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星になった君

作者: 藤宮詩織

改めて、読んで下さっている方々とお題を提供してくださったseallyさんに感謝を。ありがとうございます

お題を頂いてから物凄く時間がかかって申し訳ないです…

都会特有の騒めきの中、私はビルに取り付けられている大きなモニターを見上げていた

そこに映るのは、私には手の届かないほど遠い存在となってしまった嘗ての親友

共に学び、共に遊び、沢山の思い出を共有した彼女は今、煌びやかな舞台で眩いばかりの笑顔を惜しげもなく振る舞っている

彼女の活躍を目にする度に私の目は吸い寄せられ、足が止まり、彼女の声に聞き入る


「かっこいいなぁ、亜美」


モニターに手を翳し、呟く

今をときめく若手タレント、AMI

本名、佐久間亜美

彼女と私は、所謂幼馴染という関係であり、そして、誰よりも信じあっている親友でもあった



彼女は沢山の物を持っていた

人の目を惹き付ける才能、勉強の才能、歌の才能、運動の才能、更には、美しい容姿まで

それでいて、性格まで良いため、驕ることもない

正に、神に愛されて産まれたような存在だった

私はそんな彼女が大好きで、彼女の親友だということは私の誇りでもあった

彼女の元にはいつも沢山の人がいて、皆が楽しそうに笑いあう、そんな幸せな日々がずっと続くのだと、そう思っていた



けれど、中学生になり、彼女をちやほやと持て囃していた同級生…特に同性は豹変した

思春期という多感な年頃において、彼女の存在は劣等感を刺激するものだったのだろう

或いは、彼女らの好きな人が、亜美のことを好きになってしまったのかもしれない

彼女らは掌を返したように亜美を苛め始めた


彼女は誰にも助けを求めてくれなかった

たった一人で全てを背負い込もうとした

実際、私たち親しい人間は、とある事件がおこるまで彼女が苛められていたことに気づかなかったから、彼女の狙い通りになったと言って良いのだろう


その後、彼女の親が訴えたことにより裁判が行われたり、暫く彼女に近しい人物がパパラッチに追いかけられたりと慌ただしく現実感のないままに半年が過ぎ、私は以前から志望していた作曲家を養成する専門校、亜美は芸能界と、それぞれの道へと進んだ



それから四年

残念ながら私に飛び抜けた才能などはなかったらしく、数多いる作曲家の中の一人として、可もなく不可もないといった評価を受けている

編曲やアレンジ、BGM作成などを軸になんとか一人食べていける程度の収入しかないような有象無象の作曲家として活動しているのだ

そんな状況だから、いくら親友『だった』とはいえ、今の私が多忙な亜美に会うことはほぼ不可能だろう

だから、私は亜美に…AMIに、定期的にファンレターを送っている

ほんの少しの願望と、沢山の応援を込めた、少し異質なファンレターを



________________________


(スター)になった君へ



いつも、君の活躍を見て、元気を貰っています。

一時期は笑うことが出来なかった君がキラキラと輝く笑顔を再び浮かべられるようになったこと、心から嬉しく思う限りです。

つい最近、君の出演しているドラマのBGM作成の仕事を頂くことができました。少しだけですが君に近づくことができ、とてもとても嬉しかったです。

いつか、君に私の曲を歌って欲しい、なんて、大それたことかとは思いますが、願ってしまう今日この頃です。

会うことはできなくなってしまいましたが、私は君のことをいつまでも応援しています。

いつか、再び君と親友として笑いあうことができるようになることを願って。



君を心から応援している一人の作曲家より


________________________

感想、アドバイスなど、お待ちしています

少しでも思ったことがあれば、言って下さるとありがたいです

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