修行開始ですか? 3
剣道着の袴姿も制服姿も、昨日初めて見た私服姿もカッコいいけど、ジャージ姿もカッコいい!!
世間ではそれを惚れた欲目というらしいけど、いいじゃない。
黒のジャージの上下でアキレス腱を伸ばす準備体操をしている先輩をぽーっと見とれていたら、先輩は苦笑して、
「理沙もしっかり準備体操しな」と軽く額を小突かれた。
先輩の家を出発して、約2キロの距離を先輩とお喋りしながら歩いた。
と言っても、以前は黙々と歩いていたのが、少し会話が成立したといった具合だったけど、それでも楽しい♪
舗装されていない農道を歩いている時には、先輩が野の草花の名前を教えてくれたけれど……。
「オオバコは痛み止め、ドクダミは傷薬や便秘、クマザサはお茶にできるんだよ」
って、具合。
野外授業ですね、これは。
「先輩、詳しいですね〜」
「小さい頃から散歩が好きで、その度にお爺さんや姉達が教えてくれたんだ」
懐かしそうに、楽しげに話す。
きっと、いい思い出なんですね。
「時々とんでもない草を食べさせられたりもしたけどな。そうやって、散歩の距離がだんだん延びて、足腰が強くなってきたら……アッチの山見える?」
と、比較的近い山のひとつを指さした。
「あの山まで行って、山の中にうちの習練場があるから、そこでトレーニング始めるよ。夏はキャンプも楽しそうだなぁ。あ、でも泊まりはまずいか」
まるで遊びの計画をたてるように、楽しそう。
キャンプ……楽しそうだなぁ。
「ボチボチ身体を馴らしていって基礎体力をつけていこうな」
今でも剣道部で鍛えられて、ずいぶん体力付いてきていると思いますが、まだまだという言い様……。
そうですね、先輩が息切れをしているところ見たこと無いですね。
途中急な坂を登ったり、農水路を飛び越えたり、アスレチックみたいで楽しかった。ぐるりと城下町の外側を廻って、武家屋敷町の先輩の家に戻ってきた。
駅まで先輩に送って貰って、今日の修行はお仕舞い。
明日は何かおやつを持っていこうと考えた。
母に頼めば作ってくれるだろうけど、自分で用意したいな。
バレンタイン用に買ったレシピ本を見直してみようか……。




