうそう。草食種族が多いと平和でいいわよ。戦力にはならないけどね」

「でも残念です。せっかくお友達が増えると思ったのに…」

「私だけじゃ不満だってわけ!?」

「いえ、私だけじゃなくセティさんにもと思って」

「いらないわよ。どうせ表面だけ取り繕って、裏では笑うに違いないわ。トワコも彼女達に騙されちゃ駄目よ!」

「わ、わかりました」

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