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送る者

 4:送る者

 コツンコツン、棚に商品を並べる音が鳴る、そして時折カツンというもの同士がぶつかるような音もする。

 そして並べる手を止めて無音になる。暖かい日が差し込む中のんびりと時間が過ぎていく。


「お邪魔するよ」

「あら、お久しぶりですね。いらっしゃいませ、ゆったりして行ってくださいね」

「あぁ、そうさせてもらうよ」

 戸を開け、顎に手を当てどこに何を置くか悩んでいたミズと軽く挨拶を交わし、お店の中へと青い半袖にジーンズ、目深に被ったキャップ帽という「トラックの運転手」の格好をした男が入ってきたのだった。

 その男はどすんと店内に置いてある椅子に座り首をコキッコキッと鳴らし手をぐーっとのばし伸びをしたのだった。

 並べかけの商品を一旦レジ横に置き、いつものその男の一連の流れを見たミズは声をかける。

「先月は何人程送られたのですか?」

「あー、14人だ。全く最近の御上は何を考えてるかわからん、しかもまぁよく日本人ばかりを……」

「あら、今月はだいぶ多いですね。何かあったのですか?」

「ん?そうだなぁ、聞いたところだと前に送った内6人が好き勝手してて削除したらしい。それと2人が失敗したそうだ」

「あら、それはそれは……」

「全く、転生したからとか別世界に来たからといってとんでもない程に好き勝手したら消されるに決まってるだろうに。それにそんな奴を選ぶ神の気が知れん」

「一人一人を見るんじゃなくて数値だけを見るようになった弊害でしょうね、はいどうぞ」

「おう、助かるよ。ったく最近じゃ「俺も転生トラックに轢かれたい」やらと言う奴すらいる、こっちの身にもなってみろってんだ」

「まぁ私達は気付かれることなかれですから」

「何百人と送ってるがそれでも1度手を下した事に変わりはないんだ、罪悪感もあるっていうの」

 そうミズに愚痴を零しながらその男は差し出されたお茶を飲みながら一緒に出された草餅を頬張っていた。

「あの水槽、まだあるんだな」

「ふふっ、いつまで置いてるんでしょうねぇ」

「少なくとも俺が発生した時から置いてるんだ、絶対にどかす気はないんだろう?」

「あら?よく分かりましたね」

「ったく、何年の付き合いだと思ってるんだ」

「全くですね、それじゃあ私はいつものを用意してきます」

「あぁ、頼んだ」

 ミズがぽんぽんと膝を叩いて店の奥へと歩いていく、男はもう一口ちびりとお茶を飲み、店内を歩いてみて回った。

 水色の四つ葉のクローバーが入った小瓶、白くて丸いが暗い何か、進んでは戻るを繰り返している黒い点の入っている輪っか男は一つ一つを見ているうちに懐かしさを噛み締めているような笑顔になっていた。

「はい、お待たせ致しました。とりあえず29本」

「ん、確かに、支払いの方はいつも通り後で本部に請求しといてくれや」

「はい、いつも通りやっておきますよ」

「おう、もうしばらく時間はあるし少しゆっくりさせてってくれや」

「構いませんよ、それじゃあお茶のお代わりでも」

 男は灰色の液体の入った瓶が詰め込まれている箱を横に置き、店の奥へと消えるミズの背中を見送った。

「どれだけ時間が経っても、何一つ変わってないし、変わることもないんだな」

 そう悲しげな顔を浮かべ、しかし嬉しそうな声色で男はそう呟いたのだった。

というわけで今回のお客さんは転生トラックの運転手でした!


簡単にトラックに轢かれてあっちの世界こっちの世界と行ってるけど運転手さんの心労を考えてあげましょう。


そしてミズさんとは一体どんな関係なのでしょうか

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