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エピローグ
十年後、リナは村の学校で子供たちに読み書きを教える先生になっていた。トムは父の仕事を継いで、困った人がいれば必ず手を差し伸べる青年に育った。
二人とも、母エリナから受け継いだ優しさと強さを持って、多くの人に愛される大人になった。
そして時々、夕暮れ時に二人で母の墓を訪れ、あの子守唄を歌う。
「お母さん、私たちは幸せです」
風がそっと吹いて、まるで母が微笑んでいるかのように、花々が静かに揺れるのだった。
愛は、死をも超えて受け継がれていく。母の愛が二人の心に宿り続ける限り、この物語に真の終わりはない。
新しい命へと、永遠に歌い継がれていくのだから。




