寿限無
「お隣のご夫婦、無事お子さん産まれたんですって」
そうか。それはよかった。
「奥さんもなかなかのお歳でしょ。母子ともに健康だそうでほんとによかったわ」
そうだねぇ。こういうのって落ち着いたらお祝いとか持っていくものなのかな?
「どうなんだろう。親類からのお祝いとかもあるでしょうし難しいわね……。何がいいのかしら?」
うーん。……お名前シールとか?
「お名前シール……?あ。そう、お名前で思い出した。お隣さん達、妊娠がわかってからお向かいのご隠居さんにお子さんのお名前相談してたのよね」
へえ。ご隠居さんは物知りだからねぇ。
「そうそう。縁起のいい名前を考えてもらおうって」
でもご隠居さん、物知りでいい人だけど僕らの親かその親世代だろ?今風の名前じゃないとかで難しいんじゃないか?
「それがねぇ……。今風とか今風じゃないとかそういう次元じゃないというか……。」
うん?というと?
「一応旦那さんに教えてもらって紙に書いてきたんだけど……。読むよ?」
……うん。
「その子の名前は、
寿限無寿限無
五劫のすり切れ
海砂利水魚の水行末
雲来末 風来末
食う寝るところに住むところ
やぶら小路のぶら小路
パイポパイポ
パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーの
ポンポコナの長久命の長子」
女の子かぁ。
書き終わってから投稿までに一回間違えて全消しして全部書き直しました。
こんな1ボケのために同じ作業を2度するのはつらかったです。