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怒り牛と誇り高き者達と使い魔

ワンちゃんワンちゃん....ぐふふふふ。

ぶ、ブクマ数が激増している、だと!?

 そして、俺が森の中を走り出して3分程した頃にそのモンスター達の姿は見えてきた。


 (あれは、怒り牛!まさかあの怒り牛とモンスターが戦闘中か?)


 俺があの、とまで呼ぶのは

 怒り牛と呼ばれるE-ランクのモンスターである。

 俺の種族の蜥蜴人がFランクモンスターであり、今の俺で辛うじて倒せるかな?というランクの比較的温厚なモンスターであり、軽いちょっかいを出しても怒ることはない。


 その怒り牛が戦闘を行うなど一つだ。

 子供に手をつけられて怒り狂った怒り牛が暴れているのだろう。

 この怒り牛の角は、その怒り牛の特徴もあり子供が生まれたばかりの家族に良く送られたりするほど人気があり、広く知られている。

 幸い一匹しかいないようだが、怒り牛は他の個体との関わりを大切にする。

 最悪の状態の場合では群れの数十匹で襲いかかってくる事もある。

 そうなると、もはや手がつけられなくなりCランクモンスターと同程度の強さにもなると言われているのだ。

 

 ( 怒り牛の子供を襲った馬鹿な奴はどんなモンスターだ?ゴブリンでも避けるくらいに知られているというのに。)


 そう、あのゴブリンですら認知出来るほどの恐ろしさがあるのである。

 つまり、襲ったのは命知らずのモンスターか余程の事態があったかのどちらかに違いない。


 そう思い、その場を観察すると、


 (まさかあれはダークウルフ、なのか?いや、あのダークウルフが?それは流石にあり得ないだろう。)


 そう思い何度見直しても、3体の傷付いたダークウルフの成体と戦闘中の怒り牛そして、その横に横たわる怒り牛の子供。

 ダークウルフは、F-ランクで賢く狡猾なモンスターで怒り牛に喧嘩を売るなどまずあり得ない。


 (ここにも独自の生態系が存在しているのか又は最初の余程の事態、ってのが妥当かな?)


 すると、睨み合っていた両者に動きがある。

 ダークウルフ達が駆け出して、怒り牛の正面に一匹、横に逸れるように二匹のダークウルフ達が分かれる。

 そして、そのままの勢いで正面のダークウルフが、喉元に食らいつこうと動く。

 それを頭の角で無理矢理胴体を貫きにいく怒り牛。

 そのまま角に突き刺さるダークウルフだったが、絶対に離さないとばかりに最後の力で怒り牛の喉に食い付く。

 プシューッ、と音を上げて血が出るが怒り牛はそんなことは関係ないとばかりに振り払おうとするが、更にこの機会を逃さないとばかりに二匹のダークウルフも首に噛みつきにいく。

 これには堪らず怒り牛も振り払おうと躍起になって体で潰そうと跳躍する。

 グチャッと、嫌な音がなり血と黒い毛が飛散する。

 そして、思い切り潰したはいいがそのせいでダークウルフの牙が深く抉り込み、暫くその場で悶えて死亡した。


 (ダークウルフ達はどこかおかしかった。この周りで何かあったのか?)


 そして少し離れた所にはダークウルフの死体。

 すると、視線を逸らそうとした瞬間に死んでいたはずのダークウルフの致命傷を受けたダークウルフの体が動いたように見えた。

 そして見直すと、ダークウルフの体の近くに何かいるようだ。


 「クーン、クーン。」


 そこにいたのは痩せ細ったダークウルフの子供だった。

 親であったのであろう死体に体を擦り付けて鳴いていた。

 それを見て俺は隠れていた所をでて近付いていくと、子供の横に立った。


 「お前の親は勇敢だった。お前の為に命を燃やす覚悟をした。その覚悟を知っているお前は絶対に生き延びなければいけない。今日の事を忘れてはいけない。」


 彼らは自己保身等ではなく、ただただ純粋に自分達の群れの子供を守ろうと命を投げ捨てた。

 それは戦士の心では無いが、それが今の俺には無性に崇高な心に感じられて、この子を守ろうとしたダークウルフ達の為にもこの子が望むなら代わりに育てようと思う。


 「俺は人間成りのやり方だが、このダークウルフ達を弔ってやろうと思うんだがいいか?」


 すると、俺を見上げたダークウルフが軽く鳴く。

 どうやら、この子ももう親とお別れしなければいけないと言うことが分かっているようだ。

 そして、俺はそのあと数十分かけて五匹のダークウルフ達を埋葬した。

 その間子供は何も言わずただ後ろで見ていた。


 「お前はこの後どうしたい?逃げてもいいし、ついてきてもいい。お前が選ぶんだ。お前を守ろうと命を捨てた者達の為にも生き残ったお前が。」


 すると、ダークウルフは俺の足にすりよってきた。


 「そうか、来るか。じゃあこのままでは俺が名前を呼びにくいな。今から考えるから待ってくれ。黒いから、クロでもいいが、それは単純過ぎるし勇ましい心を持ったあいつらの子供には相応しくないか。夜からナイト、でもいいな。毛皮は綺麗な艶もあるしな。黒..ノワールとかか?他には、黒い......漆黒か。漆黒...漆黒でシュバルツって言うのはどうだ?」


