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008

 暗い格納庫。一角だけ明かりがともされ、機械の作動音が低くうなっている。

「三番四番シリンダー交換。こっちの伝達系も破断かよ。装甲以外の八十パーセントに手を入れる必要があるとか」

 はぁ、とため息を一つ。

 ようやくのことでクリーニング作業をおえた破斬のメンテナンスを始めたハルトだったが、その工程の多さに頭を抱えていた。

「わかっていたことだが、五百年は大きいよな」

 立ち上がって伸びを一つ。

「煮詰まってきたし帰るか」





 朝。

 軍の当直担当の兵士は、緊張が解けかけていた。

「あふっ。今日も何もないな」

『気を抜くな。哨戒任務中だぞ』

「そうは言っても、これだけ暇だと。そういやまとめて新人が入るとかいう話はどうなったんすか」

『連中はまだ訓練中だ。シミュレーター初めてまだ半年だぞ。ようやく早いやつが実機訓練始めるかどうかってとこだ』

「はぁ。まだそんなんすか。早いとこ人手不足を解消してほしいっす」

『人類の支配圏が回復しないことには難しいだろうな』

「ままならないっすね………敵襲! 仮想平面三時上方四十七!」

『コピー。確認した。メーグ・オーガ来襲警報発令。全機戦闘態勢! 繰り返す! 全機戦闘態勢!』





 突如のビープ音が、早朝のコロニーに響き渡る。

 ハルトもまどろみの中からたたき出された。

「なんだなんだ何事だ!」

『少佐!』

 空中投影モニターにステイシアが映る。

「大尉、もしかして襲撃か!?」

『はい。非常呼集がかかっていますの。わたくしもこれから出撃ですの』

「俺はどうすればいい?」

『発着デッキでの補助を、と司令からの命令ですの』

「わかった。気をつけろよ」

『ありがとうございますの』



「ここの責任者は!?」

 ハルトが到着した発着デッキは、整備員が上下左右前後、駆け回って殺気立っていた。

「ああん? 坊主、どうやってここまで来た!?」

 話しかけた整備員がドスの利いた声で問い詰めてくる。

「ハルト・サマーリア少佐だ。命令により助勢に来た」

「少佐! 失礼いたしやした! おやっさん! おやっさーん!」

「おう、なんだうるせーぞ」

「少佐がこられてやす」

「今忙しいからほっとけ………少佐!?」

「ドーモ少佐デス」

「ナンデ!? 少佐ナンデ!?」

「いや、司令からの命令で」

「おう。司令ちゃんからか。オレッチちゃんはハムネス・スクワッティヌス。軍曹だ。おやっさんだろうが親方だろうが好きに呼んでくれ」

「わかった、軍曹親方。それで、俺が何をするかだが……」

「親方! 百五号機が異常発熱です!」

「俺が行こう」

「少佐様に何とかできるのか?」

「問題ない。俺が作ってから基本構造は大きく変わってないみたいだしな」

「作った……? おい、ヤス! ついていけ」

「おやっさん! おれは二百番台の搬出作業が!」

「そっちはンボンガボボンガンゴにやらせる」

「なっ!」

「案内頼んだ」

「………へい」


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