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12.放浪の旅⑧

「よ、ようするに?」

「仕事を辞める前に言われた金額を稼いで合流することになりました」

「シャルルさん、いいんですか?」

「雑用係にちょうどいい。その分俺がトワコの世話に専念できるからな」

「いやお世話してもらわなくていいんですけど…」


さっきまで一触即発だったのに、なんで許したんだろう…。


「戦力は確かに欲しいし、俺に歯向かわないなら丁度いいと思って。でもトワコがこいつを嫌だと言うなら断るよ」

「いや…シャルルさんが決めたことに従いますよ。仲間が増えるのも嫌じゃないです」

「チッ。おい、さっさと仕事帰れ」

「トワコ様、当分の間会えなくなるのは寂しいけど、たくさん稼いできますね!」

「だ、大丈夫ですから!」

「はいっ! じゃあまた!」


窓から入って来たハイエナは窓からご機嫌に去って行った。

怒涛の出来事に重たい溜息を吐いて、そのままベッドへと寝転ぶ。

生理中だから余計にしんどい…。村についたらゆっくりできると思ったんだけどなー。


「トワコ、身体しんどい?」

「え? ああ、そうですね。ちょっとだるいんで横になります」

「一発殴っておけばよかったね」

「あはは…。そうだ、シャルルさんはどこに行ってたんですか?」

「ギルドの仕事を請け負ってきたんだ。一週間はこの村にいないといけないからね」

「あ、すみません」

「何度も言うけどトワコは気にしすぎだよ。謝るよりお礼のほうが嬉しいな」

「……そうですね、ありがとうございますシャルルさん。シャルルさんがいてくれて本当によかったです」

「ううん。こちらこそ、僕と出会ってくれてありがとう」


シャルルさんの温かい言葉と笑顔に胸の奥がジンとする。


「早くつがいになれるよう頑張るね」


これがなければなぁ…。


「あ、生理が終わったらちょっと調べたいことがあるんですが」

「なに?」

「えっと、メスからマリッジリングについて詳しく知りたいんです」

「そうだね、それは大事だ」

「ですよね。だからメスとお話したいんですけど…」

「そうだなぁ…。んー…じゃあ王都に行こうか」

「王都ですか?」

「そうそう。王都ならメスが多いからここより変にオスが押し寄せてこないだろうし、対話したいなら王都のメスとしかできないしね」

「そうなんですか」

「ここじゃあトワコの存在は目立つし、王都のメスは割と寛容だったりするらしいよ。確か…タカの女王はお喋りが好きだからきっと仲良くできる」

「へー…それは会うのが楽しみですね」

「あそこは治安がいいし、何より王都だけあって綺麗だよ。美味しいものもたくさんあるから楽しみにしてて」

「はい、今から楽しみです」


楽しみが増えたと自然と笑顔を見せると、シャルルさんもようやくいつもの優しい笑顔を浮かべてくれた。

そのまま頭を撫で、シーツをかぶせてくれる。


「そう言えば鷹と言えば、あの鷹は大丈夫でしょうか」

「致命傷はなかったし、薬飲んだから大丈夫だよ」

「軍人ってどの村にもいるんです?」

「いや、普通は王都にいる。あいつはたまたま偵察か巡回でマルケルにいたんだと思う。で、お金欲しさに宿屋のジジィが情報を売って追いかけて来たんだ」

「なるほど…。メスを見つけるとお金がもらえるんですね」

「王都に連れて帰ることができたらの話だけどね」

「あ、さすがにそこはしっかりしてるんですね」

「そのせいで他の村や街、隣国からは反感買って小競り合い起こしてちゃ意味ねぇけどな」

「ダメじゃないですか…」

「今の王が色欲魔なんだよ。始祖返りに気に入られてるからって調子乗って、争いの火種作ってばかり。バカな王様だよ」

「始祖返りが王様じゃないんですね。強いって言ってませんでしたっけ」

「普通は王になったりするんだけど、王都にいる始祖返りは辞退したんだよ。二人体制で統治してるから最初はそれなりによかったんだけどメスが増えるにつれ本性出して…ってな感じかな」

「でもおかげでメスがたくさんいるから王都の人口が増えて栄えてる…」

「そうだね。だから正解か不正解かは解らない」

「私には関係ないけど、住むなら平和な街か村がいいなぁ」

「うん、わかった。考えておくね」


催促はしてないです…。


「ちなみにここから王都までどれぐらい距離があるんですか?」

「トワコの足なら十日ぐらいかな」

「え…。結構な距離ですね…」

「ゆっくり行こう。時間はたくさんあるよ。そうだ、この近くには綺麗な景色もあるから見て行かない?」


急いでいるとは急いでる。元の世界に戻りたい気持ちはなくなってないし、マリッジリングについて早く知りたい。

それでもせっかく来たんだから少し楽しみたいという気持ちもある。

この村に来るまでに見た景色も十分綺麗だったもん。前に水浴びした湖畔は神秘的だったし。


「まだマシとは言え、王都でもできる限りバレないように気を付けようか」

「そうですね。下手に混乱を招くかもしれませんし…」

「…。一番の解決方法があるけど聞く?」

「あるんですか?」

「僕とつがいになること。つがいがいないメスがいたらさすがに大混乱間違いなしだけど、つがいがいるメスにはそれなりに緩和されるよ?」


ニコー!

はぁ、間髪入れずにアピールしてくるの凄いなぁ。


「王都に入るとき、手袋をしたらマリッジリングがあるか解りませんよね」

「賢いねトワコ。準備しておくよ」

「ありがとうございます。…すみません、ちょっと疲れたので寝てもいいですか?」

「わかった。また変な奴が入って来ても困るし、見張ってるよ」

「シャルルさんもしっかり休んでくださいね…いつも……動いてばかりで…」

「おやすみ、トワコ」

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