表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

006

 格納庫に高速で回転する音が響く。

 あれから三日。ハルトは手配した機材を持ち込んで、格納庫に缶詰になっていた。自主的に。

 展開された空間投影モニターを尻目に、削られていく破斬の下半身の岩を見つめている。

「腹減った。デリバリーステイシアはまだこないか……」

 どうやら未来の昼食を幻視していたようだ。

「少佐、お待たせしましたの」

 やってきたステイシアの手には一つのバスケットがあった。

「待ってた。さあ、糧食の提供を要請する!」

「そんなに焦らなくても、お渡ししますの」

 早く早く!

 散歩をを待ちきれない犬のような様子を見せるハルトに、ステイシアは苦笑一つでバスケットを手渡す。

「少佐。ちゃんと手を洗ってくださいですの」

「俺は子供か!」



「もっきゅもっきゅごくん。ぷはっ。ごちそうさま」

「おそまつさまですの」

「しかし、あれだな」

「なんですの?」

「こんな蔦を編み込んだバスケットなんていまだに残ってるんだな」

「ああ」

 両手をポンとたたくしぐさは、その揺れる胸も含めてハルトの視線を引き付ける。

「こういうのは文化保存の一環ですの。資源は限られていますが、残りコロニーが三機だからこそ、こういう文化も残すという方針ですの」

「なるほどな」

「で、少佐」

「うん?」

「わたくしの胸を見つめるその視線は、そろそろセクハラとして処分、いえ、処理していいですの?」

「言い直してもあまり変わってないよね、それ!?」

「くすくす」

「チクショウ! いちいち所作が様になってるなコンチクショウ」

「わたくしを犯したいですの? エロ同人みたいに。エロ同人みたいに」

「直接的に来たな、おい!」

「で、どうですの?」

「フォクネス大尉……ステイシアはかわいいからな。俺だって十代の健全な男子なんだよ!」

「あら。五百歳オーバーのおじいちゃんじゃなかったですの?」

「おい」

「冗談ですの」

「まったく。ピュアなオトコノコのハートをもてあそんでくれて」

「わたくしをものにしたいのであれば、身だしなみをきちんとしてほしいですの。正直、臭いますの」

「え。まじで」

「まじですの」

 ハルトは慌てて自分の服のにおいをかいでみるも、すでに鼻がばかになっていて判別はできない。

「張り付いた岩石のクリーニング作業もまだ終わらないようですし、さっさとお風呂入ってきますの」

「そうするか」

 気になる女の子に嫌われないために。

 部下に嫌われないために。

 前者と後者が九十九対一ほどの割合の思考をしながら、ハルトは三日ぶりに格納庫を出た。



「はふ。きっとサンドウィッチが手作りだってことは気が付いてないですの」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