冥界神イシュリア(2)
こんな女神になる予定ではなかったんです、、、。
こんなつもりは!
あと、書き方を変えましたので了承お願いします。
俺は今何百段はあろうかという階段を登っている。
隣にはイシュリアもいる。
「久し振りにレムジアが残したダンジョンを見ていたら、強い願いが聞こえて気になって見てみたら体の半分が吹っ飛んでる人間なのだもの驚いたわ。私の聞ける願いは異形のものだけの筈なのだけどね。貴方の願いがよっぽど強かったのね。」
クスクスと笑いながらそう告げてくるが、俺はそんなことより気になることがあった。
「レムジアとは誰だ?人間か?」
そう俺がいうとイシュリアはひどく驚いた様子で、
「そんなことすら、残ってないの!?酷い状況ね...。」
疲れたようにはぁとため息をついた後、
「レムジアというのは、魔王と統率したと言われる邪龍なんだけど邪龍は知っているわよね?あの子、実は私が加護を与えたのよ。」
少し誇らしげに言ってくるが、今相当ヤバい話が聞こえた。
「邪龍というと、あの邪龍か?知っているということは、お前が世界征服を命じていたのか?」
俺が言うとイシュリアは、
「世界征服?なによそれ私は好きに生きて行きなさいといっただけよ?けど、そんなことしてたのね知らなかったわ。」
軽く人類滅亡しかけた事を話すこいつに怒鳴ってやりたかったが、イシュリアのように人間を玩具としか見ていない奴に言っても無駄だろうと、軽く諦める。
「それより、ダンジョンにいた奴は何だ?またお前が加護をやったやつらなのか?」
そう問うとイシュリアは、苦虫を噛み潰したような顔で
「あいつらは、他の三神が加護を与えた連中よ。よってたかって私を攻撃してくるの。私が何をしたっていうのかしら!」
憤慨したように言うが今さっきの話を聞く限り自業自得だとしか思えないようなので、スルーする。
「じゃあ、何故あそこにいたんだ?それに俺を攻撃する理由がない。それなのに奴等は殺戮マシーンも真っ青になるような勢いで俺を殺しに来たんだが、、、。」
すると、イシュリアは途端に顔を喜色に染めて
「そう!そうなのよね!つまり貴方はもしかして、私がずっと望んでいた者なのかもしれないわ!だから私嬉しくて嬉しくて仕方ないの!」
そこまで言うと取り乱した事を取り繕うかのように咳払いをすると、
「ま、まあそれは良いとして攻撃されたのは、貴方の魂は不思議な歪み方をしているのよね。それで、私の眷属と勘違いされたんじゃないかしら?まあ、あのダンジョンにいたんだししょうがないわね!」
そう言ってくるが、責めたくても始まりは自分の馬鹿な行動だったので、何も言えない。
「そういえば、邪龍って最初はどんな種族だったんだ?勿論格の昇華はしたとして、イビルドラゴンあたりか?いや伝承を聞く限りダークドラゴンやポイズンドラゴン辺りでもおかしくはないな。」
今俺が挙げたモンスター達は、どれもSランク冒険者達が5人束になってようやく勝てるSランク指定モンスターだ。
更に格の昇華とは、モンスターだけに見られる特徴で、モンスターがモンスターや冒険者などの他者を殺して、喰らうことで存在の格が昇華するのだ。
邪龍はSSSランク越えモンスターで、闇魔法や、毒魔法などの複合呪文を扱ったとされており最初から、強いモンスターだったのであろうと予測できる。
「で、どうなんだ?俺の予想は当たっているのか?」
そう聞くと、イシュリアはキョトンとした顔で
「 大外れよ。全然違うわ。そんなモンスターに加護をあげるわけないでしょ?」
と、言ったので態度には出さないようにするが、落胆する。
神の加護は神によって強さが違う。
貰えても大した事のない加護や、一発逆転もありうる加護もあるのだ。
