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私の彼は忍者  作者: 紅葉
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南国の島に着きました♪

バスは高速道路を降りて、空港へと向かうーー。


目が覚めて車内を見回すと、寝ている人と起きている人の割合は半々だった。


横を見れば、優駿くんも寝ている。

ふにゃんと弛みきった寝顔は、可愛いかも……。


思わずパシャリと写真に収めた。

携帯はシャッター音が消せないのでドキドキしたが、起きなかったのでセーフ。


何だかイタズラが成功した気分♪

後で先輩に送ってあげようっと。


その後、10分程でバスは空港に着いた。

……随分寝ていたらしい。


空港の窓から飛行機が飛ぶのを見ながら、出発時間を待つ。

搭乗案内が始まって、飛行機に乗る。


飛行機の中って案外狭いんだなぁ。

指定された席は、真ん中の通路側。

初めての飛行機にドキドキしていたはずなのに、再び熟睡……。


目が覚めれば、飛行機は定時通りのフライトをして、無事、目的地の空港に着いていた。

そこからまた観光バスに乗り換える。

乗り物に乗ってばかりで、お尻が痛いよ……!


20分程で着いたのは、工房がいくつも並んだ所。観光客向けに吹きガラスや、陶芸の絵付けなどの体験が出来る所なのだそうだ。


体験内容は10種類ぐらいあって、希望を事前に選択して申し込んであったんだけど、私の班はシーサーの絵付け体験を選択していた♪


長いテーブルに並んで座っていると、講師のいかにも職人さんって感じのタオルを頭に巻いたお兄さんが、手のひらサイズのシーサーを一対ずつ配ってくれた。


「では、自由に着色してください。乾いたらお持ち帰り頂けます」


「はーーい」


目の前に置かれた、8色の絵の具。

4人で共有だね。


どんな色にしようかなぁ〜。


体はピンク〜♪ 水色の水玉模様も付けちゃえ〜♪


眼は緑色〜♪


結構たのしいかも〜♪


お? 結構可愛く出来た。


先輩にプレゼントしようかなぁ〜。



隣に座っていた優駿くんが、私の作品を見てニヤニヤ……。


「お、理沙ちゃん。魔よけのご利益有りそうだね」


どういう意味かな……。

結構可愛く出来たと思ってるんだけど、何だか褒められている気がしないよ。


「優駿くんこそ、黒い身体に渦巻き模様が金色で、赤い目は禍々しい気がするんだけど……」


「こういうのはね、禍々しい方が強そうでしょ♪」


自信満々なのが、何だか可笑しいね。



その後、昼食を食べて、修学旅行生の団体はバスで首里城へと向かった。


なだらかな首里城へと向かう坂道の両側にはお土産物屋さんが並ぶ。

そのどれもが屋台風で、異国に来たような気持ちになる。


紅型の着物の体験もあって興味を引かれたけれど、今は集団行動だし、我慢、ガマン!!


大きな門を抜けると、だだっ広い中庭のような所に出た。

中庭は赤と白の縞模様になっている。

正面には赤が美しい首里城の正殿の姿があった。

かつて、この縞模様に沿って王国の兵士や役人が整然と並んでいたのだろうかーー。

王様、イケメンだったらいいなぁ〜。

歴史物少女漫画のひとコマのような風景を思い描く……。


「理沙ちゃん、何ボヤッとしてるの?」


優駿くんに声をかけられ、ハッとした。


その後、正殿をバックに記念写真をクラス単位、友達同士と撮りまくった。


宿泊する那覇市内のホテルに向かうバスの中で、先輩にメールを送る。

無事に着いた事と、今日見たもの……。

それに、直接は言えない素直な思い……。


* * * * *


ヴ〜、ヴ〜、ヴ〜。


夕方再び涼の携帯がメールを着信した。


送信者は……吉田理沙。


それだけで涼の表情がふわりと弛んだ。


『無事南国の島に着きましたよ。


陶芸の色付け体験をしました。お土産に持って帰りますね。

大きなお城もとっても綺麗で、食べ物も美味しくて、楽しいです。……先輩と来たかったな。 』


「涼、何ニヤニヤしてんの?」


塾で隣に座っていた、当麻が声を掛けてきた。


ちょうど添付されてきた写真を表示させたところで、当麻も携帯を覗き込んできた。


画面には、理沙から送られてきた優駿の緩みきった寝顔の写真。


「……てっきり理沙ちゃんの写真を見てニヤついてるんだとばかり……」


親友は若干引いたようだったが、そのまま放置することにする。


最後の二枚目の写真も表示させる。

狗の置物が微妙な色彩でデコレーションされている。

……理沙、色々と残念だよ。

まあ、でも自分の携帯で自分の写真はなかなか撮れないものだ。

そう自分を納得させ、返信のメールを送る。


ヴ〜、ヴ〜、ヴ〜。


相次いで、天馬からもメールを着信した。


「涼、忙しそうだねぇ〜。もうすぐ授業始まるよ」


「……」


またも、本文無しの添付写真のみ。


写真は一枚。


送られてきたのは、理沙が幸せそうに口いっぱいに、名物そばを頬張っている姿……。


写真を撮られたことに気付いて、少々恥ずかしそうにしているところが可愛い……。


「全く、一緒に行きたかったよ」


クスッと小さな声で、写真の理沙に話し掛ける。


「涼、何か言った?」


隣で当麻が反応する。


「いや、別に」


講師が教室に入って来たので、携帯をしまい、前を向いたーー。





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