1,買い取った女奴隷が可愛すぎるんだが
やばい。これはやばい。
可愛い。可愛すぎるだろこいつ。
だってあれだぞ? 夢にまで見た金髪碧眼の美少女だぞ?
それが、胸と股間だけを隠した半裸でいるんだぞ?
これ、絶対萌えるだろ。俺は萌えた。
「こいつが奴隷か?」
「はい。そうでございます」
闇商人がそう言って汚く笑う。
ゲスな野郎め。
俺は一も二もなく、その女奴隷を買った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺は貧乏男爵だ。
二十歳の若さで爵位を継いだものの、領地経営に失敗して一気に没落。
借金まみれで首が回らなくなり、使用人を次々と解雇。でも自分で屋敷の管理なんてできるわけないしと思って奴隷を買うことにした。
奴隷は最近の風潮として倦厭されがちだし俺もあまり好きではないが……この際仕方ない。
そういうことで奴隷を扱っている闇商人を屋敷に呼び、女奴隷を見せてもらうことになった。
奴隷というのは、基本的に金がなく落ちぶれた者の成り果てなどである。
特に女奴隷は醜い奴が多い。麗しければ体を売るだろうから、それすらできない奴らがなるはずだ。
だから女奴隷とはいえ、労働力にするだけのつもりだった。でもその女奴隷を一目見て気が変わった。
これは可愛すぎる。たまんねえぞ。
くるくるパーマの金髪、澄み切った青い瞳。
鼻筋が通っているすらりとした顔立ちに細身の体。もう少しで陰部が露わになりそうな格好。
最高に俺好みだった。
絶世の美女って噂の王女様がいるけど、それじゃないの? と思うくらいだった。
……本物の奴隷か?
疑いの目で彼女を見る。
が、ボロボロの身なりは確かに奴隷らしかった。それに何より、瞳には一欠片の感情も感じられなかった。
俺は闇商人から彼女を買い取るなり、問いかけた。
「お前、名前は?」
少女が俺のことを少し見上げる。やはり無表情だった。
しばらく沈黙が流れた後、彼女は口を開いた。
「――――名前、ない」
鈴の音のように美しいのに抑揚のない声が返って来た。
……名前がない?
そんな人間いるのか?と思ったが、奴隷は道具のように扱われる存在。
名前なんてなくて当然だった。
「親からもらった名前もないんだな?」
「ない。お前って呼ばれてた……から」
じゃあこいつは親から捨てられた子なのか。
そもそも、彼女のような美人が奴隷になるのはおかしい。そう考えると、まだ幼少の時分に奴隷になった可能性が高かった。
俺はしばし考え込むと、言った。
「リズ。リズにしよう。お前の名前はリズだ。いいな?」
リズという名前に特に由来はない。ただ、響きが可愛いというだけである。
少女――リズは、ほんの僅かに首を縦に動かした。
まるで人形みたいだと俺は思う。その時、ふと考えが浮かんだ。
――こいつ、笑ったら可愛いだろうな。
そうだ。それはいいと俺は内心で手を叩いた。
もはや使い潰そうとか、そういうことは頭になかった。今俺は、こいつの笑顔が見たくてたまらないのだ。
こうやって自分の思いつきにしか従わないのが俺の欠点なのであるが、それは自覚している上でも抑え切れない。
だから――。
「リズ、笑え」
リズは整った顔をただただ俺に向けるだけだった。
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