表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

雑貨屋さん

新しい作品を上げさせてもらいました!

今作は落ち着いた雰囲気を楽しむという趣旨で作っています。

色々なお客さんが来るので毎話楽しみにして下さると嬉しい限りです!

それではミズさんの雑貨屋さんを覗いて来てください!

 1:雑貨屋さん

 しとしとと雨が降る。

 静かなお店の中には涼しげで落ち着きをくれる雨音とぺらりぺらりと本をめくる音が響いていた。


 カラカラと戸を開ける音がお店の中に響く。

「お、おじゃましまーす」

「いらっしゃいませ、ゆったりして行ってくださいね」

「は、はい」

 その日は1人の「人間」の女性が訪れた、年の頃は15か16程だろう。

 髪は肩にかかるほど、明るい栗色の髪を揺らしながら彼女は緊張した様子で店へと入ってきた、そして彼女は店長であるミズと言葉を交わす、ミズは落ち着いた声で彼女を歓迎し、また彼女もその落ち着いた声で緊張がほぐれたようだった。

 彼女はしばらく店の中を歩き、商品棚を見て回った、ぺらりぺらりと静かな空間に本をめくる音が響く。

 子供が好むような菓子、洗剤やスポンジなどの日用品、ちょっと不思議な置物から彼女が「かわいい」と言葉を漏らすような人形、何に使うのか分からないような道具など様々な物が置かれている。

 彼女は珍しい物をみた、楽しい物をみた、そんな浮かれたような気分で、あまり広いとは言えないこの店の中を時間かけて見て回っていた。そして棚を半分も見てしまわない頃にふと何かを疑問に思ったのかミズに一言問いかけた。

「すいません」

「はい、なんでしょうか」

「このお店はなんのお店なんです?」

「この店、ですか。この店は雑貨屋ですよ、ちょっと食べたくなるようなお菓子、可愛げのある物に日用品、ちょっと専門的な道具、いろんなものが置いてある雑貨屋さんです」

 そうミズは彼女に答えた、彼女はそんな風に返されると思ってなかったのか少し固まっていた。

 くすっとミズが笑いをこぼす、その音で彼女はふるふると頭を振り、恥ずかしかったのか顔を少し赤らめ慌てるようにしてまた棚に向き直った。

 そんな彼女にミズが話しかける。

「今日はどうしてこちらへ?」

「あ、えーっと。今日はちょっと回り道してみようと思って……」

「そうだったのですか、どうです?回り道で良いものは見つかりましたか?」

「いえ、何も……」

「あら、それは失礼を……、でも今日はいい天気でしょう?」

「そうですか?私は雨が降ってるからあんまりいい天気って思わないんですけど……」

「雨もそう悪いものじゃありませんよ、私はこれくらいの雨が好きでして、ちょっとしたぽつぽつという少し濡れる程度が外へ出るのを億劫にさせ、こうして室内でぽつぽつという小さい雨音を聴きながら本を読み、子作業をし、ゆっくりと時間が流れていく。こんな天気が私は好きですよ」

「そう聞くと雨も悪いものじゃないですね」

「でしょう?」

 二人はクスリと笑い合い、それぞれ元々やっていたことに戻る、再びぺらりぺらりと本をめくる音と彼女のコツコツという足音だけが店の中に響く、長いようで短いようなそんな時間を彼女は軽い足取りで楽しげに棚へ陳列されている不思議な物達を見ていた。

 見終えた棚も半分を過ぎ、ぱたんとミズが最後のページを読み終えた頃、彼女はひとつの物にじっと目を向けていた。

 それは簡単な少し黒みがかっていて高さも2cmとない木の台の上に乗っている、澄んだ深い青色の球体だった。

 ガラスやビー玉とも言えない不思議な、そして落ち着くよつな色合いの珠中に小さな、でも確かに存在感のある星のような物があった。

 数分、しかし彼女には一瞬に感じる程だっただろう。

 それだけの時間彼女はその青い珠を見つめ、ミズに声をかけた。

「すいません、これ幾らですか」

「あぁ、蒼星ですか。それなら200円でいいですよ」

「え?200円でいいんですか?これ水晶とかなんじゃ……」

「ふふっ、それは私の手作りなんですよ。それに熱心に見てもらってましたからね、特別です」

「えっと……それじゃあお言葉に甘えて」

「はい、毎度ありがとうございました。また機会があれば是非お越しくださいね」

 「はい!」

 そう言って彼女はカラカラと音を立て戸を空けて出ていったのだった。

「貴女が深い海のような落ち着く時間を過ごせますように」

 そうミズは一言言うと次に読む本を取りに店の奥へと消えていった。

というわけで今回のお客さんは人間の女の子でした!

チャラくない真面目な子です。

部活はきっと料理部


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