帰り道【メン】
帰り道は2つに分けて書きます。
四人で勉強してた俺らはそのあと男同士、女同士で帰ることになった。咲優はなんだか不満そうな顔をしていたが、真穂が小声でなにかを囁くと少し顔を赤くさせてこうして帰ることを承諾していた。何を話したんだろう?
まさか、俺の黒歴史とかじゃないだろうし
「なぁ、巧樹」
「ん?どうした?」
帰路でいきなり陽貴が俺に質問してきた。
それまでは軽い話だったのだが、急な話題変換で陽キャ代表格の陽貴にはとても似つかわしくない感じだった。
「お前さ、好きな女の子いるか?」
「...俺、お前のこといじったりしてないよな?」
俺が人を好きになってもその思いが実ることはないと長い付き合いの陽貴なら良くわかっているはずだ。俺もいつもの軽口かと思ったのだが一
「お願いだ。今日はちゃんと答えてくれないか?」
「...珍しいな」
「俺にとっても大事な親友の将来なんでね」
「それはもしかして俺のことを言ってるのか?」
「さぁな。でもま、お前がそう思うんならそれでいい」
「お前らしくないが... あと、さっきの質問、俺に好きな子なんて一一」
刹那、ふと俺の頭を掠める一人の少女がいた。
それが誰を示しているのかは分からなかったが、なんとも眩しく、ブラックホールにも対抗できそうな黄金の煌めきは俺の口を止めるには十分すぎるほどであったのだ。
「その反応は..まだ明確でないってことだな」
「...」
「なにか胸に引っ掛かるがその思いの具体性が欠けてるってところか」
まさしく俺の現状である。胸に込み上げてくるなにかの像がぼんやりとしか視られない。
「さっきの俺の質問から考えれば分かると思うが、その思いの正体は『恋』だと俺は思うな」
「恋...」
「あぁ、そうだ。」
「それは否定できないな ...異性を好きになったことはあるが、その時も同じようにな思いになってたと思うから...」
あれは小学二年生の頃だったな。初恋のMちゃん。さっきの輝きほどではないが彼女も光を放っていたな...
って、今は初恋よりも深い恋ってことじゃねぇか....
「その相手はまだはっきりと分からないんだろ?」
「あぁ、でも思いの丈は初恋よりも強そうだぞ」
「それではっきりしないのかよ....人生初恋が一番思いが強そうなんだがな...」
そんな常識俺は知りませんでした。ごめんね、世間に疎くて☆....
「てか、なんでそんなことがわかったんだよ」
「そんなこと?」
「俺が恋をしてるかもしれないってことだよ」
「え?お前見てたらすぐわかったけど?」
エスパーかよ...いや、俺が把握しきれてなかった思いまで当てたんだからそれ以上か?
「まぁ、恋はいいぞ。右曲左折するけど、成功すればもうそれは青春だからな」
「ふんっ!俺の春はどうせ灰色だよ!」
「恋はそれをいろいろな色にできるんだよ。空のようなすみきった色になれるといいな」
「...あぁ、いろいろとありがとな」
「ん、今度ジュース宜しく」
「人の好意を無下にすんじゃねぇ!」
「そんなこと言うんだったらお前も恋を成功させてみろやーい!」
「うるせぇ!リア充め!」
最後はいつもの軽い口調に戻ったが....さまざまな思いを気づかせてくれたな。
中学のとき陽貴みたいなやついたわぁ...
面白かったら評価などよろしくお願いします!
次話への励みになりますので!
感想もほんの一言でもいいのでどしどし受け付けています!




