第0頁 出会い(前編) 続き③
レジでの精算を終え、購買を出た俺は特に寄り道もせず自宅(実際には下宿先の一人暮らしのアパート)に帰宅した。
自宅までの帰り道で特に何も起きなかった。
ああ、そりゃ起きないって。
もし何か起きたら面倒で、それはそれでもの凄く困るが。勘弁してください。
そもそも一年間、ここで暮らしていて通学にも利用する道でそのようなことが起きたのなんてほとんどなかったし。
「もし事故とか期待されると困るな」
幸いにも俺が通学している今までに交通事故なんて一件もなかった。
高校に入学して、俺は自由が欲しかった為、すぐにアパートを借りて親元を離れて現在まで独り暮らしをしている。
「夢だったんだ!」
ちなみに、ベッドだけは俺のこだわりで2段ベッドにしている。それは、子どもの頃から2段ベッドの上の段で寝ることに憧れていたという、なんとも幼稚な考えを中学時代から持っていたからだった。
「我ながら子どもだな……」
こういうところが俺の子どもっぽいところなのだろう。
家に帰りついた俺は早速、今日買った例のスケジュール帳を小さめのビニール袋から取り出して、手に取って見た。
「やっぱこのデザインはなかなかいいなあ」
スケジュール帳は不思議な感じはするが、購買で見た時のような輝きや音はしなかった。
俺は早速、明日の日程をこのスケジュール帳に書こうと思った―が、明日から学校が始まるのだから、始業式があって通知表や春休み中の課題の提出くらいで忘れるようなことなんて特にないと思ったので、俺はそれに書かなかった。
俺はスケジュール帳に書くのをやめて、それを枕の上に置いた。それ以降、俺は寝る前までスケジュール帳に関する話題は一切出さなかった。まあ話題を話すような相手自体いないからでもあるのだが。
もう深夜0時を回ろうとしていた頃、ベッドに入り寝ようとした俺は枕の上にあるそれに気づいた。
「そんな大きくないけど、ちょっと邪魔だな」
そのスケジュール帳は寝るのに邪魔だったので、俺はとりあえず机の上に放った。
あー、今の扱いで、新品にちょっと傷入ったかも。ショック。
「(はあ)」
俺はため息をして布団に潜り込んだ。
ベッドにもう一度入り今度こそ寝ようと思った時、俺は天井を見ながらふと今日のスケジュール帳の出来事を思い出した。そして無意識のうちに俺は心の中でこうつぶやいていた。
「(スケジュール帳に書かれている事って、俺みたいなやつが忘れることを予測しているから、そのようなことのないように前もって絶対あることをメモするのだと思う。スケジュール帳に書かれていることに嘘はないのか?いや、誰に書かれるわけでもないし自分だけのスケジュール帳だからこそきっとそれが真実なのだと、俺は思う―)」
「……眠い」
そう一人で考え込んだ末、俺は自然と眠りに落ちた―
そしてこのスケジュール帳に出会った日を境に、俺の高校生活が一変していくことを、この時の俺はまだ気づいていなかった。