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危険度SSSクラスの「勇者」パーティに潜入した魔王軍の四天王。バレない様に頑張ってたら、女勇者に気に入られた  作者: LA軍@呪具師(250万部)アニメ化決定ッ
純潔の剣豪

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第40話「退屈しのぎ」

新章スタート!


更新中!!

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よろしくお願いします



「模擬戦っすか?」

「そうさ。退屈してんだろ? いっちょ汗でも流そうぜ」


 そういうと好戦的な目を向けるオーディ。

 どうやら、退屈しのぎやら模擬戦やらはただの言い訳だろう。


「いやー……。そうしたいのは山々っすけど、ほら」

 そういって膝の上やらで丸くなっている女どもを見下ろすヴァンプ。

 ぶっちゃけ、このくそ女どもも面倒くさいことこの上ないので、このまま海の中にぶん投げたい衝動に駆られるが、かろうじて抑えているヴァンプ。

 そこに、この脳筋男と汗を流すとか、……それ、なんという拷問ですか?


「あん? んだよ、女の膝枕してる方がいいってか?」

「そう見えるなら、その節穴交換しとけよ、(ボソ)」


「あ゛ぁ゛?!」


 思わず不平を漏らすヴァンプに気炎を上げるオーディ。その剣幕にはさすがにナナミたちも目を覚ます。


「むぅ……? どうしたのヴァンプぅ」

「むにゃむにゃ……」

「あら? オーディさんも一緒に寝る?」


「「寝るかッ!」」


 サラリととんでもないことを言うサオリに思わずハモルるヴァンプとオーディ。


「ったく、まぁ、いい。やりたくないってんなら、好きにしな」

「好きにするー!」


 ギュー!! とナナミがヴァンプの首に縋り付き抱きしめ────ボキボキボキ……!



 いっだぁぁあああああああああああ!!



 ツーと鼻血が一滴。

 ヴァンプさん。無茶苦茶痛かったけど、顔色一つ変えません。


 つ----か、痛ったぁっぁあああ!


 ナナミの寝起きのパワーでボッキボキになったあばらとか鎖骨。

 だけど、こんな至近距離で激痛にのたうちまわったら、サオリやクリスティまで巻き込みかねなかったので鉄の意思で抑え込む。

 って、イタイイタイ痛い!!


 ナナミは「もう一度ねゆー……」と言ったきり目を覚まさない。


 駄目だ。

 この子自分が勇者パワー持ってること忘れてる。


 死ぬ。

 死ぬ。


 死んじゃう……。




「お、オーさん。その────」




 ※ ※


「ふわぁぁあ……よく寝た」

「ナナミぃ、目ヤニついてるよ?」


 ショボショボとした顔でお互いの顔を拭い合っているナナミとクリスティ。

 種族が違えど、傍から見れば姉妹のようだ。


「まったく、ヴァンプの膝だとついつい熟睡しちゃうわね」


 そういって大あくびしているのはメンヘラ魔術師長こと、サオリだ。


 三人はのびーっと、体を伸ばして午睡後のアンニュイな雰囲気を楽しんでいた。


「でも、いい気分で寝てたのに起こされちゃって、僕はちょっと不満だなー」


 ぷーと頬を膨らませたクリスティだが、

「オーディは空気なんて読まないからね、いいのよ。ヴァンプだってたまには男の子とお話(・・)したいでしょうし」


 ふふふ。と余裕の笑いを浮かべるサオリ。さすが悠久の時を生きるハイエルフだ。

 一分一秒でも長く好いた男の傍にいたい短命種とは違うらしい。


「で、でも心配だよ……。ヴァンプが怪我でもしたら───」


 そう言ってハラハラとした顔で、男二人が向かい合う様を見ているナナミ。


「大丈夫よ。アナタが愛した男よ?……これくらいで、負けるはずがないわ───それに、」


 ナデナデとナナミの頭を撫ぜるサオリ。


 「あ、愛しただなんて」キャーとか言って顔を染めているナナミだが、クリスティはサオリを振り返ると、


「「それに」……?」

「えぇ……。そう、ヴァンプの強さは底知れないわ───」


 まるで、人間離れしたそれ───……。


「確かに、ヴァンプが全力で戦ってる所なんて見たことないかも」

「そう。彼は斥候にして暗殺者───……誰も見ていないところでその実力を十全に発揮するタイプ」


 ならば?


「じゃ、じゃあ……オーディみたいなタイプとは相性が悪いんじゃ?!」


 ナナミは説明を聞くまでもなく青い顔をして止めに入ろうとする。


「待ちなさいな。この子はもー……」


 ムンズとナナミの襟首をつかんで持ち上げると、サオリは口角をキュウと上げて言う。


「ヴァンプが心配なのはわかるけどね。人前で滅多に戦わない男が、人前で戦うのを信条とした男より弱いなんて、誰が決めたの?」


 そう。ただヴァンプは滅多に人前で戦わない(・・・・・・・・・・)だけ───。

 それが弱さに繋がるはずがない……。


「見ておきなさい───あの男の真の強さを……芯の強さを」


 そして、心の強さを───。


「う、うん……」

 不安そうにしつつも頷くナナミ。

 それは本当にヴァンプを心から好きになってしまった乙女の表情だった。

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