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あの扉の向こうから。  作者: えりこ
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諦める者

 ハアァァァ、ハアァァァ…

「ちょっとおお、みんな早くな〜い?」

明日香は息も切れ切れに言った。

 今は七月、夏真っ盛り。友達と計四人で山登りに来て早々にみんなから置いてかれている。こんな時期に山に登るのがそもそも大きな間違いだったなと思いながら、先の長い道のりを思い、ため息をついた。

 そんな時、「ケーブルカー」と大きく書かれた看板を見つけた。私は喜びで声が弾んでしまうのを抑えながら、さりげなく

「ねね、みんな〜、こんなに暑いとさ頂上についても景色楽しめないから、ケーブルカーに乗ってこうよ!」

とさりげなく提案してみた。

すると友達の花梨が

「はあ?何言っちゃってんのお。疲れた後に頂上から景色を見るのか楽しいんじゃん。

諦めるのはまだ早いって。」

私の希望はその一言に砕かれそうになった。

何言っちゃってんのって思ってるのは、こっちなんだけどっ!しかも、別に嫌で諦めたわけじゃなくて最も効率の良い方法で行こうと思ってるだけだし。

だがまだチャンスはある、と私とよく気が合う、美咲に期待を込めて視線を向ける。

「まあケーブルカーもいいけど…せっかくここまで来たし…。」

 そんなっ…。いつも私に賛成してくれるのに、どうしてっっ!おまけにあまり意見を言わない由莉奈まで大きく頷いてるんだけどっ!疲れが溜まりイライラが抑えきれずに顔に出ていたのだろう。花梨がそんな私を気遣うように

「じゃあ、明日香だけケーブルカーに乗っていけばいいんじゃない?私たちは後から合流するからさ。」

いや、何でみんなで乗ろうって言ってくんないのかなあ。はあ。もう、しょうがない。

「あ、うん。そうすんね。」

となかば投げ捨てるように言い、明日香はトボトボと乗り場へと向かった。

 

 そんなやりとりを遠くから木のそばで見守る黒い人影がいた。そう、この後、明日香を激動の運命へと追いやる人物である。もちろん、そんなことは明日香たちには知る由もないが。

明日香が歩き出すと、その人影は明日香の後ろから忍び寄るようについていく。カラスの鳴き声が不気味にこだましていた。

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