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第10話 桜色の小京都ー韻ー

 SSA(国立ソルセルリーアカデミー)第100期生。



 それはSSA117年の歴史の中で最大の出来と言われる世代だ。この第100期の学年最下位が他校の首席をタイマンで圧倒したとか、とにかくこの世代は都市伝説とも言えるほどの強さを誇った。



 もちろん都市伝説というのは比喩でこれらは全て現実だ。例えば今の全日本魔法教会本部の本部長を知っているだろうか。



 立花海斗。18歳で全日本魔法教会の本部に就職。それからは手柄をあげにあげまくり、28歳という若さで本部長に就任した。



 さくっと説明したがこれは恐ろしいことだ。教会本部のトップともなれば教会支配下の組織も含めて法皇に次ぐNo.2であり、歴代の本部長の平均就任年齢は46。それを20年近く下回っている。



 28歳なんて若僧は例年ならばまだ上司に従って補佐をするだけの仕事をしているのが普通だ。それが全国数万人を束ねる大頭である。こんなことは教会の記録に残っている限りは初である。



 この歴史的な人物「立花海斗」はSSAの100期生第4席である。伝記級の人物ですら4席。この世代の凄さが分かってもらえただろうか



 さらに伝説はまだ続く。教会支配下組織の1つに国家警察という組織がある。そこの警察総監さんもSSAの100期生だったり、教会九州支部の支部長もそうだったりする。



 例を挙げればキリがない。なぜなら卒業した全員が重役と言われ、巨大組織の幹部に携わっているからだ。まさに他の魔法学校でも類を見ない異例の世代。それがSSAの100期生なのである。



 そしてもう一つだけこの伝説について紹介しておこう。月城十六夜。5大魔術師の1人の彼も実はこのSSA第100期生の1人だった。さらに驚くべきことは、彼の卒業時の成績は首席ではなくとある人物に次ぐ次席だったということだ、、、、




 それから17年。月城十六夜は第117期生の担任となり、金沢の地でそんな青春の日々を思い出し、ぼーっとしていた。



「東茶屋街にangeのメンバー発見。月城先生!現場にお願いします」


 月城はまだ地面を見てぼーっとしている。


「月城先生!」


 1組担任の松中が月城を再度大声で呼ぶと、月城はハッと我に帰り、一度謝ったのちに4組担任の秋山が月城を現場へと転送した。




 時を同じくして、魔法警察金沢支部では秋月と中西が10分ほど聞き取りをされたあと解放された。



 やけに時間が短かったのは学校からの手回しがあったからだろう。なぜ手回しされたか。考えればすぐにわかる。



 この金沢観光のボーナステストに復帰させるためだろう。普通の学校ならば生徒が不審者に襲撃されたなんてことがあれば普通は研修旅行なんて中止。即刻学校に引き返すだろう。



 しかしここは違う。魔術師にとって戦闘など日常茶飯事。そんなことをいちいち大袈裟に対処する必要はないということだろう。この非日常を日常にしろと言うことだろう。



 それでも俺と中西の心には未だショックが残っていてとてもじゃないがさっきのように和気藹々と観光バトルに参加できる状態ではなかった。



 ホテルに戻ろうか。そんなことが2人の頭によぎったその時だった。




 鈴星花音と梅園莉子が2人に話しかけてきたのは。



「あのー、大丈夫?なんか襲われてたみたいだけど」



 もじもじとしている鈴星を横目に梅園は俺に切り込んできた。



「いや、まあ。大丈夫とは言えねーよ。」


「そうだよね。でもこのままボーナスチャンスを逃すのってもったいないじゃん?」



 そんなことは俺たちだって分かっていた。今やめれば確実に後で後悔する。そのことくらいわかっていた。それでも、俺たちの気は進まなかった。



「もし良ければなんだけどさ」



「私たちと一緒に回らない!!?///」



 梅園を遮ったのは鈴星だ。梅園はやれやれといった顔つきだ。女の子に誘われて普段ならばよろこんで!!となる所だが生憎状況が状況だ。とても女子と2対2で回る気にはなれなかった。



 断ろうとしたその時



「まあこんなとこ置いてけないしとりあえず行こっか?」



と、梅園は半ば強引に中西の腕を引っ張り連れて行ってしまった。鈴星に何やら目線を送っていてる。それが何かは分からなかったが、俺の元には鈴星が来て、俺の腕を引っ張って歩き始めてしまった。



「よ、よろしくね。秋月くん」



 少し普段よりも声が小さい。



「う、うん。、こちらこそ」



 対する俺の声はもっと小さかった。




 気付けば2人の頰は桜色に染まっていた。

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