イシュリアは、恐らくそこまで強い加護ではないからもっと強いモンスター、SSランク級か、SSSランク級などの魔王級にあげたのだろうと予測する。
そして、それが邪龍に発展したのだろう。
だが、次の発言にそんな想像は吹き飛ばされた。
「私があげたのは、レッサーナイトメアドラゴンよ!そんな毒々しかったり、禍々しかったりするモンスターにはあげないわよ。基本的には可愛いモンスターにあげているわ!」
と、乙女の心を分かって無いわねと、呟く何千年も生きている最早乙女とは呼べない何かを尻目に俺は絶句していた。
モンスターがその格を昇華出来たとしても、生きている内に三回程度。
つまりレッサーナイトメアドラゴンだと、D-ランクのモンスターなので、精々昇華できてもA+ランクモンスターまでだ。
そんな反則染みた加護は聞いたことが無い。
もしかしたら他の神からも危険視されて命を狙われたり、嫌がらせを受けているのではないかと言う想像が成り立つ。
だとすると、俺が直ぐに殺されたのも納得がいく。
もし、俺が眷属であった場合成長したらこの世界を脅かす様な存在になるのかも知れない。
だったら今のうちに殺しておけという想像に至ったのだろう。
100%殺されたのはイシュリアのせいだが、生き返らせてくれるようなので文句はない。
そして、階段にも終わりが見えて来た。
階段を登りきりたどり着いたところには、物凄い幻想的な空間が広がっていた。
真ん中に聳え立つ白い宮殿が神々しい雰囲気を放っていて、その周りの花や、泉そして、飛沫の様に浮かんでいる青い多くの光が幻想的な雰囲気を更に加速させる。
その光景に俺は目を奪われて、暫く立ち尽くしていた。
「そんなにここは綺麗なのかしら?前に人間を案内したときもおんなじ反応をしていたのよね。」
イシュリアの声にハッとさせられて、幻想的な空間から一気に現実へと戻される。
「ああ、すまない。あまりに綺麗な光景だったものだったから、つい見入ってしまった。」
するとイシュリアは、
「まあ、そう言われて、悪い気分はしないわね。私にも同じことをいってくれてもいいのよ?」
そう、茶化す様に言ってきて不覚にもその妖艶な姿で普通の女の子のように言ってくる姿につい見惚れてしまった。
「早くなかに入りたいんだが、。」
と、見惚れたのを誤魔化す様に言ったので、早口になってしまったが疑われる事なく入る事に成功した。
そして、宮殿に入っていくと、中は外とは違う意味で幻想的だった。
絢爛豪華な装飾品の数々。物凄いデカイシャンデリアと、通路に飾られる宝石の数々は、一つ売るだけで莫大な資産になることが容易に予測できる。
まるで、おとぎ話の中の世界をくり取ってきた様な光景だった。
「これは、凄いな。一つ売るだけで幾らになるか分かったもんじゃない。自分で集めたのか?」
俺はそうイシュリアに尋ねた。だが、この数を一人で集めきれるとは思わないので、暗に誰が集めたのか聞く。
そんなことを知ってか知らずかイシュリアは、爆弾発言をする。
「違うわよ私一人でこんなに集める手間かけるわけないじゃない。これは全部勇者が集めてきて、勝手に飾っているのよ。」
一瞬思考が停止した。
ユウシャガ、アツメテキテル?
「はあ!?お前そんな雑用に勇者使ってんの!?あの勇者だよ!仮にもおとぎ話で出てくる英雄だよ!?そんなお手伝いさんみたいなことさせて許されると思ってんの!?全世界の勇者ファンが怒り狂うぞ!」
と、一息も付かずにいうと、
「何ようるさいわね。別に頼んでる訳じゃないし、いいじゃない。それよりお前ってなによ!お前って!」
マグナはこの時確信した。
(あ、この女神絶対に駄女神だわ。)、と
次回はほんとのホントにモンスター化します!
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