第3話
ロイドは新進気鋭の冒険者だった。
彼の持つスキル<剣聖>は、かつての勇者が保有していた超レアスキルで、
初めて参加したクエストで大型の魔物を討伐したらしい。
そんな彼が、よりにもよって僕を自分のパーティーメンバーに誘った。
それも最初の一人として。
「女神様のお告げさ」
理由を尋ねる僕に彼は笑って答えた。
詳しく尋ねても彼は答えてくれずに、
だけど僕を仲間にしたいと言う言葉は本心のようだった。
「僕なんか何の役にも立たないよ」
僕はそう言って彼の誘いを断った。
冷静に考えれば飛びつくような大チャンスなのに、
その時にはもうすっかり負け犬根性が染み付いていた。
「そんなことない、俺には分かる」
それでもロイドは頑なだった。
何日も何日も僕に会いに来て、僕を誘ってくれた。
言葉を交わすうちに、
ロイドが本当に良い人間であることが分かった。
多くの冒険者が食い扶持を得るために冒険を続ける中、
彼は自分は世界の平和のために剣を振るうのだと言った。
人に言えば笑われるような綺麗ごと。
でもロイドは本気でそう思っていた。
僕はロイドという人間が好きになっていた。
彼が言うように自分に特別な力があるなんて信じられない。
でも僕は、このロイドと言う青年を信じてみることにした。
彼の目指す理想を少しでも助けられたらいい。
そんな事を考えていた。
こうして僕はロイドのパーティー【蒼天の轟竜】のメンバーとなったのだ。
・・・
・・
・
再び目を醒ましたのは夜半だった。
僕はどれくらい眠っていたのだろう。
眠りすぎて起き上がるだけで関節に痛みがあった。
「僕は・・・」
そうしてようやく記憶が蘇ってくる。
僕たちは依頼を終え街に帰る途中であの【黒甲冑】に襲われたのだ。
僕はその事を思い出し、
突如胃が熱くなるのを感じた。
部屋の隅にある木桶に何度も戻してしまう。
そして仲間の顔を思い出し、
僕は泣いた。
【蒼天の轟竜】は僕を残して全滅してしまったのだ。
ラーハンも、
アリアハルも、
リラも、
そして―――――
「ロイド・・・」
親友の名を呼び、
僕は慟哭した。
喉が枯れ、
涙が果てるまで、
僕は泣き続けた。
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