 ダークウルフの子供は、俺の言葉に理解しているのかは分からないが、あまり興味の無さそうな顔で鳴いた。

 

 「おい、お前自分の名前なんだぞ?少しは自分も考えて...。」


 と、そこでぎゅるるると物凄い音がなった。

 一瞬俺は魔物か!?と、身構えたがどうやら俺の足元から今の音は聞こえたようだ。


 「そりゃ腹すいてるよな、悪い気付けなかったな。だけどその前に一つ。お前は今日からシュバルツだ、喜べよ?漆黒なんてカッコいい意味の名前だ。二つ名でも漆黒なんてカッコいい名前持ってる冒険者はなかなかいないぜ?」


 物凄いお腹の音を出したシュバルツに謝りながらそう言う。

 二つ名とは、主にBランクになった冒険者がつけられる物で、その冒険者を象徴する物であり名前の由来は大抵戦い方から来るため物騒な名前や、派手なものが多い。

 まあ、自分の看板になるかも知れない名前だから派手にするのも良いだろうが、二つ名が自分の名前より長い奴もいて、呼ぶときに非常に呼びにくい。

 なので、俺は短くてカッコいい名前の方が好きだ。


 おっと、こんなことを考えている場合じゃない。

 シュバルツが喉を鳴らして、お腹が空いてもう動けないとばかりに見てくるので、俺は怒り牛を調理することにした。


 一先ず先に、調理器具をアイテムボックスの指輪から取り出していく。

 俺も冒険者の様な生活をしていたときがある。

 なので、料理は焼く煮る位だったまともに出来るくらいには料理が出来る。


 そして最初に怒り牛の解体から手を付ける。

 本来なら血抜きが必要ではあるが、今回は急ぎなので所々飛んでくる血を無視しながら、淡々と解体を進めていく。

 内臓、骨、肉と分けていき、それは普通に売っているようなお肉、になった。

 そして、肉を魔道具の肉焼き用の鉄板に載せて下からコンロの火で炙っていく。

 このコンロは、火の魔法を込めた魔石を嵌めて上にあるものを焼いたり出来ると言う、素晴らしいコンロであり、俺はこのコンロに何度もお世話になってきた。

 

 次第に辺りにいい臭いが漂ってくるので、臭い消しの魔道具と、魔物避けのを使った瞬間、物凄い殺気?のような覗かれているような嫌な感覚が俺を襲った。

 一瞬でその場から飛び退いた俺は、驚くシュバルツを尻目に周囲を観察していたが何も辺りにいないのを確認して溜め息を吐いた。

 どうやら気のせいであったようだ。

 俺も疲れて気が立っているのであろう。

 俺はこの料理が終わったらいい機会なので直ぐに少し休憩しようと思い、料理(焼き肉)を作り続けた。

 そして、シュバルツに肉を手であげていると、


 「痛った!?」


 どうやら、噛まれてしまったようだ。

 気付かずに、俺の指ごと尻尾を振りながら肉をしゃぶるシュバルツを呆れたように見ていると、


 個体名 シュバルツ が使い魔となりました。契約レベルは 従属 となります。


 正直急にそんな声が頭に響いてチビるかと思うくらいビックリした。

 どうやら、シュバルツがなんらかの条件を満たしたために使い魔になってしまったようだ。

 この声は特定のスキル、称号を獲たときに響く声で一般的には世界の声と呼ばれているらしい。

 調教師以外は、一生に一度聞けたら良いと言われているので、正直俺なんかが聞ける物ではないと思っていたので驚いた。

 この声はモンスターを使い魔にしたさいにはもれなく聞ける声だが、調教師自体の数も少なくあると確認されてはいるが疑う人も多い物であった。

 俺も今までは疑っていたので軽く全世界の声を聞いた人に謝っておく。


 そして俺はシュバルツが肉をがっつく様子を見た後に、貴重な塩をかけて怒り牛の肉を炙ったささやかな贅沢と一時の休憩を俺は満喫した。

はい、作者は犬猫大好きです。

可愛いですよね。モフモフとかモフモフと。

そして!今回の捕捉としてマグナ君は心が綺麗な人が大好きです、けど最近は汚い(女神とか女神です)人にしか会っていなかったので、こういう話にしたんですがどうもシリアス路線に突っ走っちゃいますね。

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